猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2019年4月24日(水) 19:30~21:00
- 第104回 名古屋シネマテーブル定例会『麻雀放浪記2020』
4/24(水)に開催された第104回名古屋シネマテーブル定例会についてお伝えします。平成最後の課題映画は『麻雀放浪記2020』!
参加者は26名。うち初参加の方は1名でした。
今回もサポーターお手製の名札や資料などがお出迎え!
名札は映画の登場人物のもの。お気に入りのキャラの名札を選んでね!
巨大麻雀牌もご用意!
『麻雀放浪記2020』は『孤狼の血(2018)』で日本アカデミー賞の数々の賞を受賞した白石和彌監督の最新作。阿佐田哲也のベストセラー小説『麻雀放浪記』を大胆なアレンジを加えて映画化。2020年の荒廃した東京を舞台に主人公『坊や哲』が麻雀の世界で激闘を繰り広げる様が描かれます。斎藤工が主人公『坊や哲』を演じるほか、竹中直人、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、的場浩司、岡崎体育、堀内正美、小松政夫らが顔を揃えます。
先日コカイン使用の疑いで逮捕されたピエール瀧も出演する本作。瀧の出演する多くの番組や映画が放映休止。代役を立てての再撮影などをする一方、本作においては当初の予定通り4/5にノーカットで劇場公開されました。その対応の賛否がワイドショーで取り上げられるなど色んな意味で話題の作品です。
しかしながらその破天荒で振り切った内容に、参加者の皆さんの評価は賛否両論、否多めという結果に・・・。
「麻雀、恋愛、社会風刺など色々な要素が盛り込まれているものの、どれもこれも中途半端」
「面白そうなシーンの数珠繋ぎだけで、繋がりがなくとっ散らかってる印象」
「麻雀のルールが分からなくて困った」
「これ麻雀でやる意味あるの?」
「ひどすぎて逆に感動」
「白石監督、どうしちゃったの??大ファンなのに・・・」
という非常に辛辣な意見も・・・。
肯定的な意見としては
「ギャグシーンは笑えた。自分だけでなく劇場全体で爆笑していた」
「めちゃくちゃ自由にしてて、そこが好印象」
「ドテ子の一途な思いに癒された」
「賭け事のなかでしか生きられない勝負師としての性が描かれる獄中のシーンがよかった」
「緊迫した世界情勢を対岸の火事として緊張感なく2020年東京オリンピックが当たり前に開催されると信じてる能天気な日本の現状への批判」
などがありました。
しかし、否定的な意見が多めだからといって、そこで終わらないのが猫町倶楽部。話題は色々な方向へ広がっていきます
多くの参加者の方がピエール瀧についても言及し
「白石監督は、同じくキャストの不祥事で『善悪の屑』も上映中止になったし、本作は上映されてよかったね・・・」
「本作はベッキーなど過去に炎上した人が出演していたり、謝罪会見のシーンがあったりと、メディアリンチ的なものに対する問題意識がある。ピエール瀧が逮捕されても予定通り上映したのは納得。もともとそういう考えを持ってる人たちが作ってる」
というように話題は広がりました。
また『麻雀放浪記』は1984年にもっと原作に近い形で映画化されており、それと比較する方も多かったです。
「1984年版のオマージュが所々に入っている」
「本作は1984年版を踏襲した頑張った作品で迷走しているけどテーマはしっかりある」
「著名な雀士である桜井章一氏の技術指導があったため、前作の方が麻雀描写はより見ごたえがある」
と1984年版も観てみたくなるような意見が多く出ました。
さらに、参加者の中には雑誌に取り上げられたこともある強豪雀士の方もお見えで、その方のディープな麻雀話で盛り上がりました。
やはり麻雀にほとんど触ったことのない人とそうでない方では本作の感じ方も違うようで、
「麻雀シーンのクオリティが低い。イカサマが雑」
「麻雀をAIにやらせるという本作の着眼点が素晴らしい。将棋AI、チェスAIはもう強いが麻雀AIは現在はまだ発展途中」
という雀士ならではの意見が出ました。
その他にも現代麻雀史、実際の賭け麻雀についてなどの解説も聞けて、非常に興味深いものとなりました。
またその方のドラマチックな対局話も聞けて「この映画本編よりも面白いのでは?」と盛り上がりました。
本作の感想が否多めだからと言って、その話題が盛り上がらないかとういうと話は別!定例会は今回も大盛況でした!
21:00に定例会は終了。懇親会の始まりです。場所はいつものElephant’s Nest。
懇親会話題映画は『バイス』!
ブッシュ政権でアメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われ、9・11後のアメリカをイラク戦争へと導いたとされるディック・チェイニーを描いた社会派エンタテインメントドラマ。監督アダム・マッケイはもともとはコメディ番組出身。それゆえのギャグ演出が話題です。
「体重を増やして撮影したクリスチャン・ベ-ルの役作りがすごい」
「罪のない人々を戦禍に巻き込んだチェイニーひどい」
「こういう映画が作れるアメリカが羨ましい!」
と定例会に負けず劣らず盛り上がりました。
そして皆で映画の話に花を咲かせつつ、夜は更けていきました・・・。
次回、5/29(水)開催の第105回名古屋シネマテーブル定例会、課題映画は『芳華-Youth-』です
文化大革命の頃の中国を舞台に、時代の波に翻弄されながらもたくましく生きる若者たちの青春の日々を綴ったラブストーリーです。監督は『唐山大地震』『戦場のレクイエム』のフォン・シャオガン。
5/11(土)より、センチュリーシネマにて公開です。
お申し込みはこちらから。http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/68181
それでは、次回もまた定例会でお会いしましょう。皆さんと映画についてお話できるのを楽しみにしています。
★今回話題になった関連作★
『麻雀放浪記』
阿佐田哲也による原作小説。1969〜1972年の間に週刊大衆において連載された。当時の麻雀ブームの火付け役となり、ただのギャンブルとみなされていた麻雀を娯楽として大衆に認知させたとされる。阿佐田哲也は本名、色川武大。色川名義で1979年には『離婚』で直木賞、1989年に『狂人日記』で読売文学賞を受賞。
『麻雀放浪記(1984)』
1984年の映画作品。監督、和田誠。主演は真田広之。映像は戦後の混乱期を描くため、全編モノクロであった。この映画で高品格が日本アカデミー賞助演男優賞を受賞。
『麻雀放浪記』 各漫画化作品。
1993年に初めて漫画化されて以降『~2020』も含め、6つの漫画化作品が存在する。画像は『オールドボーイ』の嶺岸信明の作画で2017年より連載している作品。
『雀鬼』シリーズ
同じく麻雀を題材にした映像作品シリーズ。麻雀を題材とした他の作品に比べ闘牌シーンが多く、闘牌の演技指導も現役麻雀プロが参加するなどクオリティーの高さが話題となった作品。
文 : 名古屋シネマテーブルサポーター のぐち
写真 : 名古屋シネマテーブルサポーター 一同