扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2016年11月20日(日) 
  • 第83回 東京文学サロン月曜会 谷崎潤一郎 「鍵・瘋癲老人日記」

小春日和の気持ちの良い午後、
第83回 東京文学サロン月曜会 谷崎潤一郎 「鍵・瘋癲老人日記」は、11/20(日)に代官山 chano-maにて開催されました。

開始1時間前、既に10名近く集まっている参加者の皆さま。


実はこちら、本番前に行われている「欲張り読書会」というイベントです。
「とにかく熱く語りたいので、ウォーミングアップしておきたい!」
「何を話していいか、いまいち掴みきれていないので、事前にブレストしておきたい!」
そんな欲張りさんのためのプレ読書会です。
知らなかった!という貴方、ミクシィコミュニティでアナウンスしていますので、チェックしてみてくださいね!



いよいよ、読書会スタートです。



8人ほどのグループに分かれて、簡単な自己紹介をしてから、課題本について話し合います。

今回の課題本は「鍵・瘋癲老人日記」。
晩年の谷崎潤一郎が描いた、観念的な性愛にまつわる二作です。



猫町倶楽部読書会の唯一のルールは「他の参加者の意見を否定しない」。
それ以外なら何を話してもOK!

「ファシリテーター」と呼ばれる進行係は、その場の話し合いで決めています。
以前は、常連の方を中心に事前にご依頼していましたが、
参加者の皆さんに満遍なく体験していただくことで、「参加者で作る読書会」の醍醐味を味わっていただいています。

進行係といっても、難しいスキルは一切不要。
グループの全員が一人一枚ずつ、小さなカードに「皆に質問したいこと」や「話題にしたいこと」のキーワードを書きます。
ファシリテーターは集めたカードを引いて、皆に話題を振るだけです。






「鍵」は、老年に差しかかった夫が、若い男をけしかけて妻と恋愛させ、嫉妬によって自らの欲望を奮い立たせるという物語。
夫婦が書いた日記という体裁で描かれています。日記といっても、お互いに盗み読ませる前提で書かれている、というところが曲者。
果たしてどこまで真実が書かれているのか?嘘をついた意図は? 議論が白熱します。
相手を騙したり、より多くの情報をつかんで上位に立とうと競り合うことで、倦怠しがちな夫婦関係に緊迫感を持たせ、それが欲情に繋がっているのでは、という意見があがりました。
また、不倫相手や娘など日記を書いていない登場人物が、実は鍵を握っているのでは?という意見も。



「瘋癲老人日記」は、息子の美しい嫁に下心を抱く老人の物語。
Sっ気のある嫁の颯子の、コケティッシュな描写が人気!

「颯チャン、颯チャン、痛イヨウ!」「一人デ勝手ニ泣イテラッシャイ」
若い嫁に虐げられて悦ぶ老人の姿は、気持ち悪い・・・と思いきや、
「何だか可愛い」「とにかく笑った!」「こんな老後、最高だよねー」
猫町女子は変態に寛容なようです。

映画では若尾文子が演じた颯子。現代の女優だと誰が適役だろう・・・?そんなキャスティング妄想も盛り上がりました。



二作品とも、片仮名まじりの表記で読み辛かった、という声もちらほら。でも、そのおかげで性愛の話でも生々しくなり過ぎず、一歩引いた目線で楽しめたという人もいました。
読み始めは取っつきにくかったけれど、課題本なんだからと頑張って読み進めると、意外にすごく面白かった、今回読んでみてよかった。そんな読後感を持った方が多かったようです。



読書会のラストは、ベストドレッサー賞の発表です。
今回のドレスコードは「フェティッシュ」。


絶対領域と胸元のチラリズム、大胆です。


足フェチの谷崎に因んで網タイツ!刺激的です。


読書会の後は、引き続きchano-maで懇親会が行われました。
ここからは、席の移動は自由。読書会のグループで引き続き語りあうも良し、他のグループに混ざるもよし。
ほとんどの方が席を立って、たくさんの方と交流を楽しみます。



好きな本を語ったり、おすすめの本を訊ねたり、初対面でも読書好きならすぐに意気投合。
観劇や音楽など、その他の趣味の話でも盛り上がります。
それぞれのジャンルで、とことん精通している方の興味深い話が聞けますし、どんなコアな話をしても引かれません。そこが猫町の良いところ。





フリートークの席の他に、
課題本に関連したテーマを語り合う「テーマトークテーブル」もあります。
今回のテーマは、「何フェチ?何萌え?」
好きな服装や体の部位など、様々な意見が飛び交います。
男性の大きな手に惹かれる女性が多数。筋張った腕や浮き上がった血管も人気のようです。
匂いという意見も多く上がりました。香水はあり?シャンプーは?など、細かいこだわりに熱くなる男性陣。
体毛フェチなんて声も・・・
いつもより若干アダルトな話題で、ディープに盛り上がりました。



古書店も盛況。参加者同士で、読み終わった本を持参して交換できるコーナーです。




2時間の懇親会は、毎回本当にあっという間。
まだまだ話したりない方々は、この後更に3次会に向かいました。

次回、12月18日(日)の定例会は猫町倶楽部の合同クリスマスパーティーです。
毎年大人気のイベント!今年は3次会会場でお馴染み、モンスーンカフェ代官山で行われます。
6つの分科会の課題作品から選択できますが、それぞれ定員が限られていますので、お申し込みはお早めに。

ぜひ来月もお会いしましょう★



記:みさき  写真:あんちゅー、せみ、あつこ

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