猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2016年7月24日(日)
- 第79回 東京文学サロン月曜会 倉橋由美子 「聖少女」
梅雨空が続いていた東京に、雲間から夏の気配を感じる陽光が差してきた頃、
第79回 東京文学サロン月曜会 倉橋由美子 「聖少女」は、7/24(日)に代官山 chano-maにて開催されました。
お洒落な代官山の街に佇む、大きな窓の明るいカフェ。真っ白なソファ席は寝そべることもできます。こんな和やかな空間で、東京月曜会は行われます。
読書会の前に行われている、ファシリ交流会。
各グループの進行役のファシリテーターは、回数を重ねた参加者さんにお願いしています。初心者の方も安心して参加することができるのは、ファシリの方々の温かい誘導のお蔭。ファシリを引き受けてくださった皆さん、ありがとうございます。
タイムテーブルを確認しつつ、今日はどんな風に話そう?切り口は?と、ファシリ同士でわいわい、ブレインストーミングします。
和気藹々と話すうちに場が温まり、緊張もほぐれてきた様子!準備万端で読書会に臨みます。
いよいよ、読書会スタートです。今回の参加者は99名、うち初参加の方が26名いらっしゃいました。
8人程度のグループに分かれて、ドリンクやケーキをつまみながら、感想を話し合います。
まずは、参加のきっかけや好きな作家など、簡単な自己紹介をします。
皆さんの参加の理由はさまざま。
「読書が大好き、とことん語り合いたい!」
「普段はビジネス書など別ジャンルの本を読んでいるけれど、課題本を読んで幅を広げたい!」
「引っ越してきたばかりで、友人が欲しい!」
どんな理由でも、「課題本を読了」の条件さえ満たせば、気軽に参加いただけます。
お隣の人と好きな作家が同じ!なんてこともしばしば…後の懇親会でゆっくり語り合いましょう。
猫町倶楽部読書会の唯一のルールは「他の参加者の意見を否定しない」。それ以外なら何を話してもOK!お互いの意見を尊重しあいながら、自由に話し合います。
今回の課題本は倉橋由美子「聖少女」。
熱狂的ファンも多い女性作家による、「この国で最も重要な少女小説」との呼び声高い作品です。
しかし、綺麗な少女には棘があるもの。ふわふわした少女小説とは一線を画する、凝った構成の前衛的な作品。テーマは「不可能な愛」。一筋縄ではいきません。
ある参加者さんが呟いた言葉、
「この本は、少女の頃に読んでしまったら、毒になる…」
それほどインパクトの強い作品でした。
カタカナ表記や個性的な比喩表現など、目まぐるしく言葉を操る独特の文体は、グルーブ感があって格好良い!派と、毒気が強すぎて乗れなかった…派と、感想が真っ二つ。両極端の意見が、いつも以上に会を白熱させます。
また、事実を語っているとは限らない「信頼できない語り手」が、ヒロインのノート、主人公が書いている小説、作品中に出てくる「作家」・・・と、幾層も出てきます。
虚構と真実の境は?と混乱してしまった人もいれば、ミステリー小説を読み解くように夢中になった、という人もいました。
難しくてよく分からなかった…という意見もちらほら。でも、グループに疑問を投げかけると、「僕もそこ分からなかった!」「私はこう思った」「ここの描写が意味あり気だと思わない?」と、次々声が上がります。
作家の経歴を調べてきてくださった方、同じ作家の他の作品を読んだことがある方、作家が影響を受けていそうなフランス文学や映画に詳しい方、皆のヒントを寄せ集めて、読みが深まっていきます。
完成された意見を持ち寄るというよりは、疑問をシェアして、みんなで様々な角度から議論する、これが猫町倶楽部の醍醐味です。
なぜ近親相姦は許されないのか?なぜ少女は自ら罰を求める?
母を殺し父と交わる聖少女が、ありふれた「幸福」な女になっていくとはどういうことか…
どんどんディープになったかと思えば、いつの間にやら脱線して、関係ないことで爆笑していたり…あっという間に2時間経ってしまいます。
読書会終了後にはベストドレッサーの選出が行われます。
読書会の「ドレスコード」は、文学サロンに華を添える、ちょっとしたお遊び。
今回のドレスコードは「赤」でした。皆さん思い思いの発想でテーマを取り入れて、会場は艶やかな赤色に染まっています。
参加者から選ばれた今回のベストドレッサーの皆さんがこちら。
エキゾチックな装い。小物や爪など細やかなところに赤が配されて素敵ですね。
こちらは作品の書かれた60年代テイスト。アンナ・カリーナみたい!
夏を感じるリゾート風。ワンピースの潔い赤さが目を引きます。
旬のお笑い芸人を模して。確かに赤い!
DJブースから曲が流れ、会場をさらに盛り上げます。課題本に因み、「少女」にまつわるナンバーばかり。猫町月曜会のmixiコミュ二ティでは、事前にその会の音楽テーマを発表し、参加者のみなさまのリクエストを受け付けています。興味のある方は是非ご参加くださいね!
読書会後は、同じ会場で、お待ちかねの懇親会。多くの方が、続けて参加されます。まだまだ喋り足りないですものね。
お好きなカクテルやワインを片手に、美味しいカフェご飯を囲めば、楽しい時間の始まり!
ここからは、席の移動も自由です。
ほかのグループでは読書会でどんなことを話したか、尋ねてみたり。
皆さん共通の本を読んでいますので、初対面でも話題に困ることはありません。
こちらは「猫町古書店」。読み終えた本を持ち寄って、交換するコーナー。
さすが読書家の皆さん、面白そうな本ばかり。mixiコミュニティでは、事前に持っていく本を紹介するトピもあります。目をつけていた本が残っているかな?
本を物色しつつ、お酒を片手にまったり、語りこんでいます。
なにやらひそひそと話し合う秘密の集団…こちらは課題本に因んだテーマを語り合う「テーマトーク・テーブル」、今回は「禁断の愛」について…
上司と部下、教師と生徒、不倫…許されないが故に燃え上がる愛は、小説に限らず、ドラマや漫画のモチーフとしても多く使われているだけあって、話は尽きません。
実際に身の回りにもいました!という声も。
でも、課題本に出てきた「近親相姦」を、自分の身に置き換えて想像すると…「絶対にない!あり得ない!」幼い頃から知っている家族を異性としては見られない、という意見が大半。やはり、フィクションだから面白いのでしょうか。
最後は、東京月曜会サポーターにして猫町のアイドル、司会のイワナ美ちゃんによるダンスパフォーマンス。
曲はPerfume「不自然なガール」!
キレがあってとってもキュート!思わず会場全員が手拍子を始め、大盛り上がりの中、幕となりました。
この後、更に三次会へ!代官山の町に繰り出します。猫町の夜はまだまだ続く…
話し足りない方は、mixiの「話し足りん」トピを覗いてみてくださいね!
次回は、毎年大人気のイベント、浴衣会!
2016年8月21日(日)清澄公園大正記念館にて、課題本は松尾芭蕉「おくのほそ道」。美しい庭園を眺めつつ、俳句に親しむひと時。日本人らしい風雅な気持ちに浸れそうです。国語の教科書でも馴染みがある作品ですので、初心者の方にも取っつきやすいかもしれませんね。
この夏は浴衣を着る機会がないなあ、なんて方も、夏の思い出作りにいかがでしょうか?
お申込みはこちらから。
みなさまのご参加、お待ちしております。
記:みさき 写真:みほ・みさき