扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京アウトプット勉強会[ビジネス]

  • 2015年8月22日(土) 
  • 金沢文学サロン月曜会、第4回「キャッチャー・イン・ザ・ライ」

金沢文学サロン月曜会、第4回の開催。

場所は前回同様、町屋を活かした古民家カフェ「FULL OF BEANS」です。

例年通り炎暑の金沢、ですが、残暑を過ぎたらだいぶ暑さも和らいできました。
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものです。

リピーター三名と初参加者一名という少数編成で、読書会スタート。

課題はJDサリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。
野崎訳が有名ですが、何年か前に村上春樹さんが翻訳しなおしたことで話題を呼んだこの本。今回はどちらの訳でもオッケーでした。

野崎訳の『ライ麦畑でつかまえて』のタイトルからは、一見ラブロマンスを想像しがちですが、実際には青少年期のやり場のない衝動を見事文字化した話題作。
国によっては発禁本に指定されている、なんて物騒な話も飛び出しつつ、「自分の心の中を見られたようで、胸が痛い」「自分の中高時代を思い出してえぐられる」などと痛いながらも共感する感想が多かったです。

小説の舞台はプレップスクール、いわゆる進学校(そして書かれたはいませんがおそらく男子校)、ということで、男子校の話題と進学校の劣等生の話しで盛り上がりました。
例えば「10代の女の子を口説いて捨てるのがステータスだった」や「派手な女の子よりも、静かな女の子のほうが男性が切れない」などなど。みんなほぼ初対面同士なのに、かなりえぐい話題がポンポンと飛び出してくるのは、本を媒介として好き勝手言えるから(笑)というどの猫町倶楽部も共通ですね。

少年が学校を退学するまでの数日間を描いた本作。
感想の共通点としては「主人公は衝動的に嘘をつき、その場限りの出まかせを言ったり、強がったり、話を盛ったり、とここだけ見ればとてもひどいように見えたりしますが、これだけ多くの人に読まれ続けているということは、逆に誰しもこのような時期がある」ということですね。

衝撃的だったのは初参加者の女性の「自分自身が何をやっているのか自分でも分からない時期は確かにある。私も気付いたら蟻をひたすら潰していた時期があった。後で気付くと、なんであんなことを、と思うので共感できる」との告白。
普段だったら決して言えないようなことも、感想として言えてしまうのが読書会の魅力の一つですね。

もちろん、こんな危険な奴が野放しにされているなんて怖い、こんな本怖くて友達に薦められない、なんて言われてみれば納得の正直な意見もあり。
結局フィービーとの関係が、唯一の救いで癒しの場面だったと読む声が多かったです。

プレップスクールが舞台となっている課題作にちなんで、ドレスコードは「スクールボーイ、スクールガール」。 みなさんいまさらスクール…だなんて、と恥ずかしがりつつも高校生らしい小物で決める中、ベストドレッサーはまさかの高校の制服(というかズボン)を着てきました。年を考えるべきですね、ええ。(わたくしです)

残暑も落ち着き、これから毎月美味しいものが増えていく金沢。
北陸新幹線で足を延ばせる距離ですのでぜひとも遊びに来てくださいね。



 

 

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