扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

特別イベント

  • 2017年2月25日(土) 
  • 金沢月曜会 第16回 アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』

これは、不眠の本であるだけでなく、旅の本である。
不眠はこの本を書いた人間に属し、旅行は旅をした人間に属している(P.005)。

そんな風に始まったとか始まっていないとか(始まっていません)
第16回 2017年2月25日(土)、お馴染み片町のfull of beansにて
記念すべき第16回金沢月曜会定例会を開催いたしました。
(毎回記念しているというツッコミ無用です)






2月の課題本は「インド夜想曲」(白水Uブックス)(著者:アントニオ・タブッキ )です。
フランス語の文学が仏文ならイタリア語の文学は伊文とでもいうのでしょうか。
寡聞にして聞いたことありませんが。
イタリア人にしてポルトガル語が好きって、普通なのかなぁ(複線です
翻訳は須賀敦子さん。参加者からのは「文章の流れがさらっとしていて
どことなく文章のアチコチが須賀敦子っぽい感じ」という感想も聞かれました。

あらすじを書くと
イタリア人であるルゥが、 失踪したポルトガル人の友人シャヴィエルをインドまで探しに行くというお話し。
シャヴィエルはインド人の血を引いているとか、娼婦の恋人がいたとか、神智学教会との文通があったりとか
失踪しつつも手掛かりは結構あって、見つかりそうな予感もあったりなかったり。
その上で友人を探すために、ボンベイ(ムンバイ)→マドラス(チェンマイ)→ゴアと色んな旅をし
ホテルに泊まったり、色んな人とお話しながらも友人を探すが、実は・・・。
ちなみに舞台となっているホテルは実在するそうです。
このように書くと、この本は小説でありつつ、ガイドブック的な要素もあるという複雑な構成でしたね。
(なお、主人公がインドに持っていく本もガイドブック一冊だと言うのも暗喩的です)





読書会の前にはリーダー兼受付兼会計兼ファシリテーターが
本のあらすじのおさらいや話題になりそうなポイントや疑問を考えています。
そのため、初めての方が参加していても、安心してご参加いただけます。
ちなみに今回の参加者の内訳は
男:女比は1:3
居住地別では石川:富山が2:2でした。

まずはお互いの自己紹介をしてから読書会スタートです。
今回は、久しぶりの方も、初参加の方もいらっしゃり、自己紹介は盛り上がりました。
少ない人数でゆっくり話せるのも、金沢月曜会の魅力かなと思います。

話題になったのが、エピソードの全てがインドらしいということ。
色んなトラブルもインド的だし、お金で色んな事を解決しちゃったりとか、バスの停車場で過去と未来を見てもらったりとか。
なお、旅行好きの方から海外の長距離バスって、都市と都市の間での停車場がよくありますね、という感想も。
他の参加者からは、確かにと納得の声も。
何度も登場する「小さなスーツケース一つ」のくだりはみなさんそれぞれ色々な感想がありました。
個人的には「魂の入れ物」説が有力じゃないかと思っていますが、みなさんどうでしょうか。

海外の文学には必ず遭遇する宗教の話も多く出ました。
シク教徒、ジャイナ教徒、ゾロアスター教、グノーシス神秘主義者などなど。
教義によって着る物や食べるものも決まったり、明確には書かれていないものの鳥葬を思わせるシーンもあって、ドキリ。
また、別の参加者からは、ポルトガル人の友人とインドとの関係を、宣教師の関係に置き換えた感想もありました。

色々な都市をめぐり、色々な人に会って話をするたびに少しずつひも解かれるシャヴィエルの秘密。
主人公が 友人シャヴィエルを探しに病院に行くと、ヨーロッパ帰りの心臓医師に言われる言葉は、深く心に刺さりました。
「インドでは失踪する人はたくさんいます。インドはそのためにあるような国です」

また、内容はもちろんのことですが、その特徴的な翻訳に惹かれた方も多くいたようでした。
文章が軽妙なのでサラサラと読み進めていけるのですが、あるときにふと立ち止まると、読んでいる意味が分からない、なんて経験をした方も多く、もう一度何ページか前に戻って読みなおししたという経験談もありました。

最後にみんなが心に残った一文を引用します。

盲目の知識は不毛の土壌しか作らない。狂気の信仰は自分の祭儀の夢を生きるだけで、あたらしい神はただひとつの言葉にすぎないが。
信じてはならない。あるいは求めてはならない。すべては神秘だ(P.081)。

今回も自分が一人で読んでいたら決して思いつかない話にたくさん出会えました。
ありがとうございました。
できれば、映画「きっと、うまくいく」も見てね。

猫町倶楽部唯一のルールは「他人の意見は否定しない」です。
これさえ守っていただければ話す内容はどこまでも自由なので話題は尽きません。

パチリ




次回の定例会は3/25(土)、シェイクスピアの「マクベス」です。
みなさまのご参加お待ちしております。

どっとはらい


懇親会の一枚





文 ふくしげ(アピール下手)
写真(撮影) Sさん、ふくしげ

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