猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2016年9月22日(木・秋分の日) 読書会13:50~15:10、DJバトル15:20~17:50、懇親会18:00~20:00
- 東京藝術部読書会&DJバトル「ジャズvsクラシック大戦争」
昨年のハロウィンに名古屋で開催され、大好評だった「ジャズvsクラシック大戦争」が遂に東京でも開催。場所は今年5月に開催されたクラシック鑑賞会のレクチャーで使用した、錦糸町のシルクロードカフェ。当日は足元の悪い中、多くの人に参加して頂きました。
名古屋とは異なり、東京ではまずは読書会から。今回の課題本は、ゲストである鈴木さん・大谷さんの著作いずれか1冊を読んでくる、猫町では珍しい紹介本形式。過去に課題本になったもの、お二人の共著を持ってきた人、ジャズもクラシックも初心者な方、参加した人の視点は参加者それぞれ。単に本を紹介するだけでなく、普段の音楽鑑賞や音楽から見た世代論まで、ゲストお二人にも読書会の輪に交じってもらいながら話題は多岐に渡りました。
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休憩を挟み、いよいよ今回のメインである「ジャズvsクラシック大戦争」!事前にお二人に伝えられていた「お題」をテーマに、ジャズ・クラシックそれぞれの1曲を流してもらいます。前回の名古屋をふまえ、よりひねったお題が届けられた二人。大谷さんが「今回のお題はジャズが不利。負けないようにしたい」と言えば、鈴木さんは「今回はひねらずにできた。お題があるのがクラシック」とコメント。
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さて、1曲目のお題は「トイレに間に合うか危うい状況で頭の中に流れる曲」。最初からインパクトのあるお題。
[Jazz] Boogie Stop Shuffle / チャールズ・ミンガス
[Classic] 平均律クラヴィーア曲集より第6番 ニ短調フーガ / BWV851 / バッハ
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2つ目のお題、「自分のお葬式でかける曲」。鈴木さんの先行で、ショスタコーヴィチのオペラ「マクベス夫人」。鈴木さん「ショスタコの暗いのは重い。」
[Classic] オペラ「マクベス夫人」/ ショスタコーヴィチ
[Jazz] HE LOVED HIM MADLY / マイルス・デイビス
大谷さんの選曲は、マイルス・デイヴィスのHe Loved Him Madly。
マイルスによるドゥーク・エリントンへの追悼曲。実際は32分もの大曲ですが、これについて大谷さんは「マイルスは演奏者に、これは追悼曲だと教えてたかどうかわからないんだよね。マイルスのことだから、言ってなかったかもしれない」とのこと。
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3つ目は「愛する猫に捧げる曲」。お二人は共に愛猫家なのですが、このお題には「猫には捧げたりしませんよ」「猫には餌を捧げるものだよね」と厳しい突っ込みが。
[Jazz] トリプル・キャッツ / 山下洋輔
(動画なし)
[Classic] 猫の二重奏 / ロッシーニ
鈴木さんの選曲した音源、演奏された時の会場の爆笑の声まで収録されており、会場に笑いがどんどん電線していきます。これについて大谷さんが一言「笑いの響きの声もクラシックだね。ホールの音が鳴ってる」
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4つ目のお題はアジアンテイストな会場に関連するものとして「アラブ」。これについても「アジアとアラブって微妙に違うよね」と突っ込みを頂きながらも「僕らの思っているアラブっぽいのってあまりないよね。思ったより綺麗なのが多い」とのこと。
[Classic] ホリデー序曲 / オブタイ・ツルフガロフ
[Jazz] アラブメドレー / アビシャイ・コーエン
ここで反響が大きかったのがイスラエル出身でありジャズベーシスト、アビシャイ・コーエン。現代ジャズの「肩肘張らずに聴ける」音楽は参加者の多くが「また聴きたい!」と声があがるほどの評判でした。
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5曲目のお題は直球に「変態」。大谷さん「広いよね。わかりやすい変態とわかりにくい変態とあるし」鈴木さん「わかりにくい変態こそ変態だよね」大谷さん「MJQのジョン・ルイスはわかりにくい変態。これについて話すと1時間かかっちゃうから今回は取り上げないけど」それはそれですごい聞きたい…と内心思いつつ、以下の選曲を。
[Jazz] Ritual Fest Of The Libido / Cromagnon
[Classic] ボレロ / ロリン・マゼール(ウィーンフィル)
