扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

特別イベント

  • 2018年5月19日(土) 
  • 福岡文学サロン月曜会 第27回 『ポロポロ』 田中小実昌



日がだいぶ長くなって、夏がそろそろやってくる気配を感じます。

毎年 この時期はなんだかワクワクしてしまいます。

そんな 中、お集まりくださった皆さんと一緒に臨む課題本は、田中小実昌さんの『ポロポロ』。

さて、今回はどのような読書会になるのでしょうか。

 

自己紹介の後、読んでみた感想を。

一読しただけでは、よくわからない文章だ ということ。

映画やドラマとは違う、リアルな戦争の話であるという感想が出る中、

私が印象的だったのは、一杯飲んで(もちろん、アルコールでしょう)、

ばーっと話しているおじさんの話みたい、という感想でした。

確かに、わかりやすい言葉と文章なのですが、わかりにくいところが多々あったり、

「こうだったかな。いや、違う。ああだったような気がする」

と、まどろこっしいともいえる文章を読んでいると、親戚の人とお酒を飲んでる時間に似ているなあ、と個人的に思ったのでした。

 

決して派手なシーンというものはありません。ひたすら戦争が行われている日常が、淡々とつづられています。

病気になったこと。ひどい衛生状態であったこと。食べ物も医薬品も不十分であったこと。行軍がとても辛いものであったこと。

そういった毎日が、口から自然にポロポロとこぼれるように語られます。

けれど、作者はこの文章が物語になることが嫌だったようで、しきりに物語にしたくないと書いています。

文章を書くということ。物語を描くということ。

それは、一体どういうことなのだろうか?

そもそもなぜ、人は物語を書くのだろう?

物語とは自分の中で昇華できていない思いと折り合いをつけるために書くものだろうか?

物語として語ってしまって終わりにしたくないから、しきりに物語を否定しているのだろうか?

 

次々に疑問がポロポロと出てきて、どんどん話が盛り上がります。

一人では解釈に困った箇所も、皆さんと話していく中で解決したり、逆にさらにわからなくなったりと

作品の奥深さを感じた2時間でした。



さて、今回のドレスコードは「兵隊」。

本日のベストドレッサー賞は、集合写真の中央にいらっしゃるイケメンさんです!

 

次回は、6月16日(土)です。課題本は、アゴタ・クリストフの『悪童日記』です。

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文責・写真 ふゆ

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