猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年8月25日
- 名古屋アウトプット勉強会 第128回 「ゲンロン0 観光客の哲学」
第128回名古屋アウトプット勉強会はウインクあいちで8月25日に開催されました。
今回の課題本は東浩紀 著 “ゲンロン0 観光客の哲学“。
哲学書としては異例の売上となったこの作品、誤配するふわふわとした存在としての”観光客”に焦点を当て、複雑な現代社会を俯瞰する内容となっています。
・全然とはいわないまでもほとんど理解できなかった。
・「誤配」や「観光」という言葉が自分の定義とズレていたり、「マルチチュード」などの横文字が理解を遠ざけた。
・ネットワーク理論に関する記述は、唐突感が否めなかった。
・ダークツーリズム的発想による「福島第一原発観光地化計画」には、非常に違和感を覚えた。
など、最初はかなり取っ付きづらい印象を受けた方が多かったようですが、実体験を踏まえた意見を皮切りに、各テーブルでは白熱した議論が展開されました。
・コスト的にも、時間的にも世界各地に気軽に訪れることが可能になったことで、短期的な観光だけでなく中長期的に地域に定着する移民の方が増えており、地域に影響を与えているように感じる。
・実生活ではグローバリズムのメリットを享受しつつ、心の中では違和感を覚えている方の本音が表れたのが、アメリカ大統領選やイギリスのEU離脱の国民投票だと思う。
・海外の方と触れ合う機会があると言葉以上に、結婚感や家族感などの根本的な考え方が違うことを実感する。
・ 友達を7人経由すれば世界中の方とつながるというのは実感があまりわかないが、facebookを使っていると友達の友達は既に海外の方だったりする。
・自分の意図していなかった異動のことを考えると、誤配の話に近いことのように思えた。
・新生児が不気味な存在というのは実体験を通しても実感している。
・既に、観光に行かなくても、インターネットで世界中の町並みの画像が手に入り、大半のご当地土産も購入できてしまう世の中になっている。VR技術の進化によって、触覚や味覚なども疑似体験できるようになると、ますます内に閉じこもる世の中になるような気がする。
・”誤配”とは結局ノイズのようなもの。生物の進化においては、ノイズとしての突然変異がなければ進化は止まってしまう。人間の社会も同じことだと思う。
・下半身(経済)はつながっているが、上半身(政治)をつなげていくにはどうしたらいいか、我々は考えなくてはならない。
・色々な人を受け入れなくてはならないといいつつ、多様性ということ自体に受け入れられない現実がある。
・観光客に対して、菩薩の慈悲の心のように憐れみを持って接する意志が必要なのかもしれない。
最後の実行宣言では、今回の議論を受けて、あえて外に出て多様な経験をしてみたいという意見が多く聞かれました。
一人で読み切るだけでは内容を十分に理解するのが難しいこの作品、同じ本を読了した参加者が集まるという稀有な空間に身を置いて、多用な視点からの議論を行うことで、少しずつ著者の意図が読み解けてきたのではないでしょうか。
会が終わればサポーターよりいくつかご案内が。
まだ発表になっていないここだけの話や、猫町倶楽部の他の分科会のご案内も。
また当日ご案内させていただいたとおり、猫町倶楽部ではコミュニティが設置されているmixiへの登録をおすすめしています。
mixiに登録してコミュニティに参加いただけますと、いち早く情報も得られますし、交流やイベント開催などを通して、どんどん友達の輪が広がっていきますよ。
名古屋アウトプット勉強会のコミュニティはこちらまで
⇒ http://mixi.jp/view_community.pl?id=1904045
会の後の懇親会では会場近くのブリティッシュパブで引き続き参加者同士で盛り上がります。
時に堅苦しいと感じるテーマでも本を題材に色々と語れば、話は止まらなくなってしまうもの。
各テーブルではお酒も交えて、連日の熱い夜に負けないくらいの熱い議論が展開されていました。
次回、第129回 アウトプット勉強会は今回と同じくウインクあいちにて、9月22日(金)の夜に加藤陽子著 “それでも、日本人は「戦争」を選んだ“ で開催されます。
大学教授である著者が行った高校生への授業をベースに、「なぜ、近代の日本人は戦争への道を歩んだのか?」という素朴な問いに、事実に基づく中庸な視点で著者が明快に答えていく意欲作です。
次回も、皆さまにお会いできること、そして会で様々なお話ができることを楽しみにしております。
お申し込みはこちらまで
⇒ http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/48169
(文:tt、写真:わとう)