それぞれの選曲に対し、鈴木さん「これいいね。買おう」大谷さん「これ持ってる。すごいよね」とお互いに意気投合した反応。流石、猫町倶楽部のゲストでは常連?なお二人。息の揃った反応です。
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ちなみにですが、曲単位でのジャッジの風景はこんな感じ。前方では日本野鳥の会の人が使うような数取機(今回のイベントで初めて名称を知りました)で一人ひとりカウントしています。
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折り返しも過ぎ、6つ目のお題は今回のテーマでもある「戦争」。
[Classic] ディヴェルトメント第1番 開戦 / ミシェル・コレット
(動画なし)
[Jazz] I’ll be seeing you / ビリー・ホリデイ
大谷さん「チェンバロはずるい。音が面白すぎる」
鈴木さん「前回もチェンバロで2つぐらい選曲しました」
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7つ目のテーマは「小学生に聴かせると反応が面白い(かもしれない)曲」。
[Jazz] LOVE CRY / アルバート・アイラー
[Classic] アバンチュール / リゲティ
「元気のいい子か元気のない子だったかわかる選曲だよね」
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8つ目のテーマは「2020年東京オリンピックのテーマ曲」。
「2020年は国が亡びるかどうかの境目だから」「追悼ですね」「トドメを刺されたって感じでしょ」言いたい放題なお二人笑
[Classic] 悲しみの聖母 / ペルゴレージ
[Jazz] Anode #1 / 大友良英
あまちゃんで一躍有名になった大谷さんの選曲について、鈴木さん「あまちゃんやると聞いて、こんな曲が流れると思ったけど、全然なかったよね」大谷さん「いつか公共の電波を使って、こんな曲を流してほしいよね」
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9つ目はこれまた直球な「宇宙」!
[Jazz] Saturn Research / サン・ラ
[Classic] バレエ「四大元素」/ ジャン=フェリ・ルベル
「ジャズは宇宙あるよ。よくわからないけど宇宙派という黒人音楽があるの」「60年代のアメリカに産まれたら、人口の7割が宇宙派だよね」「クラシックで宇宙ってホルストぐらい?」「ホルストは宇宙じゃない。あれは占星術を表したものだから」
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いよいよ最後、10個目のテーマは「泥酔している時にテキーラで追い打ちをかけたような曲」。大谷さん「泥酔している時にテキーラで追い打ちをかけたことあります?俺はあります。」鈴木さん「似たようなことならありますね」
[Classic] センセマヤ / レブエルタス
[Jazz] Louis Armstrong / クリスチャン・マークレー
(動画なし)
大谷さんの選曲は現代音楽家でありコラージュを用いたターンテーブル演奏のパイオニア、マークレーのアルバム「More Encores」に収録された1曲。これに対する鈴木さんのコメントは「これはいいね」「おなじことを何回も繰り返し言ってる酔っ払いみたいだね」
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そして最後に結果発表!テーマ別では10個のテーマでジャズが6、クラシックが4の僅差、
個別得点は以下の通りです。
お題1《大谷28/鈴木9》
お題2《大谷11/鈴木25》
お題3《大谷5/鈴木36》
お題4 《大谷39/鈴木3》
お題5 《大谷14/鈴木26》
お題6 《大谷24/鈴木18》
お題7 《大谷29/鈴木12》
お題8 《大谷26/鈴木14》
お題9 《大谷14/鈴木27》
お題10《大谷36/鈴木2》
総合点数は226対172票。今回はジャズの勝利でした!前回はクラシックが勝利したこともあり、結果は名古屋・東京合わせてイーブンとなりましたね。もし第3回が企画されたとしたら、次はどちらが勝利するでしょう?
DJバトルが終わった後は懇親会。読書会の話で盛り上がる人、初めてジャズやクラシックに触れた感想を述べる人、ゲストと積極的に話す人、ゆるい感じながらも話のはずむ時間でした。
なお、鈴木さん、大谷さん、共に新著を現在準備中とのこと。こちらも楽しみですね。
最後に記念撮影を。長丁場のイベントとなりましたが、参加された方には楽しんで頂けたでしょうか。
さて、東京藝術部、今回が第4期サポーターによる最初の企画。今後も参加者の方には藝術部でしが触れることのできない、面白い企画を今後も検討していますので奮って参加してくださいね。サポーター一同、お待ちしております。
文:次郎 写真:yoji、きむ