扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

関西アウトプット勉強会[ビジネス]

  • 2017年02月18日 (土) 17:30~20:00
  • 関西アウトプット勉強会第82回『大衆の反逆』オルテガ・イ・ガゼット著

第82回関西アウトプット勉強会が、2月18日(土)、ちゃやまちアプローズにて開催されました。


今回の課題本は、オルテガ・イ・ガゼットさんの「大衆の反逆」。読書会に参加するためには、課題本を読了しなければいけません。

そしてもう一つ、大事な大事なルールがあります。それは、「人の意見を否定しないこと」。このルールがあるからこそ、みんなが気兼ねなく自由な議論ができ、人の意見から新たな発見を得る事が出来ます☆

会場に入るとサポーターと呼ばれる運営ボランティアスタッフがお出迎え。みんなこの関西アウトプット勉強会が大好きで、みんなでより良い会にしていこうという思いで、半年ごとに参加者さんの中から希望者を募り、運営のお手伝いをしています♪


さて、今回の課題本である「大衆の反逆」は、解説込みでページ数302ページの文庫本ですが、世界恐慌で有名な1929年にスペインで出版された本という事もあり、当時の時代背景を分からずに読むといろいろとピンと来ないところも多く、多くの方が読むのに苦労されたようです^^;。また、オルテガさん自身が「いたずらに公正を旨とする批評は無個性の批評である」と断じている点もあり、なかなかにして過激な文章も多く、一人で読んでいる時はモヤモヤした気持ちで読んでいた方が大半であったような感じでした。

しかし、そういった本だからこそ盛り上がるのが読書会の醍醐味!!参加者はちょっぴり少なめの初参加者2名を含む18名でしたが、少し難解な課題本であった分、人によって捉え方がそれぞれ違っていてとっても楽しい読書会になりました☆


以下、読書会で挙がった意見や議論のうち、特に印象に残った箇所の要点を整理していくつかシェアします♪
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・この本の事が内田樹さんの書籍『知に働けば蔵が建つ』にも引用されていたので一度読んでみたいと思っていた。周りに同調するという行為は、良い方向に進む場合もあるが悪い方向に進む危険性もある。
 例)「必死に勉強してる人って何かオシャレじゃないよね」
   「定職についてる人って何か必死でカッコ悪い(笑)」
   「ニートって何かオシャレ」

・一部の人にゆだねるという考えには賛同し兼ねるが、確かに代案無く批判ばかりしていても何も生まれないという点には共感。

・スマホなどの利便性は誰かの努力によって実現しているはずなのに、知らず知らずのうちにそれが当たり前にある空気のような存在に感じてしまっていた自分に気づかされた。

・自分よりも立場の弱い敵との共存こそが強い国家や強い企業を作る。

・批判哲学と呼ばれているカントの思想を徹頭徹尾飲み下し、その長所を消化し切った上でカントの思想の限界を知り、そこで生まれたのがオルテガさんの思想。批判するだけなら誰でも出来る。代案無き批判は価値が無い。

・四世紀前に世界最大の帝国を築いた祖国スペインが、1898年の米西戦争における敗北によりわずかに残っていた植民地の全面的喪失により無気力な虚脱状態に低迷しているスペイン人の魂を、言葉という鞭で目覚めさせ、再生させ、その生命力を「時代の高さ」にまで高めようとする愛国心と教育者的使命感で書かれたのが本作品。そういった時代背景を知った上で再度読み返してみると全く違う印象の本に変わった。


・「ばかは死ななければなおらないのであって、ばかには抜け道はないのだ」←ここまでオブラートに包まずストレートに表現されると逆に心地良い(笑)。

・技術の世界では、今ある知識をすべて理解してからさらに発展させようとしたら生きている時間では足りないので、それはそれとして専門の領域の研究をするしか無いと思う。一方で、基礎科学を「役に立たない学問」と思ってしまっていた自分に気付かされた。お互いがお互いを尊重し尊敬し合う気持ちが大事だなと強く感じた。

