扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

  • HOME>
  • 開催結果レポート>
  • 第35回 関西文学サロン月曜会 アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』

関西文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年1月13日(土曜日) 受付開始 16:30 読書会17:00~19:00 懇親会19:00~21:00
  • 第35回 関西文学サロン月曜会 アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』

この冬、あなたが読書会の謎を解き明かす!!



2018年1月13日、あなたは西大橋のカフェバー、ラポーティアに向かった。

なんでも、ここでは毎月『猫町倶楽部 関西文学サロン月曜会』という読書会が行われているらしい。

いったい猫町倶楽部の読書会とは何なのか…。あなたは調査を開始することにした。




受付では、気立てのよさそうな女性と、ミステリアスな女性二人に出迎えられた。

読書会では、参加者のテーブルが決まっており、6~7名で課題図書について意見を交わすらしい。あなたはテーブルに案内された。

『あなたもこの読書会にはよく来ているのですか?』

ミステリアスな女性は魅惑的に微笑んだ。『はい、ほんのすこーし』




今回の課題図書は、『オリエント急行の殺人』。イギリスの女性推理作家、アガサ・クリスティーの代表的な作品だ。

何度も映画化されており、この冬もケネス・ブラナー監督の最新作が公開されている。

聞けば、今回の課題図書は『関西シネマテーブル』とのコラボ企画らしい。

『このあたりにも手がかりがありそうだ…』と、あなたは考えた。




少しずつ、参加者が集まりくる会場。みんな笑顔で挨拶を交わしている。

みんなどこから来て、どこに行くのだろう。初参加者も多そうだ。

そういう意味では参加者もまた、ひととき列車に乗り合わせた旅人のようなものかもしれない。

あなたはしばし店内や参加者を観察して楽しんだ。




司会者が現れ、会のルールの説明を始めた。この会には一つだけ守ってほしいルールがあるという。

それは、『他人の意見を否定しないこと』。そのルールによって、この読書会はここまで長く続いてきたという。

また、特別難しいことを語り合う会ではなく、気楽に本について語り合う会であることもわかってきた。

ドリンクの酔いも回り、あなたは早くも陽気にリラックスし始めた。




ラポーティア名物のサンドイッチをぱくつきながら、読書会はスタートした。このサンドイッチはうまい。あなたはサンドイッチに目がないのだ。

各テーブルには『ファシリテーター』という進行係がいて、会話をうまくみんなから引き出してくれる。初めてにもかかわらず楽しく会話に参加でき、あなたはだんだん嬉しくなってきた。

読書会ではたまたま同じテーブルになった人たちが、様々な話を交わしていた。こういった場では、普段のしがらみから解き放たれて、違う自分になれるのかもしれない。

それもまた、読書会の魅力の一つと言えるだろう。各テーブルから、楽しそうな会話が聞こえてくる…。

『この結末にはびっくりした。別の人が犯人だと思っていたのに…。』
『まさかの掟破りだ。ミステリーには暗黙のルールがあるのに、これはあっさりそれを破っている』
『でも、腹が立つというよりか、その後の人間ドラマが素晴らしくて、むしろカタルシスを感じたな』
『10代の時も読んだけど、何度読んでも面白い。ヒントがよくできてる。さすが名作だ』

『映画観た?ちょっと小説とは異なっているよね』
『うん、でも映像化されることで理解が深まったところはあるよ』
『今の時代では思いもよらないところも多々あるなぁ』
『オリエント急行のセット素晴らしかった!乗りたくなるよね』


『ほほぅ、参加者どの、盛り上がっているようだな』 あなたは耳をそばだてた。
 



読書会の最後には、本日のドレスコードである『探偵』の装いをしてきた参加者が、各テーブルでベストドレッサーを決め、記念撮影を行った。

トレンチコート、サングラス、ひげ、蝶ネクタイ、トミーとタペンス・・・。そして手作りTシャツまでも!!

ベストドレッサーの方々の『探偵』への扮し方が素晴らしく、あなたは心震わせた。この中に本物の探偵が混じっていても誰も気づくまい。

ほかにも、探偵の人形を持ってきた人や、ブックカバーを探偵柄にした人、七つ道具を持ってきた人、帽子やチェックの洋服を身に着けてきた人などで、会場は大いに盛り上がった。




最後に参加者全員で記念撮影をし、その後は懇親会へ。

懇親会では途中で席替えが行われ、『映画』『グルメ』『旅行』『芸術』…などのテーマで、参加者同士が趣味による新たな交流を深めていた。

同じものに興味があると話は盛り上がるようだ。宴もたけなわとなり、司会者がまとめ始めてもしばらくは誰も気づかないような盛り上がりを見せた。




雪のちらつく道を帰りながら、あなたは読書会の謎について考えた。

さまざまな人の意見を聞くことで、読書体験が何倍にも広がる。映画と小説をコラボすることで、お互いをより深く味わえる。

また、いつもの生活の場以外に、新しい人との出会いや、ゆるい交流の場を持つことで、心が豊かになる。新しい自分を発見できる。何より楽しい。

あなたの頭の中には二つの解答が浮かんだ…。

一つ目は、謎が解けたので読書会の参加は今回限りにしておく。二つ目は、これからも続けて読書会に参加してみる。

しかしあなたが一つ目の解答を思い浮かべたとき、頭の中で何者かが叫んだ。『違う、違う、絶対に違う!』

あなたはそれほどまでに、猫町倶楽部の読書会に魅了されてしまっていたのだ。

とりあえずあなたは、読書会に”三回続けて参加してみる”ことを心に決めた。

≪終≫

記:きょうこ 写真:SSK、ゆうみ

次回は2/10(土)、課題図書は坂口安吾の『堕落論・日本文化私観 他二十二編』。会場は引き続きラポーティア(大阪)です(*’▽’)。

また、関西文学サロン月曜会では、現在運営をお手伝いしていただけるサポーターの方(ボランティア)を募集しています。ご興味のある方は、月曜会のサポーターにお声がけください。お待ちしています!

開催結果レポート一覧に戻る

最新の開催結果
【猫町オンライン】シネマテーブル『ザ・ファイブ・ブラッズ』
【猫町オンライン】シネマテーブル『ザ・ファイブ・ブラッズ』
開催結果をすべて見る
  • 入会・参加方法
  • メディア掲載実績
  • 取材について
  • 特定商取引法に基づく表記
  • 名古屋シネマテーブル水曜会

このページのTOPに戻る