猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2014年3月14日(土)
- 【動画付】鈴木淳史のコンサートレクチャーシリーズ @名古屋藝術部第一弾
東京でも大好評だったクラシックレクチャーシリーズ!
名古屋では昨年6月のクラシック野獣主義以来、2度目の開催です。
今回は、クラシック音楽評論家の鈴木淳史さんのおすすめのコンサートを、鈴木さんと一緒に聴きに行くというとても贅沢な企画です。
聴きに行くコンサートは、東京都交響楽団創立50周年記念 名古屋特別講演
エアリフ・インバル(指揮)
ワーグナー《トリスタンとイゾルテ》より「前奏曲と愛の死」
ブルックナー交響曲第4番変ホ長調《ロマンチック》
まずはランチ会で、コンサート前に鈴木さんから事前レクチャーを受けます!
ランチ会場は愛知県芸術劇場近くのイタリアンのお店です。
藝術部サポーターズが参加のみなさまを笑顔でお出迎えします。
続々と集まってまいりました!
この日の特製ネームカード♪水玉です。臨時サポーターチアキさん制作
藝術部サポーター、しょうふうさんの司会でスタートです。
鈴木さんに今回のコンサートを選んだ理由を話していただきました。
今回のコンサートは、初心者向けというより、マラソンでいうならフルマラソン?!とのこと…。
鈴木さん「決して聞きやすい曲ではないけれど、いきなりフルマラソンに挑戦するのもいいじゃないかと。」これは、事前レクチャーがあってよかったですねー!!
まずは猫町倶楽部主宰タツヤさん、乾杯の挨拶から!!
続々とお料理が並びます。テーブルごとに歓談中。
さて、お腹も満たされたところで…
鈴木さんのレクチャータイムです。
まずは、ワーグナーの『トリスタンとイゾルテ』のレクチャーからです。
ワーグナー以前のオペラというのは社交の場であって、作品よりもいろんな人が集ってワイワイガヤガヤして楽しむ場でありました。それを現代のような劇場で集中してみる形にしたのは、ワーグナーなのだそう。
『トリスタンとイゾルテ』は全部で4時間のオペラ。
今回の都響の演奏は、オペラの中でも最初と最後を抜粋した超いいとこ取りの演奏が聴けます!
「トリスタンとイゾルテ」の物語のあらすじも詳しく説明してもらいます。
鈴木さん、最後に一言「まあ、簡単に言うと不倫の話です(笑)」
参加者「わかりやすいー」との声…!会場にどっと笑いがおきました。
つぎに、実際に音を出してもらって、解説です。
何ともいえないような音「トリスタン和音」を聴き、説明してもらいました。
ワーグナーは不安にさせるような流れの旋律を使うことで、終わらない雰囲気やセクシャルな感じを出したかった。うねうねとした雰囲気はどこに進んでいくかわからない、漂う感じを出しています。
こちらは「愛の死」の歌詞です。
ワーグナーの作品は女性が必ず死ぬ。最後に死ぬことによって物語が解決するのだそうです。
「いわゆるワーグナーはマザコンなのですよ。『女性によって世界は救われる』というのが彼のオペラには必ず入っている。」と鈴木さん
続いて、ブルックナー交響曲第4番変ホ長調《ロマンチック》のレクチャーです。
ブルックナーの特徴と言えば…
・長い
・地味である
・くり返しが多い
・うるさい
・男子トイレに行列ができる(→女子が少ない)
・幼女好き
(最後の項目に会場がざわざわします)
ブルックナーは一つの作品を何度も改訂している作曲家で、弟子にこうしたほうがよいと言われるとすぐ直すひとでした。
ブルックナー好き=オタク!
日本のブルックナーファンが一番オタクだそうです。
鈴木さん「オタクって細かい違いが好きでしょ?」
今回の交響曲4番はブルックナーの中でも一番わかりやすくて、人気があるそうです。
(およそ一時間の演奏時間)
ブルックナーの音楽は長くて、同じフレーズの繰り返しで今どこにいるのかわからなくなる感覚と、それでいてすごく緻密に考えられたひとつひとつの部分が全体をつくっているのだと。
それは、普通、相いれないものであるのだけど、その両方をあじわえるのがブルックナーの音楽だとのことです。(なんとも奥が深そうですね…)
このあとも、ブルックナーに関して、愛のある講義が続きました。
第1楽章から第4楽章までの、交響曲の形式(ソナタ形式、ロンド形式、スケルツォ、など)も実際に
主題の音を聴かせてもらって解説していただきました。
さて、コンサート会場の愛知県芸術劇場に歩いて移動します。
コンサート前に集合してパチリ。
いよいよ、コンサートの始まりです!!
(何だか男性の観客が多いような…。トイレは行列なのだろうか?)
コンサート終了後
レクチャー後のオーケストラの演奏、みなさま楽しんでいただけましたでしょうか?
