猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年07月16日 (月・祝)
- 名古屋藝術部 佐藤晃子の日本美術基礎講座第Ⅱ期最終回 『人類と建築の歴史』
7月16日に名古屋藝術部「佐藤晃子の日本美術基礎講座第Ⅱ期―第4回」が開催されました。
会場は藤が丘の「JAZZ茶房靑猫」です。参加者は44名、初参加の方は3名でした。
オープニングにて講師の佐藤晃子先生より御挨拶です。
今回の課題本は、藤森照信著「人類と建築の歴史」です。佐藤先生から「この本を読んで縄文文化や神社建築の基礎を知ると、今後観る機会があった時により楽しめるのではと思います」と今回の課題本を選んだポイントが紹介されました。
いよいよ各テーブルに分かれて読書会が始まります。猫町の読書会のルールはたった一つ「他人の意見を否定しない」です。このルールがあることで参加者の誰もが発言しやすい雰囲気が生まれます。
今回も様々な背景の方が参加されています。建築に詳しい方、この読書会を機会に知りたいと思った方、毎回のように参加されている方、初めて参加される方。様々な参加メンバーだからこそ読んだ本への感想も様々で、自分でも気がつかなかった読み方に出会う機会となっています。
読書会のテーブルでは、
・タイトルから予想された内容と違った。もう少し幅広い時代を紹介してほしかった。
・意見としては面白いが、客観的な実証が示されていない。縄文時代など資料がないのかもしれないけれど、少なくとも色々な意見を合わせて紹介してほしかった
・確かに網羅的な入門書にはなっていないが、中学生や高校生が読んだ時、面白い!と興味を感じ、もっと他のものも読みたくなるきっかけとして惹きつける内容
・「宗教から変わる建築」「道具から変わる建築」の観点は面白かった。このテーマでもっと深く語ってほしい
・「なつかしい」と感じる意識、「自分で自分を確認する器」としての建築という説明に納得した
・現代建築は今後どうなっていくのか、今のビル建築を越える新しい様式は生まれるのか
など様々な感想、意見が交わされました。
今回も読書会中に佐藤先生に各テーブルを回って頂きました。ゲストと直接質問できることも猫町倶楽部の読書会ならではです。
読書会に続いて、毎回の好評のレクチャーが行われました。
今回のレクチャーでは、前半は課題本でも多くのページを割かれていた縄文時代について、東京国立博物館で開催されて大盛況の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」とからめて「縄文の美」について話されました。
「従来、遺跡、遺物は考古学的観点からしか語られることがなかったが、岡本太郎の『縄文土器論』などによって造形美術としての素晴らしさへの気づきが起き、日本美術の書き換えとなった」という背景を伺ったうえで展示を見ると、また観方も広がることでしょう。
レクチャー後半は、この夏、佐藤先生がお勧めの美術展の紹介です。奈良国立博物館で開催されている「修理完成記念特別展 糸のみほとけ-国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏-」では、気の遠くなるほど精緻な復元作業が紹介されました。
こちらは岐阜県現代陶芸美術館で開催されている「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」。いずれも、とても興味深い展示紹介に「これは行かねば!」と決心した参加者の方も多いのでは?
最後に2年間の連続講座を総括した振り返りがありました。紹介されたスライドに過去の回を思い出された参加者の方も多いでしょう。最後のお別れのスライドがこちら。会場がどっと沸いてにぎやかなフィナーレです。
佐藤先生のレクチャー付き連続読書会は今期の第二期も今回で最終回を迎えます。毎回非常に面白いレクチャーで参加者の美術への好奇心を刺激してくださいました。名残り惜しい気持ちでいっぱいです。感謝の気持ちを込めて猫町倶楽部から先生へ花束と参加者の寄せ書きをお贈りさせていただきました。
レクチャーが終わった後は、会場を移しての懇親会です。今回も懇親会にも佐藤先生にご参加いただけました。レクチャーまでを通じて聞き足りなかったことを、佐藤さんに質問されている方が多くいらっしゃいました。
レクチャーの終りに撮った集合写真です。ご参加の皆様、ありがとうございました。
次回の名古屋藝術部の読書会は8月22日(水)
課題本A:五十嵐太郎著『現代建築に関する16章―空間、時間、そして世界』
課題本B:磯崎新著『建築における「日本的なもの」』
課題本Aを読了して参加、課題本AとB両方読了して参加のいずれかの参加方法が選べる形となっています。ぜひご参加ください!!
http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/57941
文 レパード 写真 リュウセイ