猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年1月14日(日) 読書会&レクチャー14:00~18:00、懇親会18:15~
- 佐藤晃子の日本美術基礎講座第Ⅱ期第2回『日本美術がワカル本:「女性性」の文化』
寒さが身に堪えるようになってきた1/14(日)、藤が丘のJAZZ茶房靑猫で、佐藤晃子さんの日本美術基礎講座第Ⅱ期第2回が開催されました。
今回は読書会に49人の方が参加。初参加者は8人でした!
初めに、主宰のタツヤさんと、講師の佐藤晃子さんからごあいさつ。
楽しい日本美術基礎講座の開講です!
第1部は読書会、課題本は林温『日本美術がワカル本:「女性性」の文化』でした。
佐藤さんの選定理由は、「今までは個別トピックについての本ばかりだったので、今回は毛色を変えて日本美術全体の特質についての本にした」ということだそうです。
昨年11月に出版された新しい本でもありますし。
わずか98ページというこれまでの日本美術基礎講座では最も薄い本でしたが、その見た目に反して読了に苦戦した参加者が続出でした。
さて、猫町倶楽部の読書会のルールは「人の意見を否定しないこと」です。
課題本について文句を言うのは全く問題ありません。←ここ重要!
「タイトルは”ワカル本”だけど全然ワカラナイよ!」
「”女性性”と”男性性”という分け方がムリヤリ。かえって分かりにくい。ジェンダーって難しい問題だし」
「図版が一切無くてイラストだけ。これで仏像の顔の変遷なんか分かるかー!」
などなど、全テーブルで課題本に対する不満が噴出してヒートアップ!
外の寒さをしばし忘れて盛り上がっていました。
ですが、その一方で、
「短いながらも日本美術全体を俯瞰できて良い本だと思った」
「行間が読めれば面白いんだろうなと思う。数年後、もっと日本美術がワカッテから読み返したら違う感想になるかも」
という意見も挙がったりするのが読書会の面白さなのです。
また、佐藤さんには読書会中に各テーブルを廻っていただきました。
仏像、絵巻、雪舟、芸術の本質論など多岐にわたるトピックを取り上げているだけに、多種多様な質問が飛び交いましたが、豊富な知識で1つ1つ丁寧に答えていただきありがとうございました。
昨年は運慶展、快慶展が話題になっていたので、仏像の話題が多かった気がします。
第2部は佐藤さんのレクチャー。
佐藤さんが、「すぐ読めるけど難しい、と皆さんおっしゃる課題本、それは多分作品の画像がないからです」という想いを込めて作ったスライド、全部でなんと150枚!
その熱意に頭が下がります。
例えば、西洋、中国、日本の絵の特徴の違いについて述べている章では、絵があるとその違いがすごく分かりやすかったです。
また、本ではイラストだけで分かりにくかった箇所についても、実際の写真や図版を観るとより良く実感できました。
「本に図版を載せるのにはお金がかかるので、イラストばかりにしたのも分かる…」という、裏事情を知る佐藤さんならではのフォローも。
その後は、絵の話もあれば…、
土偶の話もあり、日本美術全体+西洋絵画+中国絵画を縦横無尽に駆け回るレクチャーでした。
佐藤さんのフォロー範囲広すぎ!
この盛りだくさんな内容を短い時間に収めるだけでも大変なのに、笑いどころをいつも仕込んでいるのがさすがなのです。
一部をご紹介すると、こちらは国宝をかたどった塩ようかん。良いセンス♪ 見かけたらつい買ってしまいそう。
また、唐突に昨年末の紅白歌合戦の場面が登場したり。
「これ、津軽海峡じゃなくて(北斎の)≪神奈川沖浪裏≫」でしょ! 私のtwitterのタイムラインですごく盛り上がってました!」と佐藤さん。
そのタイムラインがすごく気になるんですけど…。
と、このレポートには書ききれないほどのネタでいっぱいの1時間半のレクチャーは、楽しくてあっという間でした!
読書会&レクチャーの後は懇親会。今回は藤が丘駅前の中華料理屋さんでした。
餃子や手羽先など、食べきれるかなという量の料理が出てきましたが、けっこういいペースで無くなっていましたね。
読書会でヒートアップし、レクチャーでは佐藤さんの勢いあるレクチャーに巻き込まれ、皆さんかなりのエネルギーを使っていたようです。
そのためか、いつになくビールが美味しかったですね(笑)
さて、今後の名古屋藝術部のスケジュールですが、
3/25(日)にロシア文学者の亀山郁夫さんをお招きして読書会を開催します。
課題本は亀山さんがロシア音楽について書かれた『チャイコフスキーがなぜか好き』です。
また、4/15(日)には第Ⅱ期第3回の佐藤晃子さんの日本美術基礎講座を開催します。
こちらの課題本は未定です。
それぞれ詳細が決まり次第、猫町HPもしくはmixiで告知させていただきますので、随時チェックしてくださいね!
今後も名古屋藝術部をよろしくお願いします!
文:イノッチ
写真:レパード