猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2019年11月4日(月)
- 【名古屋月曜会×名古屋藝術部】「戯曲を読もう!イプセン読書会&鳴海康平氏トークイベント」
2019年11月4日、今日は11/1~4まで開催された「久屋ぐるっとアート」の一環として、演出家 鳴海康平さんを招いての、イプセン読書会&トークイベントです。
シェイクスピア、チェーホフに並ぶ偉大な劇作家イプセンですが、意外に読んだことがないという人も多い作家です。この機会に読んでみたいと、45名の参加者が集まりました。
まずは読書会から始まりました。
読書会のルールは「他人の意見を否定しない」こと。
それさえ守れば、何を話しても大丈夫です。(課題本への否定的意見もOK!)
今回は、「人形の家」、「幽霊」、「ヘッダ・ガーブレル」の課題本選択制で、各テーブルで様々な意見が出ました。
まずは「人形の家」。
夫に愛され平和な生活を送る妻ノーラ。彼女は夫が病気の時、父親の署名を偽造して借金をしており、それを秘密にしている。しかしその秘密を知る人物が彼女の眼の前に現れた…
・終盤でノーラが突然アイデンティティに目覚めるのが印象的だった。
・ノーラの夫は当時の社会では一般的な男性だと思うし、現代社会でも普通にいると思う。
・女性を下に見る意識を押し付ける男性、男性から下に見られる意識を受容する女性の構図があり、それは現代社会でも少なからずあると感じた。
次の作品は「幽霊」です。
愛のない結婚と知りつつも、放縦な夫のもとに留まり家名を守り続けてきたアルヴィング夫人。彼女にとっては一人息子のオスヴァルが心の支えだった。しかし、その息子は父親の放蕩の結果として不治の病に侵されていた。
・最後にオスヴァルが呟いた「太陽」という言葉は何を意味しているのか?
・「幽霊」は「太陽」の真逆の存在だと思われる。
・人生の選択というべきか、必然というべきか、登場人物それぞれの生き方について考えさせられた。
3つ目の作品は「ヘッダ・ガーブレル」。
ヘッダは美しく魅力的な女性。夫にも愛され何不自由なく暮らしていたが、人生に退屈しており、初めて他人の運命に影響を及ぼすということを試みようとしている。そしてついに一人の男を破滅に追い込み満足を得るが、その報いを受けることになったのだった。
・ヘッダには共感するけれど、自分はヘッダのように振る舞えないから憧れる。
・ヘッダは夫からお飾りとして扱われている感じがする。
・何者かになることを諦められないが、そういう気持ちを行動に移せない時代であり環境だったのだろうと思う。
今回のドレスコードは、作者の出身地ノルウェーにちなんで、「北欧」です。
みなさん思い思いの北欧を表現した服装でした。
読書会の次は、鳴海康平さんによるトークショーです。
テーマは、イプセンの「幽霊」と画家ムンク。同じノルウェー出身のイプセンとムンクですが、ムンクは「幽霊」をモチーフにした絵を多数描いています。その絵を紹介するとともに、イプセンが作品に込めたメッセージを紐解いていきます。
・イプセンの戯曲は当時よく炎上しており、「幽霊」は、主に近親相姦、尊厳死という側面で炎上した。
・「幽霊」は、「人形の家」のノーラが家を出なかった場合の物語。
・ムンクの「幽霊」に関する絵には必ず黒いソファーが描かれており、物語の中で象徴的なものとみなしていた。
最後に、鳴海康平さんによる実際の公演の台本を参加者で読み上げる場面がありました。実際に声に出して読んでみることで、また違った印象が得られ、戯曲の面白さを感じることが出来ました。
読書会の後の懇親会。鳴海康平さんにも来ていただき、イプセンや演劇など様々な話を伺うことができました。
皆さん思い思いの話題で盛り上がり、楽しい時間を過ごしました。
猫町倶楽部では、普段の読書会だけではなくこのようなコラボイベントも行っています。興味のある方は是非いらして下さい。
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文責:ヒロマサ
写真:ゆり、ゆうみ