扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

関西文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年2月10日土曜日 受付/16:30〜、読書会/17:00〜、懇親会19:00〜
  • 関西文学サロン月曜会 第36回 坂口安吾「堕落論・日本文化私観 他二十二篇」



はじめまして、こんにちは!

ぼくは突然変異で生まれた青いナマケモノの「あおなまさん」です。

ちなみに、ナマケモノは大きく分けて「フタユビナマケモノ」と「ミユビナマケモノ」の2つの科があるんだけど、ぼくは指が3本あって目の周りにタレ目模様がある「ミユビナマケモノ」だよ。

今日は、ぼくの友だちのあおいさんがサポーターを務める「猫町倶楽部」という読書会に潜入してみたよ。

会の様子をレポートしていくね。

 

「読書会」って、みんなが1つの課題本を読んで集まってお話しをする会なんだって。

今回の課題本は、坂口安吾の「堕落論・日本文化私観 他二十二篇」。



なんだか難しそうなタイトルだね・・・。

あおいさんは、ぼくが部屋でゴロゴロ転がっている横で、うんうん唸りながら読んでたよ。

人間って大変だなぁ。

 

今日のお天気はあいにくの雨。

2月のはじめだから、自前の毛皮があるぼくでも外はとっても寒い~。

そんな中、32名の参加者が大阪・西大橋にあるカフェ「ラポーティア」に集まったよ。



白と木目を基調にしたお店の中にはたくさんのレコードが飾ってあって、おしゃれな雰囲気。



ここのタマゴサンドとソフトクリームがおいしいんだって、あおいさんが言ってたよ。

ぼくも後で注文して食べようっと。

 

参加者は、入口で受付を済ませてから、A~Eのグループに分かれて席に着くよ。



1つのグループあたり6~7人。

大人数過ぎないから、人見知りでのんびり屋のぼくでも意見を言いやすそう。

各グループには1人、ファシリテーターっていう司会進行役の人がいるんだって。

 

え、あおいさん何?これだけは言っといてって?

えーっと、猫町倶楽部には1つだけ大切なルールがあるんだって。

それは、「他人の意見を否定しない」こと。

本の内容は悪く言ってもいいけど、他の参加者の意見は耳に入れて受けいれようってことだね。

だからかなぁ?会場にやさしい雰囲気がただよってるのは。



あっ、17時になったよ。

司会を務めるサポーターが会のルールや流れを説明して、いよいよ読書会のスタート。

まずは一人ひとり、簡単な自己紹介。そこから感想を言い合っていくよ。

難しかったという人や、深く共感した人など、色んな意見があるね。



「安吾の自分に正直な生き方や熱さが好き」

「太宰のことメッチャ好きやなと思った」

「このエッセイを現代のSNSでやったら炎上しそう」

「後半になるとくだけた話し口調になって、飲み屋でおじさんがくだまいている感じ」

こういった率直な感想や・・・





「ところどころにコピーライター的な鋭い表現の言葉がある」

「話のはじめに謙虚な注釈をつけることで、主張をマイルドにして読者が聞きやすくしていると思う」

「安吾の言う文学とは、技巧の上手さを重視したものではなく、下手であっても自分を正直に表現したものではないだろうか」

内容や作者自身についての鋭い考察、





「みんなが堕落したら世の中が大変なことになるのでは?」

「安吾のデカダンな生き方は憧れるけど自分がやるのは難しいところもある」

正直な本音が飛び出すことも。

それぞれの個性が出た意見が聞けて、おもしろいなぁ。

文学、歴史、政治といった特定のジャンルに詳しい人に話を聞けることもあって、自然と勉強にもなるね。

 

気がつけば、読書会はそろそろ終わりの時間。

みんなで夢中で話し込んでたら、あっという間だね。



これから月曜会恒例の、ベストドレッサーの選出をするんだって。

参加者は事前にドレスコードにちなんだ服や小物などを身につけてきて、グループ内で発表して、1名の代表者を選ぶよ。

今回のドレスコードは、「デカダンス」。

デカダンス?あおいさん、デカダンスって何?何かの踊り?

