扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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  • 第15回月曜会第2会場「駒井組」 カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』

東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2019年07月15日(月) 受付開始 16:00 読書会16:30~18:30 懇親会19:00~21:00
  • 第15回月曜会第2会場「駒井組」 カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』

東京文学サロン月曜会第2会場(通称:駒井組)第15回定例会の課題本は、ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出文庫)です。
駒井組では「世界文学」をテーマに世界各地の文学を取り上げています。
今回は、日本人にはなじみの薄いであろうパレスチナ文学の作品を扱いました。

会場は窓の景色から、都会にも青梅雨を感じさせてくれるモンスーンカフェ銀座。
小雨の降りしきるなか、50名近い参加者の方が集まりました。


 

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16:30になりました。
まずは、選書を担当された光文社古典新訳文庫の創刊編集長の駒井稔さんから、選書理由のご紹介です。


本作は高い文学性により、たとえ歴史的背景に関する知識が十分になくても、作品を読むことで世界を理解することができる小説です。
それでいて、古典的小説にも通じる小説作法の巧みさにより、外国文学と感じることなく、日本の短編小説を読んでいるような感覚でも読み進めることができます。

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次に、司会者から読書会のタイムスケジュールや注意点をご案内します。
猫町倶楽部の読書会は、このようなサポーターと呼ばれるボランティアスタッフによって運営されています。

猫町倶楽部の読書会における唯一のルールを紹介します。

【他人の意見を否定しないこと】

このルールがあるからこそ、猫町倶楽部では誰もが自分の思ったことを気兼ねなく発言できます。

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各テーブルでファシリテーター(議事進行役)を決定し、簡単な自己紹介から読書会が始まります。


表題作である「ハイファに戻って」と「太陽の男たち」の他にも多数の短編が収録されており、どの作品にも「私はこれが一番」と感じた人がいたようです。

その中でも「太陽の男たち」のラストシーンは、話題の多くを占めていました。
「太陽の男たち」は、パレスチナ難民である3人の男たちが給水車のタンクに身を潜めてクウェートへの密入国をはかる物語です。
順調に通過できるはずであった検問所で給水車は予定外の足止めをくらい、砂漠の酷暑にさらされたタンクの中で男たちは窮地に陥ります。
タンクの壁を叩いて外に助けを求めれば、密入国の企ては頓挫してしまいます。
しかし、外に出なければタンク内の灼熱は男たちの生命力を削いでいきます。
これを、パレスチナの人々の存在を広く世界に知らしめるために「壁を叩け」と訴えたメタファーであると読み解いた人もいました。
男たちが壁を叩かなかったのは決して生きる希望を捨てなかったためであろうと感じたことに、心を打たれたという人もいました。

自分とは別のところに目を向けて読み解いた人、自分とも同じように解釈をした人、そういった多くの人から話を聞かせてもらうことができるのは、読書会の魅力の一つだと思います。

話題は尽きることなく、2時間の読書会もあっという間に過ぎていきます。

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読書会の最後には、ベスト・ドレッサー賞の発表があります。

駒井組には毎回、課題本にちなんだドレスコードがあります。
今回のドレスコードは作品タイトルにちなんだ「太陽」もしくは「スマートカジュアル」です。
参加者の皆さんは、自由に発想を膨らませてコーディネートをしています。


各テーブルで特に素敵なコーディネートをしていた方が「ベスト・ドレッサー」として選ばれます。
ベスト・ドレッサーには月曜会オリジナル栞と、副賞として駒井さんが厳選した世界文学の光文社古典新訳文庫がプレゼントされます。

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19:00からは、懇親会となります。
読書会で語りきれなかった続きを話し合う人たちもいれば、最近読んだ中で面白かった本の話題で盛り上がる人たちも。


懇親会は21:00まで。
まだまだ話足りない、飲み足りないという方は三次会へ。

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次回の開催は9月16日(月・祝日)です。
課題本は、ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠 』(岩波文庫)です。
20世紀のイタリア文学を代表するといわれる作家の作品です。
ご参加を心より楽しみにしています。

記:しょうたろう 写真:ぎょく

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