扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋文学サロン月曜会[文学]

  • 2019年3月15日(金) 
  • 月曜会藤が丘本店 ミランダ ジュライ『最初の悪い男』

寒さが和らいできた3月15日金曜日、藤が丘本店の定例会が開催されました。
今回の課題本はミランダジュライ著『最初の悪い男』。
書評家の豊崎由美さんによる選書です。
43歳独身女性のシェリルの元に、上司の娘クリーが転がり込んできて穏やかな毎日が一転するというストーリーで、2018年度Twitter文学賞海外部門第1位となった話題作です。

読書会の前には毎度おなじみ青猫マスターによるJAZZ講座。
今回はWayne Shorterのアルバム、『Native Dancer』より“Ponta de Areia”、“Miracle of the Fishes”、“From the Lonely Afternoons”が紹介されました。ブラジル風の音楽で、地球の反対側まで行った気分になります。
いよいよ読書会のスタートです。
今回はどのような意見が出たのでしょうか。「映像が浮かんで一気に読めた!」
「シェリルが変わっていく所に感動して泣きながら読んだ。」
「前半は妄想が多く、ついて行けなかった…。」「シェリルのように、現実と妄想の境目を曖昧にする処世術を自分もよくやる。「これは私の物語だ!」と思った。」
「クリーは繊細な子。一見破天荒だが、性的な目に晒されたり、セクシャリティも不安定。本当はケアが必要な子だと思う。」
「シェリルは妄想することで自分を守っている。クリーは現実と上手く折り合っている。究極に真逆のふたり。」
「キャリアを積んで護身術(=権利を守ること)を広めるフェミニストのシェリル。女性として恵まれた肉体を持つことにより実は苦しんできたミソジストのクリー。二人の根本は同じなのでは?」「ラストってどう思う?」
「ラストはシェリルの妄想なのでは?」
「これをシェリルの救いの物語とするなら、エピローグは妄想ではなく現実として受け止めて良いと思う。」「最初の悪い男って、誰のことなのかな?」
「シェリルが一番初めに出会って一番影響を受けた男、クベルコ・ボンディのことでは。」
「『THE FIRST BAD MAN』はダブルミーニング。フィリップともとれるし、キリスト教における最初の人間、アダムともとれる。この作品は宗教的な幸せに対して軽やかに批判をしている。」

賛否両論のある作品でしたが、意見交換を通じて新しい発見や解釈が得られたようです。 

青猫マスターが選ぶ今日の一曲は、Chick Coreaの”Children’s Songs:No.6″。楽器を練習する子ども向けの練習曲でありながら、美しく心地の良い曲です。 

続いては、ベストドレッサーの選出です。
今回のドレスコードは「悪い男」。
最近話題のあの人に扮した方や、身近にいる悪い男をイメージした方など、一口に悪い男といってもバリエーションが豊富でした。


 

読書会後は藤が丘の居酒屋、ばんばんざいへと場所を移し懇親会です。
美味しいご飯を食べながら、和気藹々と語り合います。
最近の身の回りの出来事、今読んでいる本の話、これからの文学についての話、来月の課題本への期待などなど、話は尽きないまま夜は更けていくのでした。


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文責:ゆき
写真:名古屋月曜会11.5期サポーター一同

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