 

【デカダンス(décadence)とは?】

フランス語で退廃,衰退の意。文学史上では,19世紀末ヨーロッパ,特にフランスに生じた,懐疑的・耽美(たんび)的・悪魔的傾向をさす。初期象徴派の一特徴でもあり,このような芸術家をデカダン派と呼ぶ。

(百科事典マイペディアより)

 

へぇ~、インターネットで「デカダンス ファッション」で画像検索したら、ボロボロだったり暗い雰囲気のファッションが出てきたよ。ゴシックテイストのものもあるね。

あっ、各グループでの選出が終わったみたいだよ。

 

ライダースジャケットにダークな口紅のかっこいいファッション、コルセット付きの謎の紐がついたゴシックテイストなスカート・・・さすが、代表に選ばれるだけあってみんなおしゃれだなぁ。



わっ、血まみれのマスクと手袋の人もいるよ。

あっ、あおいさんも選ばれたんだ、よかったね。

 

最後に、みんなで課題本を持って集合写真をパシャリ!



読書会は一旦終わって、次は懇親会だね。



読書会の続きの話をしたり、途中の席替えでは「映画」「芸術」「マンガ」「旅行」「フリートーク」といったテーマごとに集まるよ。

ラポーティア自慢の料理が出てきて、ごはんを食べながらお話しするんだ。



おすすめの美術館や気になる映画、好きなマンガとかの情報交換ができるのがうれしいね。





課題本をきっかけに話が広がって、同じ趣味を持つ友達を見つけることもできるんだ。



ぼくは週刊少年ジ○ンプのギャグマンガについて語りたいなぁ。

今回はレポーターとしてお仕事しなきゃいけないから、話に参加するのはガマンだね・・・。



懇親会が終わると、名残惜しいけど会はおひらきだよ。

難しい部分もあった課題本だったけど、それぞれが思うことを出し合って盛りあがった会になったね。

初めて参加した人たちも楽しめたみたいで、よかった。

 

この後は、有志が3次会に行ったり、参加者同士おしゃべりしながら帰ったり、読書会の余韻にひたりながら帰路についたり。

「猫町倶楽部」っていう名前のとおり、同じ本を読んだ猫たちが気ままに集って帰っていく感じだね。

ぼくは今日はじめて読書会に来たんだけど、色んな価値観に触れて、自分のなかの世界がひと回り大きくなった気がしたよ。

次はいち参加者として来てみたいなぁ。ナマケモノでも読める本だったらいいな。

 

次回の関西文学サロン月曜会の開催は3月17日(土)、場所は同じラポーティアだよ。

課題本は、ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」。

灯台へ行くお話らしいんだけど、どんな感じで書かれているのかな?

春のはじめに読書会に行くのも楽しそうだね、ウララ~♪

 

余談だけど、猫町倶楽部はボランティアのサポーターが、読書会の運営をお手伝いしているんだ。

任期は1年~2年なんだけど、あおいさんはこの2月任期を満了して、めでたく卒業するんだ。(※他にも任期満了して卒業するサポーターはいるよ)

せっかくだから、あおいさんにインタビューしてみるよ。

 

Q.あおいさん、サポーターを2年間やってみてどうだった?

A.まず初参加の時に「サポーターやりませんか?」ってスカウトされたのは衝撃だったね(笑)でも、新しいことをやってみたい、ボランティアやってみたいなと思っていた時期だったから、ちょうどよかった。

毎月色んな課題本を(追われるようにw)読んだり、苦手な司会やファシリテーターを敢えてやってみたりと、色んなことにチャレンジして世界が広がった感じがするよ。自分は何を好きで得意なのかが、よりはっきりもしたね。

人見知りだけど、毎月同じ仲間と会って作業をするから、仲良くなりやすかったのもよかったね。

大変なこともあったけど、わたしは猫町倶楽部のサポーターをやることで、随分成長したし、人生が変わったと思ってるよ。

とあるサポーターが言っていた「毎月文化祭をしているみたい」っていうのが、ほんとにピッタリくる言葉。大人になってこういう経験ができる場所って、あるんだね~。

 

よかったね、あおいさん。数字では測れない、たくさんのものを得られたんだね。

2年間、サポーターお疲れさまでした!

他の卒業するサポーターのみなさんも、お疲れさまでした!



※写真のなかの一部の人はサポーター継続するぞ!!

毎月が文化祭か~、ぼくは毎日がのんびりゴロゴロ祭りだなぁ。

あ~、今日はレポーターとしていっぱいお仕事したな~。帰ってチョコチップクッキー食べよう。

それでは読者のみなさん、今度読書会でぼくと会ったら遊んでね!



【レポーター/あおなまさん】

【文章/あおい】

【写真/きょうこ、しん】

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