猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2015年07月25日(日曜日)
- 【動画付】「これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会」鑑賞会
1月の「高松次郎ミステリーズ」以来、久々の芸術鑑賞企画となりました今回の東京藝術部。場所は国立近代美術館、キュレーターのに解説をして頂きながらの鑑賞会となります。
当日は当初の定員を超える、80名もの方々にお集まり頂きました。
参加者の半分近くは藝術部企画初参加というのもあり、「普段美術館にはあまり足を運ばないけど、今回のようなキュレーターの話を聞きながら、みんなで観れる機会なら自分も楽しめそうだと思った」という声も多かったです。
今回、キュレーターを務めてもらうのは本展覧会の企画者である桝田倫広氏(東京国立近代美術館)と、新藤淳氏(国立西洋美術館)のお二人。桝田氏には高松次郎ミステリーズでもお世話になりましたが、今回も快く引き受けて下さいました。
「これからの美術館事典-国立美術館コレクションによる展覧会」のキャッチコピーは「No Mueum, No Life?」。これはご存じの通りタワーレコードのコーポレイトボイスであり、アートディレクター/クリエイターである箭内道彦による「No Music, No Life」からの引用。
キュレーターのお二人は、この言葉に、「美術館があることで、私たちの人生に彩りが加わるのでは?」という問いかけと、「美術館なしには、作品の生命を守ることができない」という2つの意味を込められて命名しています。
AからZまで、36のキーワードで構成された作品たち。普通に鑑賞しただけでは気付かない点や見落としてしまう箇所も丁寧に解説されることで、その楽しみ方が広がっていきます。
今回の企画展は美術館が所蔵する作品のため、一部作品を除いて写真撮影が自由というのも大きな特徴。
作品も贋作や企画の為に使用された書類やミニチュア、更には「Youあなた」自身も含まれたりと一風変わった内容となっています。
またその構成も一直線の流れがあるわけでなく、事典をめくるようにZからAの順番に鑑賞しても成立する構成。会場内の壁も事典風のレイアウトになってます。
会場内で所々に存在する壁の穴。これにはキーワード同士の繋がりが込められており、離れた場所でもその意味の関連を感じて欲しいという意図が込められているんだとか。
それ以外にもFrame-「額・枠」の場所では額縁の中心が壁の穴と繋がっており、反対側に移動すれば誰もが作品の一部になれる仕掛けになっています。
解説の合間に、参加者の質問にも答えていく桝田氏。「夏休みで子供たちもやってくる時期、もっと敷居を下げた企画でも良かったのでは?」という質問に対し、「敷居を下げるのでなく、間口を広げたい。間口を広げれば、敷居を下げなくても届いてくれるものだと思ってる」と答えられた内容には頷くばかりでした。
鑑賞会の後は神保町の上海庭に場所を写して懇親会。こちらも50名以上の方が参加してくれました。
懇親会には桝田氏と新藤氏も来ていただき、テーブルを回って参加者の声を聞いてもらいました。
最後には今後の課題本も告知、第三期サポーター、ごちょうリーダーからは8/9(日)の大谷能生さんによる21世紀芸術学講座、第三回の課題本である椹木野衣『シミュレーショニズム』を。キュレーターのお二人からも「名著中の名著」とリコメンドの声が。
そして本企画と関連した読書会は9/6(日)に神保町で開催予定。課題本はキュレーターに選書して頂いた、暮沢剛巳『美術館はどこへ?-ミュージアムの過去・現在・未来』もしくは同『美術館の政治学』の選択制となっております。こちらについては桝田さんからお勧めの言葉を頂きました。
今回の企画に協力して頂いた東京国立近代美術館のスタッフ、キュレーターのお二人、そして参加して頂いた方々には改めて感謝を。
東京藝術部は今月から第三期メンバーに衣替え。新しい仲間たちと共に、人とアート、本と作品、そして人同士が結びつく場を生み出していきますので、今後ともよろしくお願いします。
文 次郎 写真 艶月堂・いんごま