猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年1月20日
- 名古屋アウトプット勉強会第121回『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン他著
第121回猫町倶楽部アウトプット勉強会が1月20日(金)にウインクあいちにて開催されました。参加者は38名でした。
今回の課題本は2016年に出版されたリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットによる「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」です。リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットは、ロンドン・ビジネススクールの教授であり、リンダ・グラットンには他に「WORK SHIFT(ワークシフト)」(2012年)や「未来企業」(2014年)等の著書があります。
書店で最初にこの本を見かけたときは、妙にタイトルがキラキラしていて、書名が「LIFE SHIFT」。自己啓発のたぐいの本かと思っていると、違いました。近い将来多くの人が100歳を超える寿命を持つ社会が到来するのを控え、いかに意識改革をし、計画を立てていくべきかという内容の本でした。それをお金、仕事、健康、時間、人間関係といった切り口で分析されています。大学教授の書かれた本で注もたくさん載っており堅い本の印象があるものの、実際は非常に読みやすく分かりやすい本だったので、400ページの本ではありますが皆さんサクッと読めたのではないでしょうか。
アウトプット勉強会は7人程度のグループに分かれて課題本についての意見を交換し合います。その際進行役となるファシリテーターを決めることになりますが、今回はチョコレートのおみくじによって決めました。参加者にチョコレートを選んでもらい、その包み紙におみくじが書かれています。そして大吉の人がファシリテーターとなります。おみくじも引けて、チョコレートも食べられて、お得なファシリテーター決定のプロセスでした。
テーブルでは大多数の人が本書に高評価を示していました。さまざまな未来予想の本は出版されていますが、たいていが「これから大変なことになる!」といった脅しに近い内容で、暗い気持ちにさせられてしまいます。しかし本書は「なんだかんだでうまくいくよ」と安心感を与えてくれます。希望がないところに意識改革は難しいですからね。また特に終章では、それぞれの個人、企業、国などが計画を立てる一方で、さまざま試行錯誤をして今すぐ行動しようという前向きなまとめに、多くの参加者が賛同していました。
一方いまいちだったという人の意見としては、これは恵まれている環境の人の話であって、庶民感覚ではないというものでした。時代に合わせて自分を意識高く変えていくことは誰もができるわけはありませんし、そもそも経済的に恵まれない環境にいる人は現状を突破しさらに上を目指すことが難しいのかもしれません。
本書ではこれからは「取捨選択」の重要性についても強調されています。情報があふれ、さまざまな人と簡単に繋がることができ、時間や空間の制約がどんどんなくなっています。それは便利であり、あらゆる可能性を広げてきた一方で、人生が長くなる上でどうしても自己に目を向けなければいけません。つまり「本当に自分に必要なことは何だろう」と考えることです。テーブルでは身近な話として、スマートフォン依存やSNSの繋がりについて話題に上がり、実際に無制限にいろいろな人と繋がるのを避けたり距離を置いたりしている参加者もいました。テレビを見ない、自分にプラスになる時間や趣味の活動を大事にする、付き合う人を選ぶといった提案もありました。
猫町倶楽部にはさまざまな職種の参加者がいるため、仕事についての話題も盛り上がりました。働き方の将来図が提示される本書を読むと、「今の自分の仕事でいいのか」と考えさせられたという参加者もいました。本書では寿命が延びるに従って働く時間も延びるのだから、やりたい仕事をやろうと書いてあります。いかに今の仕事をやりがいのある仕事に変えていくか、やりがいだけでなく収入も増やせるかどうか、あるいは思い切って転職するか、どうしても利害関係が絡んでしまう職場の人間関係をどうするか・・・・・・参加者のさまざまな悩みや意見を聞くことができました。
アウトプット勉強会では最後に「実行宣言」として、各グループから選ばれた人が課題本を読んで実行しようと思ったことを発表していきます。今回もさまざまな意欲的な発表がありました。
アウトプット勉強会が終了すると懇親会会場へと移動。ドタ参加もあり26名の方が参加し、語り足りないことを話したり、違うグループだった人と交流したりしました。お店の閉店時間間際まで盛り上がりました。
次回の名古屋アウトプット勉強会の課題本は「あれか、これか――『本当の値打ち』を見抜くファイナンス理論入門」(野口真人)で、3月1日(水)に開催します。ぜひ皆さんご参加ください。
文:Camille 写真:わとう