猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2015年1月10日(土)
- 『高松次郎ミステリーズ』展 講演会&鑑賞会
2015年の猫町倶楽部は、昨年同様、東京藝術部からスタートしました!
場所は竹橋の東京国立近代美術館。現在開催中の「高松次郎ミステリーズ」展を鑑賞し、1月31日(土)に開催する「高松次郎ミステリーズ・読書会」に備えようという企画です。同美術館でこの展覧会を担当した研究員二人(保坂健二朗さん・桝田倫広さん)による解説付きの大変豪華な催しです。現代美術というと、あまり馴染みのない分野で参加者が少ないのでは、と心配していましたが、全くの杞憂でした。当日は約70名もの方々にお越しいただき、大盛況の幕開けとなりました。
まずは第一部として、桝田倫広さんに地下講堂でレクチャーをしていただきました。お話は高松次郎の芸術活動をベースに、1960年代の世相や芸術活動全般に及びます。高松が目指したもの、そして数理的な考え方を重視した高松に影響を与えた数学理論まで、作品の背景にあるものをご紹介いただきました。
その後の参加者からの質問には桝田さん・保坂さんのお二人で丁寧に答えていただきました。
高松次郎についての大まかな知識を得た上で、第二部の展覧会鑑賞に進みます。
会場の入口にある、「影ラボ」では、高松作品で大きな役割を果たす「影」について数々の不思議な体験ができます(ここだけ写真撮影可)。これまで自分の影なんて、きちんと観察したことはなかったので、驚きの連続でした。
展覧会は全3章構成で、高松の制作した年代順に作品を追っていきます。前半を桝田さんに、後半を保坂さんに解説していただきながらの鑑賞となりました。
高松が会社員をしながら制作した60 年代初頭の〈点〉と〈紐〉シリーズから始まり、立体・平面構成を捉えた作品に移ります。その中で「影」を実体として捉えていく思考や、『カーテンをあけた女の影』の作品構成、制作意図について丁寧に解説していただきました。
また、後半では『万物のくだき』『石と数字』など、数理的テーマに興味があった高松の表現方法、晩年に油彩画の世界に戻ってきた高松が描いた抽象画について、それまでのテーマとの共通点や相違を教えていただきました。
普段現代美術に縁のない私にとっては、「なぜこれが芸術作品なのか?」という疑問に答えていただける、とても有意義な鑑賞会でした。
その後、神保町「上海庭」まで移動して懇親会に移りました。保坂さん・桝田さんにもご参加いただき、各テーブルとも中華料理を味わいながら鑑賞会の感想や次回の東京藝術部読書会の課題本について話が弾みました。
今回の鑑賞会にご協力をいただきました、東京国立近代美術館の皆様には深く感謝申し上げます。
次回はいよいよメインの読書会です。1月31日(土)15:00~「高松次郎ミステリーズ・読書会」を神保町のBISTRO Kuu で行います。奮ってご参加ください。
文・写真 はた