扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2016年3月27日(日) 
  • 第75回 東京文学サロン月曜会 J.D.サリンジャー 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」

第75回 東京文学サロン月曜会 J.D.サリンジャー「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、桜も咲き始めた春の日、代官山chano-maにて開催されました。



不朽の青春文学として名高い本作、野崎孝訳の「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルは一般にもかなり有名ですね。実際に読んだのは今回が初めての方も多かったようです。「つかまえて」のイメージからか、「完全に恋愛ものかと思ってた」という声も。

村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」



舞台は50年代のアメリカ。16歳のホールデンが学校や寮生たち、すべてにうんざりして飛び出し、ニューヨークの街を彷徨う数日間が描かれるこの作品、彼が自分の経験を語って聞かせる口語文体も特徴的です。


周りの環境や大人たちすべてを疎ましく思い、毒づいているようなホールデン。まず最初の率直な感想としては、

「なんでそこまで反発するのか共感できない」
「いや、そのモヤモヤが10代。理解できるし可愛いよね」

…という二極化。「実際に自分が10代だった頃、ホールデンくんだった」という話も出たり。

人のことを批判するけれど、直後にその人と同じ行動をするホールデンくんの可愛い(?)エピソードを振り返ったり、10代に限らず誰しも心当たりのある心の葛藤について考えるにつれ、「彼やこの物語に対する見方が少し変わってきた」という声も。



「一見意味のなさそうなエピソードも伏線が回収される構成がすごい」「穢れない存在としての子どもの描き方が象徴的」などいろいろな視点も飛び出しました。やはり単なる『多感な10代の青春物語』ではなさそうです。「後からホールデンの切実な表情が浮き彫りになってきた」という意見もあり、読書会の魅力を存分に味わえる回だったように思います。




さて、月曜会文学サロンでは毎回課題本のテーマやイメージにまつわるドレスコードがあります。今回は物語の舞台になっている「ニューヨーク」!
「ニューヨークのファッションって??」と思ってしまいそうですが、いろんな切り口があるのです。ベストドレッサーに選ばれた皆様をご紹介。



ホールデンのお気に入り、赤いハンチング帽



決戦の地ニューヨークを目指す、あのクイズ番組から。遊び心満点!!




作中のエピソードから着想を得てレコード持ってきました




現地のスクールガールを意識したり



NYブルックリン発のブランドが手掛ける、キャッチャー・イン・ザ・ライの世界観をモチーフにしたネックレス、作中に登場する回転木馬の模様、などなど。見ているだけでニューヨークに行きたくなってきます!


つづく懇親会ではグラスを片手にゆっくり語ったり食事を楽しんだり。「そちらの班ではどんな話題が出ましたか?」なんて話もできます。家にあった本を持ち寄って交換するコーナーもありますよ。(その名も猫町堂古書店。またのご来店お待ちしてます♪)


和やかな雰囲気でこのまま時間が止まればいいのになーと思うのは毎回のこと。



月曜会には古典、近代、現代、ミステリー…etc ありとあらゆるジャンルや作家さんのファンがいます。参加者も筋金入りの読書家から、「最近本を読み始めた」「読んだ本の数は少ないけど好き」という人まで、様々。
本の話も本以外の話も、好きなもので盛り上がったり知らなかったことを聞いて刺激をもらったり…そんな場所です。




次回は4月24日(日)、課題本はカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」

みなさまのご参加をお待ちしています!


文 ささ  写真 アイハナ、ogiogi、みほ

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