扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年3月11日(日) 16:30~19:00読書会、19:00~21:00懇親会
  • 東京文学サロン月曜会 第2会場「駒井組」 第7回定例会 メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」 (課題本インスパイアレポート)

猫男爵机下

2018年3月〇日 風薫る銀座の街角にて

この手紙が届く頃には、僕は、あのおぞましい文学の怪物に捕らえられているかも知れない。思えば、最愛の友人である君を名古屋に残してこんなにはるばると旅をしてしまった。それは、3月の11日のことだったと思う。

僕は、銀座にあるモンスーンカフェG-ZONEで催された、とある読書会に参加することにした。大きな窓が明いた明るいその会場に入ると、大人の街 銀座と言うこともあってか、いつになく着飾っていると思われる男女がテーブルに座り既に楽しそうな会話がはじまっていた。


そのとき、入口にほど近い受付テーブルにあいつがいたのだ。そう文学の怪物が!

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こんにちは、東京文学サロン月曜会第2会場「駒井組」です

会場周辺の銀座の街はすっかり晴れ渡り、街角の花屋の店先には、春の花々がきれいに咲き誇っています。今年はなぜか、桜の花を扱っているお店が多い気がします。



新年度を前にそわそわする季節ですが、駆け足のように読書会がスタート

早速、光文社古典新訳文庫の創刊編集長でもある駒井稔さんから、課題本の紹介がありました。
「19世紀初頭は科学技術の振興を背景に文学の世界でも様々なアイデアが花開きました。
課題本の帯に「俺も妻が欲しい」と書いてあるように、この怪物はとても人間的です。こころを持った存在。AIやロボットの可能性が問われ、人間とそれ以外のモノの垣根が曖昧になっている今だからこそ、改めて読み直される価値のある優れた課題本です。英文学の変遷と広がりを知ることも皆さんが今後読書を楽しまれる際にも有意義だと感じます。この作品にインスパイアされ様々な派生作品が生み出されていますが、原作をお読みになった方は意外に少ないのではないでしょうか。」

このあと、各テーブルでは、読書会の進行役、ファシリテーターを選出します。

駒井組では、読書会に参加した経験がある程度ある方には、この進行役をお願いしています。
当日皆さんの間で決めて頂きますが、参加者一人一人が進行役のつもりになってみんなで読書会の会話を盛り上げていきます

その際、猫町倶楽部には、唯一大事な約束事『他人の意見を否定しない』があります。

様々に読み解くことができるのは文学の醍醐味。自分とは全く異なる意見を聞いて理解してみる、意見・言葉を重ね合わせることは、読書の楽しみを広げ、参加者一人一人の皆さんの人生を豊かなものにするきっかけになると思います。

各テーブルで読書会がはじまりました。

・怪物の醜さ、殺人の恐ろしさよりも、怪物をはじめとする登場人物の心の動きにひかれる。
・怪物の絶望的な孤独が切々と描かれ、心を抉られる思いだ。
・怪物を含め、皆が幸せになる方法はなかったのか、考えずにはいられなかった。

・若者の盲目的な野心の愚かさや、科学技術への盲信が招く悲劇を感じた。
・ヴィクターと怪物の間に共依存の関係性を感じられた。ヴィクターを苦しめることでしか、人に向き合ってもらえない怪物が悲しい。
・訪れた先々の自然・景観の美しさの描写が素晴らしい。反面、描かれている悲劇との対比が物語全体の悲しさ、恐ろしさを引き立てている。
・若きウェルテルの悩み、失楽園など、欧州の古典と読み合わせることで、作品の味わいがより深まる。
・モネ、ルノアールの時代とも重なり、旅をすることが創作の世界の可能性を広げていったことがわかる気がした。

読書会の最中、駒井さんもテーブルを回って作品を読み解くヒントをアドバイスしてくれます。

本作とあわせて読みたい作品リストなどが書かれたレジュメも配って頂きました。


読書会の最後で、ベストドレッサーの選出を行います。

猫町倶楽部では、そのときの課題本に因んでドレスコードを設定。参加者の皆さんにご協力を頂き、読書会の雰囲気を盛り上げることにしています。

本日のテーマは「ゴシックまたはスマートカジュアル」
落ち着いた色調の服装でドレスアップした参加者が多く、お洒落な参加者が多い駒井組ではありますが、いつも以上に高級感ある会場の彩りとなりました。
シックな色合いの中にも桜が配され、春の息吹を感じさせるお着物で参加されている方もいらっしゃいました。
受賞者の皆さんです。

皆さんには、賞品として猫町倶楽部特製しおりが、更に、副賞として駒井さん選抜の世界文学作品がプレゼントされました。

(ふっ、ふっ、ふ・・・)



後半は懇親会です。


駒井組では、読書会参加の皆さん全員に懇親会までお付き合いを頂いています。

新しい人との出会いやかけがえのない友人との別れ、様々な人生模様が予感される春を間近に控えたこの時、駒井組に集った友として親交を深めて頂いたのではないでしょうか。


本日も10名の方が新たに駒井組に参加して頂きました。
文学について語り合う場ではありますが、本の読み方は人それぞれ、お互いを知り新しい仲間を増やしていきましょう。

21時には一旦懇親会はお開きになります。

その後も有志が会場の別の場所に移動して2次会が続きました。名残惜しいためか、今回は50名中20名以上の皆さんに残って頂きました。
こんな時期だからでしょうか、会場内では、他のお客さんグループが結婚カップルや誕生日をお祝いするセレモニーがあり、一緒になってその雰囲気を楽しみました。
実は、サポーターの中にも新婚や誕生日のメンバーがいたものですから、急遽お店に頼んで即席セレモニーをサプライズで企画。2次会に残った参加者の皆さんと一緒になって、幸せのお裾分けをしました。
この会場は、こんなわがままにも快く応えてくれます。
ところで、読書を通じて人と人とがつながり合うことは、新しい価値を生み出すトリガーになります。
猫町倶楽部では、性別、年代、様々なお仕事の皆さんが、「本好き」というそれだけの理由で集い、課題本について感想を交換する中から、実はそれぞれの人となりを知り合う機会をもたらします。
読書会を通じて、親友や人生の伴侶が見つかった、そんな奇跡も生まれています。

次回は、5月20日(日)、ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」※です。  

(※ハヤカワepi文庫の新訳版 指定)

駒井さんからの推薦

「タイトルのせいか、日本人にはなじみが薄い印象ですが、欧米では20世紀を代表する傑作の一つといわれます。子供の世界を舞台にはしていますが、人間社会のあり様が赤裸々に描かれていて、様々な角度から意見交換ができると思います。」

「駒井組」は、サポーターともども皆さんのお越しをお待ちしています。

(う、ひっ、ひ・・・)
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実は、こんな手紙を君に宛ててほんとうに出してしまっても構わないのか、今でも確信を持てずにいる。君もまた、あのおぞましい文学の怪物の罠に落ちるのではないか。大切な君を誘惑から守ることが友人である僕の最後の望みでもあるのだから。
しかし、これだけは信じてもらいたいのだが、僕は、あの文学の怪物の魅力に抗しきれず、この手紙を書かずには、どうしてもいられなかったのだ。

僕は、この手紙を有楽町駅で出会った、あの、妙に体格の良い男に託してみた。あいつが僕らの約束を守ってこの手紙を君に届けるのか、はたまた駅のくずカゴに捨て去ってしまうのか、精霊たちの導きに任せてみようかと思う。

(写真:真珠、マッチュ、手紙の配達人:マッチュ)

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