扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

関西文学サロン月曜会[文学]

  • 2017年6月3日(土曜日) 受付開始 16:30 読書会17:00~18:50
  • 第28回関西文学サロン月曜会 ミシェル・ウエルベック「服従」

もうすぐ梅雨入りが噂される中、来たる6月3日(土)、京都は一条寺にある恵文社cottageにて第28回関西文学サロン月曜会が開催されました。

今回の課題本は、ミシェル・ウエルベックの「服従」。前回の「一九八四年」に引き続き、少し内容の濃い選書となっております。それにもかかわらず、参加者44名中10名を超える初参加の方が!いつもより少しだけフレッシュな雰囲気の中、読書会が開始されました。


 

今回の課題本は、フランスがイスラム政権に侵食されるというお話。

テーマが政治や宗教色の強いものとなっており、各テーブルで中々白熱した議論が繰り広げられました。物語の道すじが難しく感じても、色んな方の感想を聞きながら補完することもできちゃいます。


 

〇本のタイトルである服従は、何を意味するのか。

・主人公は自分の欲望に服従しており、最後にはイスラム文化にも服従する。

・イスラム文化の女性は男性に服従する。

・服従ではなく、抵抗の小説だと思った。ヨーロッパ文化を未来にどう引き継いでいくかというテーマがあるのではないか。

・服従とは幸福のことではないか。主人公の流動的な態度や改宗は、重圧からの回避とも考えられる。


 

〇小説に出てくる女性について

・主人公は、女性を都合の良いようにしか考えていない。小説内での女性の扱いが酷い。

・イスラムの女性の地位は低いが、一方で女性の立場から逆に男性を利用している気もする。

・女性は相手の男性にお金と地位があれば、本当に一生子供みたいに暮らしたいだろうか。

〇社会や宗教について

・政権交代の描写があっさりしすぎている。もっと紆余曲折があると思う。

・主人公は一般的に恵まれた地位にあり、政権交代しようと危機に迫ったものがない。貧困層や社会的弱者が登場しないのも気になる。

・宗教は統治のための道具の一つなのかもしれない。

・この小説は、家族の再生産をテーマとしている気がする。

様々な議論が繰り広げられ、あっという間に読書会もおしまいの時間に。


 

読書会の後は、各テーブルよりベストドレッサーを選出していただき、その授賞式を。今回のドレスコードは「フランス」でした。


 

読書会のあとは、同会場にて懇親会!今回のテーマは「フランス&中東風ごはん」。

ハリーラ(牛肉と豆のスープ:モロッコ)、ラタトゥイユ(夏野菜の煮込み:フランス)、カスレ(白インゲンとソーセージ&肉類の煮込み:フランス)、ニース風サラダとバゲット(フランス)などなど、小説にマッチしながらとても美味しいお料理をいただきました!


 

懇親会後半では、各テーブルごとテーマに分かれて席替えタイムもあるんです。自分の好きなことを、同じことが好きな人たちと語り合えるのはすごく素敵でとても楽しい。読書会とはまた違った雰囲気を味わえ、懇親会もあっという間にお開きの時間となりました。

次回は、2017年7月1日(土)、ヘミングウェイの「移動祝祭日」となっております。初めて参加された方も、そうでない方も、読書を通してこれからも素敵な時間を過ごせるように、関西月曜会へのご参加をお待ちしております!

 

猫町倶楽部 関西文学サロン月曜会 紹介動画

 

文章:しん、写真:あおい、未来

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