猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年1月18日(水) 19時受付、19時半開始
- 名古屋シネマテーブル 第77回「無垢の祈り」
痛みはなかった。
「何しに行くの」と怪訝そうな表情をする人も少なくなかった。
それは今まで学校や町で自分に向けられてきた目のひとつだった。
第一会場 Nov.Cafe’
名古屋市中区錦1-13-19 TEL 052-203-5811第二会場 MITTS COFFEE STAND
名古屋市中区錦2丁目8-15 錦三輪ビル1F TEL 052-222-0207
「えーっ全然、知らなかったのお」
ともちゃんは座席をガタガタ揺らして驚いた。
母は彼らと一緒になると聞いたこともないような言葉を多用しつつ何やら熱っぽく語り始め、次第に眼が吊り上がってくるのだった。
ふみは顔をあげた。集まっていた周囲の視線が粉を吹いたように散る。
ふみは背中の毛がゆっくりそそり立ってくるのを感じた。
全身が歯痛になったように疼き、考えがまとまらなくなっていた。
腕の震えが酷く、自分で抑えることができなくなっていた。
ふみは泣いてはいなかった。ただ本格的に考えなくちゃいけないと思っていた。
ふみの言葉に義父は咳き込み、やがて低い笑い声が場内に響いた。
「どうする? 帰る? それともいる?」
懇親会会場 Elephant’s Nest
名古屋市中区栄1−4−3 TEL 052-232-4360
伏見駅(鶴舞線、東山線)7番出口より西へ徒歩3分
ふみは目元を覆った時、初めて自分が涙を流していたのに気づいた。
~テキストは 光文社文庫 平山夢明「独白するユニバーサル横メルカトル」収録、「無垢の祈り」より
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というわけで名古屋シネマテーブル 第77回「無垢の祈り」、名古屋での上映開始からシネマテーブル開催まで2週間足らずというタイトな中、38名(うち初参加1名)のみなさんにお集まりいただき2会場での開催となりました。
今回からファシリテーターは事前依頼ではなく、参加回数4回目以上の方の中からでファシリ経験の少ない方優先で その場で決める方式に。
立候補などで各テーブルつつがなくファシリテーターも決まり、シネマテーブル スタートです。
今回の名札は、チョークで書ける黒板仕様。ウェットティッシュで拭き取れるので、お名前はバッテンしなくても何度でも書き直せます。
義父の「見〜つけた」お面は、ネットで見つかりたくない撮影NGの方用。
サイン入りの原作本!
・表現規制に興味があるので観た。それについてみなさんがどう思うのか伺いたくて参加した。
・重たくてしんどくてなかなか言葉にするのも憚られる、映画というフィルターがかかりにくい気分のワルい映画。
・一回じゃ解らないことがあるけど二回観るのは勘弁。
・もう一度観たいと思うことに罪悪感を持つ。それでも惹かれてしまう。
・どこまで行ってもどこにも辿り着かない。
・エンドロールで水面を映し景色が逆さになっているのは、メビウスの輪のように終わらない円環を表しているのでは。
・時系列の話とか小物の意味とか、みんなで話していく中でどんどん繋がっていってそこで初めて気付いたり理解が深められたり、シネマテーブルの醍醐味というか、面白さを改めて実感した。
・美しさを感じた。
・それがプラスにしろマイナスにしろ、感情を動かされるという意味では「感動」する映画。
など、ふだんより笑い声の少ない静かな会場でしたが、それぞれ熱心に話し込んであっという間に定例会終了の時間に。
懇親会では、去年末から話題の「ドント・ブリーズ」テーブルも設けました。
そしてまだ「無垢の祈り」の話が止まらない人も…。
まだまだ話し足りないこと、尽きない映画への疑問、ひとこと感想などはこちらにもお気軽にどうぞ。
mixi「話し足りん!」
「無垢の祈り」監督: 亀井 亨
(2015年/ビスタサイズ/ステレオ/85分)
R18+
次回の第78回名古屋シネマテーブルは2/25(土)、月曜会連動企画「沈黙 -サイレンス-」です。
来月もみなさまのご参加をお待ちしております。
お申し込みは猫町倶楽部ホームページから!
http://www.bookreading.nekomachi-club.com/side/124
文章:シロ
撮影:シネマテーブル サポーター