扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

特別イベント

  • 2018年4月22日(日) 17:30~20:30
  • 関西シネマテーブル第13回『ラブレス』

2018年4月22日(日)。第13回関西シネマテーブルが始まりました。

今回の課題映画は『ラブレス』。離婚が決まった両親の双方から拒絶され、愛を与えられない少年が失踪します。果たして両親の反応は?少年の行方は?
見た人の心を抉るような鋭さを持つロシア映画です。

先月の『シェイプ・オブ・ウォーター 』に続き、満員御礼での開催となりました。重いお話なので、募集前は人が集まるか密かにどきどきしていたのですが、全くの杞憂でした。
「普段はあまり手を出さないジャンルだけど、シネマテーブルの課題になっていたから見たよ」という声もあったり。関西シネマも定着してきた実感があって、サポーターとしてなんだかうれしいです。皆さんも是非、関西シネマテーブルをきっかけに新しい映画と出会ってみてください。

さて、それでは早速シネマテーブル開始です。司会より、おなじみの「人の意見を否定しない」というルールがアナウンスされます。
各テーブルにも司会進行役のファシリテーターが配置されています。

・アレクセイが両親のケンカを聞いてしまい、扉を背に泣くシーンで胸が痛くなった。

・失踪に気づかず、自分の欲望を優先する二人がひどすぎる。子供を作ったのに無関心で無責任。

・登場する大人達がみんなエゴイスト。

・ベッドシーンがとても長かった。

・ボランティア団体メンバーは善人。他人の子供なのにあんなに親身になって手伝えるのがすごい。

→もしかしたら同じように子供が失踪した経験のある人も参加しているのかも。

・ロシアの日常が垣間見れて興味深かった。

→離婚したら解雇になる会社って本当にあるの?

・SNS中毒の描写は他人事に思えなかった。

・BGMがほとんどないので会話や生活音が生々しく感じた。

・ジェーニャの母→ジェーニャ→アレクセイと、虐待が連鎖している。

・求めてばかりだから、相手を変えても満たされないんだと思う。

・2014年当時のロシア情勢を理解していればもっと楽しめたかな。

・ズビャギンツェフ監督の過去作『父、帰る』も今作に匹敵するくらい衝撃的だった。

などなど。様々な感想や意見が飛び交いました。

課題作を観ている間、悲しみや怒りといった負の感情が引きずり出されるようで映画館を出てからもモヤモヤが澱のように溜っていましたが、テーブルの皆さんと感想を共有することで少し楽になった気がします。

改めて、一つの作品についてここまで長く、色んな人と語ることのできるシネマテーブルは貴重な場ですね。映画は家に帰るまでが遠足。そして家に帰った後、内容を思い起こしてあれこれ考える時間も映画鑑賞の一部だと思うのです。そういう意味で『ラブレス』はとても映画らしい映画でした。

たっぷり話した後は、本日のスペシャルイベント!心斎橋シネマート支配人、ヨーコさんのトークショーです。

『ラブレス』の解説。さらにはシネコンとミニシアターそれぞれの役割についてお話して頂きました。

最近巷では応援上映が盛り上がっていますが、シネマート心斎橋は今のところ応援しない方針だそうです。もしもラブレスで応援上映をしたらどうなるだろう……?夫婦喧嘩の片方に立って「そうだそうだー」とヤジを飛ばすなんてシュールです。まさかのIFに笑いが巻き起こっていました。応援はしないけど、あそこまで感情をストレートにさらけ出せる主人公達がちょっと羨ましい、とはヨーコさん談。

皆さん、ヨーコさんの軽妙にトークに聞き入っています。ミニシアターの魅力の一つは映画と観客の距離が近いこと。小さめのスクリーンが満席になっていると、周りは知らない人ばかりなのに不思議な一体感が生まれるような気がします。

シネマート心斎橋はスタッフさんの遊び心と映画愛がいっぱい詰まっていて本当にすてきな映画館です。壁には上映中作品の関連記事が貼り出されているので読み込んでしまうこともしばしば。まだ行ったことがないという方はぜひ訪れてみてください。ハマりますよ~。

トークショーが終わり、そろそろ懇親会へ突入です。

今回の懇親会話題映画は『ウィンストン・チャーチル』。ゲイリー・オールドマンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品です。また、特殊メイクを担当された辻一弘さんがメイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞を果たし、話題となりました。

去年の懇親会話題映画となった『ダンケルク』や2011年のアカデミー作品賞を受賞した『英国王のスピーチ』とも関連する時代の作品なので、事前に観ていると予習になりますね。

・チャーチルが国を救った英雄としてではなく、苦悩する一人の人間として描かれているのがよかった

・歴史の出来事として知っていると簡単に思えるけど、何が正しいのかを自分で判断するのは難しい

・ゲイリー・オールドマンの演技が素晴らしかった。

・リリー・ジェームズみたいな秘書が居たら、仕事も頑張れる。

・地下鉄のシーンは創作エピソードだけど、効果的だった。

などなど。同じ映画を観ても人によって目の付け所が違って面白いです。


この日は暖かかったのでソフトクリームが大人気でした。
こちらは季節限定の桜餅味。ほんとに小さなおもちが入っていました!おいしい~。

あっという間に懇親会も終わりの時間がやってきました。まだまだ映画の話がしたいのに。
名残惜しいですが、また次回のご参加お待ちしています。
次回は2018年5月23日(水)19:30~
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』が課題映画です。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品。
なかなか棘のある内容で、シネマテーブルも盛り上がる予感がします!

そして、その前に2018年5月19日(土)13:30~
【大阪】猫町倶楽部の全てがわかる!ビギナー限定イベント【説明会付】

シネマテーブルが始まってから初の、関西分科会合同ビギナーズイベントが開催されます!

猫町が気になっているけど参加した事がない方。
最近参加し始めたけど、他の分科会も気になっている方。
猫町に興味ありそうなお友達がいる方。

運営サポーター以外は初参加~3回目までに限って募集する猫町初心者さん向けイベントです。気負わず猫町の雰囲気を楽しんでいただけます。

課題作品は以下の通り

★関西アウトプット勉強会選書
  課題本:リンダ・グラットン『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』

★関西文学サロン月曜会選書 
  課題本:夏目漱石『こころ』
   ※出版社は問いません。

★関西シネマテーブル水曜会
  課題映画:『きみの名前で僕を呼んで』

ビギナーの皆さん!ぜひご参加くださいね。
では、次回も会場でお待ちしています♪

(文・いよ/写真・MIKOTO)

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