猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2015年9月5日(土曜日)
- 関西文学サロン月曜会、第8回、福永信『一一一一一』
関西文学サロン月曜会も8回目を迎えました。
前回は梅小路公園で華やかに行われましたが、今回はいつもの恵文社一乗寺店のCottageに戻っての開催です。
恵文社さんは独特なたたずまいを見せるステキな本屋さんです。わざわざ店内の様子などを見に遠くからの観光客も足を運ぶほど。
関西文学サロン月曜会では、課題本を恵文社と猫町倶楽部が交互に選書することになっています。今回は恵文社さんの選んだ一冊。福永信の『一一一一一』。あれ?と思われる方もいるでしょうが、決してタイプミスではありません。
名前のない二人の人物が登場し、片方が一方的にしゃべり続け、もう片方はただ相槌をうっているだけというユニークな文章が続く、実験的な文体の短編集です。装丁がとても凝っているのも特徴的で、それをお見せしきれないのが残念なほどです。
恵文社さんの担当者の話によると、作者の福永信さんは京都出身であり、恵文社さんとも縁の深い方で、そんな彼の作品の中でもタイトルのインパクトが強く、読み直すたびに発見のある面白い本だから選んだとのことでした。
そんなムズカシイ本を読んできているのだから、どんな凄い人ばかりが集まっているのだろう?と思った方もいるかもしれませんが。どうかご心配なく。参加者たちの職業や年齢も様々ですし、学問としての文学の専門家はほとんどいません。毎回初参加の方も多数来られます。色んな立場の方の感想が聞けるのが、何よりもこの読書会の醍醐味なのです。
大切なルールは一つ。それは「相手の意見を否定しない」こと。この読書会は議論する場でもディベートをする場でもありません。課題本の読み方に正解を求める集まりではないのです。だからこそ、奇想天外な意見も飛び出す熱いトークが繰り広げられるのです。
そんな熱いトークの合間にはお茶を飲みたくなりますね。今回はいつものドリンクに加えて、『一保堂茶舗』さんのグリーンティーをご用意させていただきました。
さて、いよいよ読書会のスタートです。テーブルごとで簡単な自己紹介から始まって、感想や意見が交わされていきます。
今回は実験小説であるがゆえに色々と想像をめぐらせる部分が多く、多様な感想・解釈が飛び交う非常に白熱したトークになりました。
「文中に『うがいして』や『はい、次の人』なんて台詞もあるから、一方的にしゃべっているほうの人物は歯医者さんで、相槌をうっているだけの人物はその患者なのではないか?」
「本の帯に登場人物一覧があるけど、これが一種の読書ガイドの役割を果たしている気がする。他にも、この本独特の凝った装丁を生かした“しかけ”がたくさんあるのではないか?そんなことを意識しながら読み直してみたい。」
「伏線が回収されているようなされていないようなというモヤモヤした感じがある話ばかりだけど、それがかえって面白い。」
関西文学サロン月曜会では、毎回「ドレスコード」というのがあります。そしてそのドレスコードにあわせた思い思いの衣装の中から、各テーブルでもっとも評判のよかった方がベストドレッサーとして選ばれます。今回のドレスコードは「ストライプ」。4名の方がベストドレッサーに選ばれました。
実は右端の男性は靴下までもがストライプでした。
毎回、ベストドレッサー発表のときにはBGMを用意させてもらっています。今回のBGMは、ドレスコードの「ストライプ」にあわせまして、The White Stripesの“Seven Nation Army”でした。
今回もお茶請けに『京菓子』をご用意させていただきました。今回の課題本のタイトルは『一一一一一』。それにあわせて漢数字の「一」をイメージしたお菓子を取り揃えました。
まずは京都の老舗和菓子屋の『千本玉寿軒』さんと、手紙まわりのオリジナル文具を扱うお店『裏具』さんとのコラボ企画として開発されたお菓子「日月菓」。材料は“さぬき和三盆糖”だけというシンプルなもの。上質な砂糖の香りが口一杯に広がるとても上品な味わいのお菓子です。
そして『あめんぼ堂』さんの「かりんとう」です。味はしょうが・七味・黒コショウの3種類。ピリッとした大人の味わいはお茶請けにぴったりです。
読書会を終えたあとは懇親会です。関西文学サロン月曜会では会場を変えずに、その場で懇親会に突入します。今回もお食事を用意してくださったのは、『スーフル食堂』さん。もちろん料理のテーマは「ストライプ」。
ご飯もストライプ。
サラダもストライプ。
見ているだけでも楽しい盛り付けですね。もちろん味の方も折り紙つきです。是非、懇親会にもご参加ください。
多彩な方々が集まるこの読書会。懇親会でも多様な趣味の話などで大盛り上がりになります。
最後に課題本片手に参加者全員集まって記念の一枚。
次回は10月3日に行われます。課題本は猫町倶楽部の選書で『カフカ短編集』(岩波文庫)です。
稲穂も垂れる時期の京都で、読書の秋を満喫しませんか?是非、恵文社一乗寺店に足を運んでみてください。
(記:レンゾウ 写真:ほずみ、ともこ)