扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋藝術部

  • 2016年10月16日(日) 
  • 【動画付開催レポ】佐藤晃子の日本美術基礎講座 第一回

まず、こちらの絵をご覧ください。



布袋が頭の上で皿を回しています。
えっ!? 何だこの絵!?
と思わずこんな顔になってしまったのではないでしょうか?



冗談のようなこれらの2つの絵ですが、春叢紹珠の「皿回し布袋図」と風外本高の「虎図」という、江戸時代の禅僧が描いたれっきとした禅画なのです!

「日本の絵画」と聞くと、雪舟の水墨画や金ピカな琳派、浮世絵などを連想する方が多いと思います。
でも、それはあくまで一面。
こんな親しみやすいおとぼけな絵の世界も広がっているのです!
そんな一味違った日本美術基礎講座の始まりです!



会場は藤が丘のJAZZ茶房靑猫。
総勢42名の方が参加、初参加者も4名という大盛況ぶりでした!

初めに、主宰のタツヤさん、ゲストの佐藤晃子さんからご挨拶。





第1部はテーブルごとに分かれて読書会。
課題本は金子信久「日本おとぼけ絵画史」、副読本は佐藤晃子さんの「画題で読み解く日本の絵画」
佐藤さんによると、変な絵ばかりだけど画題はマトモな本ということもあり選んだそうです。



レポートの冒頭で紹介したようなツッコミどころ満載の絵ばかりで、各テーブルで話が盛り上がりました。













「作品を何百年を大事に残してきた所有者の方々がすごい!」
「変な絵でも、部屋の中で壁に掛かっている写真を見るともっともらしく見える。実際の光景を見てみたい。」
「若冲が伏見人形のかわいい絵を描いていたなんて知らなかった!」
「お殿さまの絵が味わい深い。」

などなど、多彩な絵があるだけに感想やツッコミどころも十人十色。
そして、自分で読んだときにはあまり注目していなかった作品でも、他の参加者の意見を聞くことで、その面白さに気付けたという方が多かったのではないでしょうか。
これぞ読書会の醍醐味なのです。



第2部は佐藤さんのレクチャー。テーマは「画題」





例えば、絵のタイトルに寒山拾得や蝦蟇鉄拐とあっても、たいていの現代人には誰それ?でしょう。
でも、彼らのエピソードをかじると共に、
・髪がボサボサの怪しい笑顔の2人組:寒山拾得
・3本足のカエル:蝦蟇仙人
など、ちょっとした表現のパターンを覚えるだけで、とたんに絵を見たときに彼らの姿に親しみを感じられるようになります。



また、レクチャーでは、同じ画題というワクの中で、画家がどう個性を発揮したかについてもふんだんに解説して頂きました。

例えば、達磨。
一般的なイメージは、雪舟が描いたこんな姿でしょう。



ですが、レクチャーで参加者の心をわし掴みにした達磨がこちら!



これぞ、ダンディ達磨!!(佐藤さん命名)
江戸時代にラッセル・クロウがいました!
参加者の達磨の固定観念が見事に壊されました。


また、「画家によって岩肌や頭の形などに独自の書き癖がある」、「作者不詳の絵は由来がはっきりしている「基準作」を参照して決める」「上手い画家は重心が分かっている。網のしなり具合とか。」など、興味深い話題が次々と繰り広げられ、参加者の皆さんは興味津々で聞いていました。



豊富な引き出しによるよどみない話とキャッチ―な言葉の連続で非常に密度が濃く、
何よりも佐藤さんの「絵が大好きだ!」という気持ちが終始溢れ出るレクチャーでした。


レクチャーの後は、懇親会会場の「和バル酔ったれ屋」へ移動。
引き続き佐藤さんにもご参加いただき、あちこちで話に花が咲いていました。












さて、「佐藤晃子の日本美術基礎講座」はこれから1年かけて全4回のシリーズとなります。
そして、第2回の講座は2017年1月15日(日)の開催です。
課題本は、矢島新&山下裕二&辻惟雄「日本美術の発見者たち」で、レクチャーは曽我蕭白が中心の予定です。

もちろん、第1回に参加していない方も大歓迎!
ご参加お待ちしております!



また、1月が待ちきれないという方には、11月6日に京都で特別イベントが開催されます。
関西猫町倶楽部の主催で、課題本は辻惟雄著「若冲」
現在募集中です!
詳細は以下のリンク先で。
http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/39067




文:イノッチ、写真:あにき

開催結果レポート一覧に戻る

最新の開催結果
【猫町オンライン】シネマテーブル『ザ・ファイブ・ブラッズ』
【猫町オンライン】シネマテーブル『ザ・ファイブ・ブラッズ』
開催結果をすべて見る
  • 入会・参加方法
  • メディア掲載実績
  • 取材について
  • 特定商取引法に基づく表記
  • 名古屋シネマテーブル水曜会

このページのTOPに戻る