猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年1月10日(水)
- 月曜会名古屋会場 アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」
★注:この開催レポートには『そして誰もいなくなった』作中要素の一部開示が含まれます★
2018年1月10日水曜日、今年最初の文学サロン月曜会名古屋会場第120回定例会が行われました。
今回の課題本はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』です。
ちなみに藤が丘会場の課題本は『オリエント急行の殺人』。今月はクリスティー月間となりました。
写真はサポーターが作ったクリスティークイズ!
読書会が始まるまでの間、テーブルでの話題作りにと活躍してくれました。
皆様、解けましたか?
今回も57名と喫茶KAKOの定員を大きく超えたため、またもや2会場に分けての読書会です。
実は推理小説が課題本になることは珍しい月曜会。どんな感想が聞けるのか楽しみです!
※これ以降当然ながら、作品のネタバレがあります。
推理小説のネタバレは厳禁!な方はお気を付けください。
「カット割りが短くて映像的で面白かったです」
「人物描写が細かい。外見から表情までリアルに想像できた」
「難しいかと思ったけど、どんどん読み進められる。自然と人物について頭の中に入ってくる」
「孤島という舞台設定、また自分以外の誰も信用できないという状況がより一層緊迫感を高める装置になっている。謎解きのトリックよりもこの心理描写を読ませる力量に流石と思った」
「サスペンス風だけど人形が一体一体消えていくのがホラーっぽかった」
「不遇な境遇による積年の恨みを晴らす犯人というどちらかと言えばウエットなミステリーが多い中、これは全く違う点が新鮮ですね」
「本当に犯人はウォーグレイヴで合っているの? 最後の手紙も別の人が書いたという可能性は?」
「しかし、モリス万能すぎる(笑) その割にあっさり殺されるし」
「10代のころ読んだときは最後に生き残ったヴェラが自殺をしてしまうことが理解できなかったが、今回読み返してとても納得できた」
「ヴェラが自分のしたことについて何度も思い出しては心理的に揺れ動く描写はとても共感できます」
「そう、だから最後の『結婚するのだっけ?』と言いながら死に向かうシーンが切なくて…」
「自分が犯人だったら筋書き通りやり切れただろうか? きっと犯人はものすごくがんばって、強い想いをもって遂行したのだと思う。犯人が準備している様子、ドキドキしている様子なんかを想像して読むと面白い」
「判事は法廷内では検察や弁護人の持ち込む証拠や証言以外のことは判断基準にできないから。ウォーグレイヴは法廷を出て自分の主観で裁きを下したかったのだと思う」
「でも、犯人の『殺す人の選定』がいい加減で理不尽。死ぬ必要のない人もいたはず。自分都合で『殺したい』だけだったように感じた」
「うん、犯人の考える罪の重さの順番に納得いかない」
「やっぱ、犯人はエゴイストだよねぇ」
「正義感からの殺人かと思ったら、ただの快楽殺人だったというオチにびっくりです…」
「判事の『人を裁く』ということに対する執着と、自身の絶対的な正義に対する盲目的な偏愛ぶりが恐ろしいです。正にサイコパス。でもこんなタイプは寧ろ現代の方が多くいそう」
「ホームズの頃は貴族が犯人だったのに、今回は中流階級や労働階級が舞台になったのが画期的だったのでは」
「欧米のミステリーは、昔から権力者が悪であるというものが多い。(この本だと判事、将) 日本は近年その傾向が高まっているものの、同時代で比較するとどちらかと言えば権力者は正義。人間同士の価値観の幅の大きさが、正義の定義の仕方にも影響しているのでは」
「それに判事や警部のような位の高い人の罪が暴かれることで当時の読者はスッキリしたのではないか」
「これはなから推理させる気がないミステリーだよね(笑)」
「うん、全然推理できない(笑)。殺人者と孤島に閉じこめられた人々の人間ドラマとして読むしかない」
「判事が殺害を告白した瓶が見つかるエピローグが無ければ、どの登場人物でも犯人にしたストーリーが書けそうな設定になっているのが凄いなって」
「だから、二回読んでも面白かった。犯人がわかってから伏線を読み返してみると凄さがわかったよ」
「映像作品、オマージュ作品が多いので先が推測できて。だからラストはそんなに驚きませんでした」
「今あるサスペンスとかの大元の一つですよね。だから色々オマージュされて、新鮮味がなくて。でもその当時それを考えついたのはすごい」
「そうですよね。もっと複雑な推理を求めてしまう時点で、自分は最近の(ドラマ、コ○ン君的な)ミステリーに毒されているなって思いました」
「現代の本格ミステリーの方が驚きが多いけど、設定が機械的に感じることもあって。古典ミステリーはムードが優れているので、それが古典を読む意義であり、古典の価値だと思うんです」
「綾辻行人『十角館の殺人』のようなオマージュ作品を読んでから読んでも面白いですよ」
ミステリー好きもミステリー初心者からもいろいろな感想が聞けました。
同じ本でも読み方が変わって、それぞれの価値観や読書遍歴がのぞくのが楽しいです。
さて、本日のドレスコードは「マザー・グース」
作中の童謡「10人のインディアン」がマザー・グース(英米の伝承童謡)なことからのドレスコードなのですが、「マザー・グースって何?」という方も多くいました。
日本で有名な歌だと「メリーさんの羊」や「きらきら星」。『不思議の国のアリス』の「ハンプティ・ダンプティ」もマザー・グースですね。
オードリー・ヘプバーン主演のミュージカル映画『マイ・フェア・レディ』のタイトルも、マザー・グースの「ロンドン橋落ちた」の一節からです。
みなさん、英米文学を読むにはマザー・グースの知識は必須ですよ!※あくまでも筆者個人の意見です。 ぜひこの機会に目を通してみてくださいね!
それでは、各テーブルで選ばれたベストドレッサーの発表です!
可愛い!タマゴも可愛い!
やはりハンプティ・ダンプティは知名度強しです!
第2会場のベストドレッサーはこの2人!
みんなで一緒に記念撮影!
1月から新サポーターが4人加わりました! 頼りになる後輩ができて嬉しいです!
これからよろしくお願いしまーす!
※1人足りませんが、どこかで殺されているのではなく、ちゃんと第2会場にいます(笑)
さて、読書会の後は懇親会です!
かんぱーい!
飲んで、食べて、話して!
そして笑顔の懇親会でした!
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本文:へなこ
写真:Yu
月曜会10.5期サポーター