扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

特別イベント

  • 2018年6月3日(日) 受付開始15:00 読書会15:30~17:30
  • 第10回フィロソフィア東京 『なぜ世界は存在しないのか』

記念すべきフィロソフィア東京第10回の課題本はドイツで最年少の哲学正教授になった天才マルクス・ガブリエルが考える「新しい実在論」を扱った『なぜ世界は存在しないのか』

 

著者いわく「前提知識なしに読み進められるように書いたつもりです」ということで、難解なことを簡単な言葉で説明しているのだろうとは想像できるものの、やはり難しい。

 

哲学の主要テーマである「存在」を扱った本書を、理解度50%くらいで望んだ参加者も多かったのではないでしょうか。

 



 

猫町倶楽部の読書会は難しい議論をする場ではないので、哲学に明るくない方の方が実際には多く、「普段、哲学や思想系の本を読みますか?」と聞くと「いいえ」と返ってくるほうが大半です。

それでも初参加の方5名を含む総勢37名の参加者はそれぞれに印象深い部分について感想を述べ合います。各テーブル1名くらいは哲学に精通している方もいて「こんな風に捉えるとどうですか」「こんな考え方もできますよ」とアドバイスをいただけることも。

フィロソフィアの名付け親である哲学者の國分功一郎さんは以前猫町倶楽部に来ていただいたときに「哲学は困りごとを概念で解決していこうという試み」とおっしゃっていました。私は社会学の出なので「困りごとは実践で解決!」と思っていたのですが、フィロソフィアに出会って、「概念で解決」の意味が少しずつ分かってきました。

 


 

今回は扱った存在論は物理主義でもない、構築主義でもない新しい存在論として注目を集めています。その概念が私たちの困りごとをどう解決してくのか・・・。

私のいたテーブルでは、2次元のアニメキャラを愛するオタクと3次元の人間を愛する「一般人」に例えて話が進みました。物理主義では、アニメはインクの染みに過ぎない、人間もたんぱく質のかたまりに過ぎないというもの。構築主義では、どちらにせよ主観的な構築に過ぎず、それ自体にはアクセスできないというもの。

 


 

そこでマルクス・ガブリエルの「新しい実在論」の登場です。ある個人Aにとっては単なるインクの染みであるアニメキャラでも、個人Bにとってはかけがえのない存在である、こういったそれぞれの「意味の場」から実存は切り離せない。一つの物事をそういった「意味の場」から切り離してそれ自体で存在することはない、ということ。それぞれの「意味の場」は無限にあると考え、想像力を膨らませることが多様性を認めていく社会につながるのではないか・・・。

こんな解釈がテーブルで行われました。(なぜ世界が存在しないのか、についてはぜひ課題本をお読みください!)

場所を変えて引き続き懇親会へと移り、読書会では話したりなかったことで大盛り上がり。3次会へと流れていく人もいました。

 

フィロソフィアでは哲学思想系の本で読書会を行っています。

研究会ではなく、あくまで読書会なので、哲学や思想に明るくなくても大丈夫。サポもほとんどがフィロソフィア東京に参加するようになって哲学(研究)書を読み始めたメンバーばかりです。
隔月開催で、抑えておきたい古典から、最新の現代哲学まで幅広く扱っています。ぜひふるってご参加ください。次回をお楽しみに。

 


 

フィロソフィア東京では会の運営の中心となってくれる第3期サポーターを募集しています。詳しくはmixiをご覧ください。

 

text & photo by ヘイデン

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