扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年3月16日(金) 
  • 月曜会藤ヶ丘会場 バージニア ウルフ「灯台へ」

3月16日に開催された、名古屋月曜会藤が丘会場の第123回定例会について報告します。
(参加者は初参加の方も含めて42名でした)



読書会の前に、会場であるJAZZ茶房青猫のマスターによるJAZZ講座が行われました。

今回はパット・メセニー・グループの「クロス・ザ・ハートランド」と「ザ・サーチ」の2曲。クリアな音質の爽やかな音楽が会場に流れました。



さて、ここからは読書会です。

課題本はヴァージニア・ウルフの「灯台へ」。
ヴァージニア・ウルフはイギリスの小説家。1927年に出版された「灯台へ」は彼女の代表作のひとつです。

舞台はスコットランドの孤島。ラムジー一家と女性画家リリーの物語です。優しい文体で、登場人物の心情が細やかに描写されています。



各テーブルでは、様々な感想や意見が飛び交いました。



・人間のこころの移ろいが丁寧に書かれている
・光と陰の対比が見られる
・距離感の描写がうまい(離島から灯台までの距離感、人と人との距離感)


・お互いの噛み合ってなさがリアリティがあって面白い
・灯台はずっと変わらずにあるものの象徴では
・遠くにあって光を与えてくれるが、こちらから行くことはできない、というのが灯台のシンボルでは



・古典なので起承転結のない日常を描いている。全体的に掴みどころがない。でもその日常を描き出せるのがすごい
・ラストの父と息子が触れ合う所、リリーがラムジー夫人(の記憶)に触発されて絵を描けた所に感動した
・ラムジー夫人の影響力が強かったのは、周囲に気を遣い与えることが幸せな人だったからではないか



・100年前にこれ程フェミニスティックな作品が書かれていたことに感激した
・リリーがビジョンを掴めて良かった。素晴らしい終わり方
・名前が有名な作者の作品はやっぱり面白い
・リリーの描けないという葛藤は作者の書けないという葛藤なのでは



・文章がわかりにくいのに景色はすごく綺麗に思い浮かんだ
・リリーのラムジー夫人への思いは、嫉妬と羨望が入り混じってる気がする
・この小説自体が時間をテーマにしていると思った



以上の様に、様々な意見が出ました。多様な捉え方ができるのは、古典の名作ならではと言えるかもしれません。

課題本を読んだ人に、おすすめの本や映画を紹介する「レコメンド」。
映画「ジェイン・オースティンの読書会」「オーランド」「めぐりあう時間たち」
や漫画「エマ」などが紹介されていました。



読書会の最後には、各テーブルでベストドレッサーを選出しました。今回のドレスコードは「光」です。

こちらが、ベストドレッサーの皆さん。



輝くアクセサリー、黄色の帯、小説に登場する緑のショール、光る帽子、影絵、未来が光輝く就活生、灯台Tシャツなど、それぞれのセンスがきらりと光ります。





読書会の後は、青猫マスターによる今日の1曲の紹介です。
チックコリアの「Windows」。無名だったチックコリアがスターに駆け上がった大ヒット曲です。

懇親会会場は藤が丘駅近くの「ばんばんざい」。ここでも課題本の話が尽きませんでした。



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文責:うえじ
写真:苺
名古屋月曜会10.5期サポーター

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