・著者はおそらく自分は「真の貴族」と思っているだろうけれど、それならそれでもっと知識人らしいことを書いてほしかったのに、同じことを言い方を変えて書いているだけで、「所詮はこの程度の人か」と思ってしまった。一方で、具体的に何を為すべきかはおのおのが考えるべき事であり、かつオルテガさんも成功はしなかったものの具体的に政治家として活動をしていたようなので、もっとオルテガさんの事を知ってみたいと思った。

・自分の会社にひきつけて考えると、本当は大衆な人が偉い立場になってしまっていたりするから、良くないことになっていることが多い。

・「国家とは何よりもまず一つの行為の計画であり、協同作業のプログラムである。国家とは、血縁関係でも無ければ、言語的統一体でも領土的統一体でも無く、住居の隣接関係でも無い。」→日本は島国なのでなかなかこういった考えに馴染みが薄いが、隣国との時間的な距離が縮まった今だからこそ、中国などの隣国の意見を尊重し仲良くしていくべきなのでは?


———————–
みんな全く同じ本を読んでいるにも関わらず、その人の生きてきた背景で感想や受け止め方が全然違うというのが読書会の醍醐味。その中でも特に関西アウトプット勉強会では、やや読みにくい本であったり事例はたくさん紹介するものの具体的にどうすべきは各々で考える事を促すタイプの本が課題本になる事が多いので、自分の好きな本が課題本になった時に参加するのももちろん良いですが、むしろ一人で読んだら挫折するタイプの本が課題本になった時の方が楽しめるような気がしています☆

読書会終了後は、次回の告知並びに関西月曜会サポーターのタクミくん並びに金沢月曜会リーダーのふくしげさんよりイベントの告知案内。


関西アウトプット勉強会では主にビジネス書や哲学書などが課題本になる事が多いですが、月曜会では文学書が課題本となっています。どちらも違った良さのある会ですし、こちらも併せて参加されますとより楽しめるかも知れません♪

そして、最後に集合写真をパチリ!!


参加者全員での集合写真ですが、仕事をさぼって参加した方、すっぴんで写真を撮られるのが恥ずかしい方、また、身元がばれてしまうと大変な要人については自由に課題本でお顔を隠して頂いて構いませんのでご安心下さい☆

読書会終了後は、会場を変えて懇親会へ。読書会とはまた違った雰囲気の中、美味しいお食事とお酒(もちろんソフトドリンクも)で話が弾みます♪




こういった会はどうしても長く続けていくと常連メンバーが幅を効かせていたり仲良しメンバー同士でしか通じない内輪トークに花が咲いたりする事が多い気がしますが、常連メンバーの多くはサポーター経験者であり、毎回新しい人が参加してくれる事こそが関西アウトプット勉強会の良さだと思っている人たちばかりですので、きっと初参加の方でもすぐみんなと打ち解けると思います♪また逆に、読書会ではなかなか仲良しメンバー同士で同じ席にさせてもらえないという事もあり(笑)、読書会以外のプライベートの場でも積極的な交流(例:フリースペースを貸し切っての人狼ゲーム大会やスイーツ持寄り会、電車を1台貸し切ってのお座敷列車や文楽観賞、座禅体験などなど)を行っています☆初参加の方こそ是非是非ご参加お待ちしています♪

ちなみに来月の読書会は、

3月11日(土)17:30〜   ピエール・バイヤール著『読んでいない本について堂々と語る方法』です。

http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/42665

「じゃあ課題本を読まずに参加してもOKなのか?」というツッコミも多数あるとは思いますが(笑)、タイトルから連想されるHow To本といったたぐいの本では無く、「本について語る事は本を書く事と同じくらい創造的で有意義な事なんだよ」という事を教えてくれる、まさに読書会参加者にとって必見の本です☆「今月の課題本、難しくて全然分からなかったし参加はやめとこうかな…」みたいな人も、この本を読めばきっと自信満々に読書会に参加する事が出来る事でしょう♪

ちなみに会場ですが、これまでのちゃやまちアプローズから梅田阪急ビルオフィスタワーに正式変更となり、地下鉄やJRでお越しの方の利便性も良くなりました。また、安くて美味しい飲食店街も近くにたくさんありますので、懇親会の参加費用をお安く出来るお店を鋭意検討中です。みなさまのご参加をお待ちしています♪

(文 : VAN   写真 : まこと)

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