素晴らしいお天気にめぐまれた2015年7月26日(日)、
第67回東京文学サロン月曜会の定例会が代官山のcafe、Chano-maにて開催されました。
chano-maはおしゃれでゆったりとした素敵なカフェです。
課題本はD・H・ロレンス「チャタレー夫人の恋人」(光文社古典新訳文庫)です。
今回は、特別ゲストとして翻訳者の木村政則さんと、
光文社古典新訳文庫の駒井編集長をお呼びしました!
「チャタレー裁判」でも有名な「チャタレー夫人の恋人」。
まだまだ「わいせつ」な本という印象が世間では強い本ですが、
実は「わいせつ」描写はあまり多くないうえに、恋愛小説としてだけではなく、
社会的、文化的な側面からも大変面白い小説です。
右は翻訳者の木村政則さん。とってもかっこいいです。意外とパンクなロレンスの小説にぴったり。
読書会受付開始前に、毎回、各グループの進行役である
ファシリテーターのミーティングを行います。
ファシリテーターは参加回数4回以上の人を対象に
サポーターが声をかけています。
進行役といっても、その小説について特別詳しくなくても大丈夫!
何よりも楽しくやることが一番です。
ファシリミーティングはプレ読書会のようなもので、読書会でどんなことを話題に出すかを、みんなで和気あいあいと話し合います。
読書会スタート!
木村先生も読書会中に、各グループをまわっていただき、参加者の質問に答えていただきました。
既存の訳と比べて意識して変えた点、訳者としてゆずれなかったシーン、お気に入りのシーンなど。とっても気さくな方で、いろいろと答えてくれました。
どのキャラクターが好きか?という話題から(ボルトン夫人が意外と人気でした)、男女による見方の違い、イギリス階級社会の話、現代社会への批判や、ロレンスの理想論、欧米人の肉体賛美について、などなど話題は多岐にわたり盛り上がりました。
恒例のベストドレッサー選出!
今回のテーマは「主人公のコニーもしくは、夫のクリフォード、
もしくはコニーの恋人となる森番メラーズ」です。
コニーとメラーズが結ばれるきっかけになった雛鳥を手にのせて・・・。森をイメージしたランプの小道具もいいですね。
森番らしい服装と、なんとメラーズがつかう「キジ笛」も!実際に吹いてもらいました。笛の音は、実際のメスのキジの声に似ているそうです。
コニーが着ていた青いドレスをイメージして・・・。素敵ですね!
コニーの内面を表現した、大胆かつ素敵なTシャツです。※猫耳は関係ありません。
サポーターが独断と偏見で選ぶサポーター賞はこちらの方。森をイメージしたかわいいフクロウのぬいぐるみです。
そして、もう一人のサポーター賞は木村先生です!作中でコニーとメラーズの二人がお互いの裸に花をつけるロマンチックなシーンがあるのですが、そのシーンをイメージして白い花をつけてきてくれました!
ベストドレッサー賞をとった皆さん
お待ちかねのゲストトークです。 社会的・文化的背景が
想像しづらい海外文学は ゲストの方の解説が大変ためになります。
まずは駒井編集長からひと言。「わいせつ」本として誤解が根深い「チャタレー夫人の恋人」。その世間の印象を変えるためにも、ご自身の新訳にかける想いは強かったとのこと。
木村先生はなんと、当初はロレンスがあまり好きではなかったとのこと。そこからなぜロレンスを好きになったのか、というロレンスとのなれそめから、既存訳として有名な伊藤整訳や、ロレンスの原文に忠実な武藤浩史訳との違いを説明。今回は「読みやすさ」はもちろんのこと、「物語性」を重視して訳したそうです。また、ロレンスが描く男女のちょっとした会話やしぐさは抜群にうまいと力説。
最後は懇親会です。
読書会のテーブルでそのまま話を続ける人もいれば、立って自由に会話に加わる人もいます。今回は女子だけ集まって、「メラーズってどう?」みたいな女子会トークが繰り広げられたテーブルもあったようです。
駒井編集長も今回に参加しました。熱い翻訳文学への想いがほとばしります。翻訳業界事情も聞けておもしろかったです。
木村先生も懇親会に参加!気さくな方なので、たくさん人が集まりました。特に女子率が高くほぼハーレム状態に・・・。
次の定例会は毎年人気の浴衣を着て行う「浴衣読書会」!
8月23日(日)になります。
会場は根津美術館。著名建築家による和の現代建築と、
日本庭園が見どころの美術館です。
館内の作品と日本庭園の鑑賞もできます!
次回の課題本は夏目漱石『それから』。
皆様、ふるってご参加下さい。
記:かなこ 写真:アイハナ、バベルの塔の狸