今回は、急遽、懇親会を設けました。
会場は、名古屋猫町でもおなじみの「音楽&薬草バー スキヴィアス」です。
鈴木さんにもDJをしていだたきました!
鈴木さんとスキヴィアスのマスター、おふたりのコラボDJもありました。
何だか音楽の話で気が合っていて楽しそう~。
名古屋猫町DJのふたり♪
『恋チュン』が流れると自然にみんな踊りだします♪
みんなニコニコ楽しそうですねぇ~。
としちゃんのレコード!!
主宰のなでくり。さすがにきまっています!
この日は、ジャスミン&ちかおの小料理的なものもお出ししました!
藝術部2日間連続イベント、一日目にして濃厚で楽しい一日でした。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。「コンサートレクチャーシリーズ」なので
次回があるかも?!しれません。次回開催をお楽しみに~!!
そして、この後、二日目、「爆クラ@名古屋」イベントに続きます!
最後に、
今回のコンサートレクチャーで参加者のみなさまにお配りした「初めてのクラシックコンサート レジュメ」を掲載します。
鈴木さんへの質問&回答が、とても素敵で、クラシックコンサートへのとっつきにくさをグッと和らげてくれると好評でした。今回参加できなかった方も、次回の参考にしていただければと思います。
*****************************************************************
【初めてのクラシックコンサート レジュメ】
質問1 最初、何を観に行けばいいのかわかりません。
全くの初心者です。家で鑑賞することもありません。webで検索すると好きなものを観に行けだとか地元の交響楽団を聴きにいけだとかありますが、いまいちピンときません。鈴木さんならではのポイントはありますか?
難しい質問です(笑)。北方謙三なら、たぶん「そうやって童貞をこじらせるくらいなら、黙ってソープに行け」などと言いたくなるに違いありません。何に頼ろうと構いませんので、どうか自分なりの方法で探して下さい。音楽に限らず、日頃から好奇心のアンテナの感度を上げていくと、向こうのほうから、これを聴け、ここに来い、と勝手に呼びかけられるものです。
質問2 ドレスコードはありますか?
普段着、ジーパン姿でもかまわないとありますが、本当でしょうか?もし本当でもそれは日本だけのような気がします。
ありません。何かしら服さえ着ていれば、たとえ上下スエットのちょっとコンビニ行ってくるスタイルでも入場できますので、90年代のディスコより敷居は低いです(ただ、コンビニ行ってくるスタイルだと少し目立つことがあるので、そういう目線を気にしてしまう人はジーンズくらいは履いていったほうが得策と思われます)。ドレスコードがあるのは、世界中見渡してもグラインドボーン音楽祭くらいなもので、そういう場合は事前に説明があります。
質問3 持っていったほうがいいものはありますか?
演奏者を観るためのオペラグラス、急な咳を緩和するために、のど飴、ハンカチは持っていったほうがいいとありました。その他にあるといいものを教えてください。
とくに思いつきません。身軽なほうがいいでしょう。でも、わたしはチケットや財布を忘れて汗が噴き出したことが幾度かあります。
質問4 開演何分前に会場に入るのがベストですか?遅刻してしまいました!どうすればいんでしょう?
入ったことがない会場なら少し早めにいくのがベターでしょう。日本では通常開演30分前には開場しています。遅刻したら、レセプショニストに従うこと。楽章間か曲間で入れてもらえます。
質問5 演奏中にやってはいけないことはなんでしょう?
静かにする、音は立てない、腕時計のアラームや携帯電話のスイッチを切る。などはわかりますが、その他にしていけないことはありますか?咳止めの飴を出し忘れてしまいました。どうすればいいんでしょう?
音以外では、むやみに身体を動かしたり、前のめりになると、周囲に嫌がられることが多いです。飴を出し忘れたら、諦めましょう。飴を剥く音より咳のほうが気にならないものです。
質問6 拍手のタイミングがわかりません。
曲が終わったらするとあります。でも基本クラシックは楽章ごとに分かれていますよね。ここで拍手したら恥ずかしいですよね?
演奏者の「もう終わりだよ」という顔の表情を見て一息入れてから拍手すればいいだけなのですが、慣れないとそうした気配に気づきにくいので、客席が拍手をし始めたら5つ数えて止む様子がなければ自分もする、という様子見の姿勢でいいのではないのでしょうか。楽章間で拍手をするのは恥ずかしいというより、迷惑になることも多いので、やめたほうがいいと思います。
質問7 クラシックコンサートの席について
真ん中が人気があるのは分かりますが、あえて右に座る人、左に座る人もいるようです。これは何故でしょう?
ホールによって音の伝わり方が違うからです。とくに残響の多そうな場所では、横側に陣取って直接音を聴いたほうが細かいところがわかって得した気分、というわたしのような人がいます。
(レポート:ちかお)