猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2019年6月19日(水)
- 【文学サロン月曜会×藝術部コラボ】ゲスト:大島 真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
6月19日、梅雨に入りしっとりとした空気が立ち込める中、猫町倶楽部名古屋文学サロン月曜会×藝術部コラボイベントがJAZZ茶房青猫で開催されました。
今回は作家の大島真寿美さんをゲストに、彼女の著作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を課題本として読書会を行いました。
この課題本、なんと第161回直木賞候補作にノミネートされています。
実在した人形浄瑠璃作者である近松半二を主人公として、めくるめく文楽の世界が描かれた本作に、どのような感想が飛び出したのでしょうか。
「とても読みやすいリズムある文体で、あっという間に一気に読んじゃった!」
「半二はどっぷり文楽の人生だね。ずっと好きでいられるものがあって、いいなぁ。」
「文三郎さんの失脚は、今でもありそう…。」
「悪い人が出てこない。皆がその時を精一杯生きている感じが良かった!」
「半二が書いた浄瑠璃の作品が歌舞伎で改変されていくのが悲しい…。」
「当時の女性が言いたかったことが、お三輪を通じて語られているように思った。」
「文楽をテーマにした作品で、浄瑠璃作家を描いたものは少ない。現在、浄瑠璃作家と呼ばれる人はいないため、その中でこの物語を作られたことが素晴らしい!」
「生身の人間の舞台は、人のエネルギーを受けすぎてしまい戸惑うことがある。文楽はそのあたりがフラットになっていいのかも。」
各テーブルに大島さんも回り、参加者の感想を聞いたり質問に答えたりしていただきました。
参加者「関西弁がとても読みやすかったです。」
大島さん「実は完全な関西弁にすると読みにくくなる場合もあって、匙加減が難しいんです。」
参加者「半二や正三が感じていた虚と実の境目がなくなるという思いはどんなものなのでしょう。大島さんが作家であるから感じられる点なのでしょうか。」
大島さん「正三ほどではないけれど、執筆する際常に感じていることです。それが自然に作中に出たのでしょうね。」
どのテーブルでも話は大盛り上がり。
時間はあっという間に過ぎていきます。
「読んで文楽を観たくなった!!」
読書会の後は、月曜会藤が丘本店恒例、青猫マスターが選ぶ今日の一曲。
今回は渦にちなんで、Azimuthの“Whirlpool”がかけられました。
重力を感じさせない美声が心地よく響きます。
続いてはベストドレッサーの発表です。
今回のドレスコードは「人形」。
日本人形を持ってきた方や、自身が人形になりきった方まで、様々な趣向が凝らされています。
今回は特別に、ベストドレッサーの中からじゃんけんで勝ち上がった3人に、大島さんの文庫『空に牡丹』がプレゼントされました!
懇親会は引き続き青猫で行われました。
美味しいご飯を食べながら語り合います。
懇親会の中で、大島さんによるトークショーも行われました。
創作の経緯、タイトルの秘話や文楽の魅力などエネルギッシュに語っていただきました。
「書き出すまでは半二の一生を書くつもりはなかったんですが、短編を一つずつ作っていたらこうなっていたんです。」
「今回はあまり書けないというような苦労はしませんでした。」
「文楽はその世界の中に吸い込まれていく喜びがあると思っています。」
「『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』は書いててとっても楽しかった!」
大島さんの熱い想いが感じられて、大満足の一夜となりました。
文:ゆき
写真:ゆうみ
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次回の名古屋藝術部は7月24日(水)開催、課題本は宮下 規久朗『そのとき、西洋では: 時代で比べる日本美術と西洋美術』です。
奮ってご参加ください。