猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年5月19日(金)
- 月曜会藤ヶ丘会場 村上春樹『騎士団長殺し』
2017年5月19日、透き通るような若葉が風に揺れる夜のJAZZ茶房靑猫で名古屋文学サロン月曜会5月定例会「騎士団長殺し」が開催されました。今回は課題本が村上春樹のホットな最新作であることもあり、51名(うち初参加13名!)での賑やかな読書会になりました。
読書会開始前の恒例の「猫町ジャズ講座mini・歴史編」ではウェイン・ショーターのアルバム「Speak No Evil」を取り上げました。「ウェイン・ショーターはあのマイルス・デイビスが熱烈に(メンバーに)欲しがったサックス奏者です」と靑猫マスターの高橋さん。「このアルバムは通好みですがこれが好きなら一生ジャズといいお付き合いができると思います」ジャケットもかっこいい!
一曲目には「Witch Hunt」を鑑賞。クリアなサックスの音が意外な強弱の波をつけて流れ出てきます。
二曲目はアルバムのタイトルである「Speak No Evil」を鑑賞。マスターは「以前とりあげたコルトレーンの音で埋め尽くすような演奏とは違いショーターは少ない音で空間を巻き込んでいく知的な印象が目立ちます」と解説、クールな音が会場に響きます。
★★★
「猫町倶楽部のルールはひとつ、他人の意見を否定しないことです。それでは読書会をお楽しみください」
「この物語のイデアって結局なんだったのだろう?」「雨田具彦の化身ではないかな」「村上春樹の作品の中では少しパンチが弱いかも」「スバルフォレスターの男は何者?」「物語にちりばめられている比喩の意味を考えながら読むのが楽しかった、二回読んでもわからないところがあったからもう一回読んでみたい」「実家に上田秋成の全集があったので読み直してきました」
「私はデザイン関係の仕事をしていますが、この作品を通じて村上春樹がクリエイターという職業に対してどんな思いをもっているか垣間見えた気がしました」「過去の村上春樹の作品で読んだことがあるような描写がよく出てきますね」「奥さんがいなくなる男の話って何回目だっけ?」「暗闇の中に踏み込んでいく場面も既視感が」「この作品は村上春樹のベストアルバムだ」
「物語の映像が浮かびやすく、四角形が重なって輪になっていくような不思議な感じがする」「続編は出るの?」「きっと出るよ」「騎士団長殺されていなくなっちゃったし、続編が出るならタイトルが変わってるかも」
「物語の中に出てくる食べ物がおしゃれでおいしそう」「免色さんの家に招待されたい」「別の作品で出てきた青豆(グリーンピース)もおいしそうでしたよ?」「なんでこういうオトコはパスタとかサラダを作りたがるんだ?」
「ジョージ・オーウェルの一九八四年を意識しているようだ」「芸術作品も免色の屋敷もなにか危険で悪しきものがあるように感じられる」「危険な地下におりていく主人公の行動はどういう意味を持つのだろうか」「なんで村上春樹の作品の主人公はいつも35歳前後なの?」
読書会も終わりが近づいてきます。
課題本に合わせて選曲された靑猫マスターの今日の一曲は、日本のロックバンド四人囃子の1974年のアルバム「一触即発」より「空と雲」です。マスターは騎士団長殺しを読んでいる最中、なぜかこの曲のことを思い出していたそうです。
今回のベストドレッサーのみなさんです。今回は課題本の副題に因んで「イデア」または「メタファー」がドレスコードのお題です。
「作中のまりえちゃんにドーナツを買ってきました」と笑顔の方、ミミズクに因んだこだわりのアイテム、作中の「顔なが」を意識した出で立ち、なんと出刃包丁の工作まで今回も個性的でキレのあるドレスコードへの思いが光る7名のみなさん、おめでとうございます。
クワトロバールエム・フォーに会場を移しての懇親会です。今回は立食形式でよりにぎやかです。「イデアに乾杯!」
猫町倶楽部名古屋文学サロン月曜会ではmixiコミュニティを中心に情報を発信しています。今回の読書会に初めて参加された方、これから月曜会に参加してみたいと思っている方は是非チェックしてみてください。
次回の藤が丘会場はミシェル・ウェルベック「服従」、名古屋会場はジョージ・オーウェル「一九八四年」です。また、猫町倶楽部全会の金沢旅行企画もありますのでどうかお見逃しなく!次回も夜の藤が丘でお会いしましょう。
文責:おりがみ
写真:月曜会サポーター