猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年1月13日 16:30~18:30
- 福岡文学サロン月曜会 第24回 『日の名残り』 カズオ・イシグロ
新しい年になりました。福岡で始まった福岡文学サロンも、はや2年目に突入しました。
これからも様々なかたと一緒にいろいろな本を読んで語りたいと思います。
皆様、よろしくお願いいたします。
さて、2018年最初の課題本は、本屋さんで見かけない日はないくらい有名なこの本です。
カズオ・イシグロの『日の名残り』。
ノーベル賞受賞を記念して、本棚が彼の本で埋められているのをみかけたことのあるのではないでしょうか?
その本を手にして参加者が集合して、読書会の始まりです。
今回は、翻訳本なので事前に原書を入手していたのですが、間に合わず翻訳のみ読了で参加しました。残念。
皆さんと話たことを思い出しながら、再読したいと思います。(目標、今年中!)
主人公のスティーブンスの一人称で語られる物語ですが、このスティーブンスに対する感想も様々な意見がありました。
スティーブンスは、歩く真面目というような典型的な英国の執事なのですが、彼の生き方について思うことは? という問いかけに
「大きな企業に勤めていたらこうなるしかないよね」
「かわいそう。でも、充実した人生だったと思う」
「自分はこうやって生きていくしかないんだという気がする。だって、ジョークの練習とか!」
「練習。普通はしないですよね~」
「しない、しない!(笑)」
と最初から盛り上がりました。
孤高のオオカミみたいな感じ(!)という意見もあったり、
p230にあるように(どんなシーンかは、読んで確かめてみてくださいね♪)
生真面目できちんとしていたい人なのね、
生き方と職業が同一化して、誠実な性格であればあるほど、
機械のように正確に間違いなく、と人間らしさとどこか忘れてしまいそうになるのかもしれない、と
主人公スティーブンスの行動や言葉について考えていきました。
そして、この『日の名残り』は恋愛小説だね、という意見がでると、さらに盛り上がりました。
この小説の中では、主人公スティーブンスと良い雰囲気になる女性が登場するのですが、
過去を思い出しているのは主人公なのです。
そう、主人公が過去を思い返して、自分に好意を寄せてくれるかもしれないな~と語っているのです。
そして、自分もまんざらではない模様。
だが、しかし!!
……本当に? 本当にあなた(主人公)に思いを寄せているの?
という疑問も出てきました。
なにせ、一人称。
主人公が勘違いをしていたり、主人公が嘘をついていたりする可能性もあるよね!
と意見が出ると、これまでの感動や切なさやもどかしさは?! と話は急転換。
信用ならない語り手による一人称、という設定をした作者に改めて、素晴らしいの一言につきるね、
ということで意見が落ち着きました。
さて、時間になりました。本日のベストドレッサー賞を選びましょう。
今回のドレスコードは「イギリス」。
そして、今回のベストドレッサー賞はこの方々です!
おお! シャーロックホームズとミスター・ビーンが!!
お二人とも良い笑顔ですね♪
そして、集合写真を。
その後は、懇親会。おいしいお酒とご飯が出てきて、楽しい時間が始まります。
そして、さらに話は盛り上がり、楽しいひと時が続くのでした。
次回は、2月24日開催です。課題本は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
福岡初のSF作品です。
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<文責・写真 ふゆ>