猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2016年12月18日(日) 読書会16:00~18:30、クリスマスパーティー18:30~21:30
- 【動画付】東京猫町倶楽部クリスマス読書会&パーティー2016
師走の慌ただしい雰囲気がクリスマスの興奮へと彩られてゆく12月18日、東京猫町倶楽部のクリスマスパーティー 2016が開催されました。今年新たに発足したフィロソフィア東京も含め、アウトプット勉強会、文学サロン月曜会、シネマテーブル水曜会、東京藝術部、猫町UG(アンダーグラウンド)という、東京猫町倶楽部の全分科会が1度に集結する一大イベントになることに。
今回の会場は、アジアンテイストなカフェ・モンスーンカフェ代官山。文学サロン月曜会では3次会のお店として普段使わせてもらっているこの場所を、本日は猫町倶楽部のクリスマス会のために特別貸切。サポーター・参加者含めこの日は240人近くが集まりました。お店のインテリアもすっかりクリスマス仕様、今日はいつもと違う特別な一日。本日の各分科会の課題本/課題映画は以下の通り。
・アウトプット勉強会 – リンダ・グラットン『LIFESHFT(ライフシフト)』
・文学サロン月曜会 – トールマン・カポーティ『誕生日の子どもたち』
・東京藝術部 – マルセル・デュシャン『デュシャンは語る』
・フィロソフィア東京 – プラトン『ソクラテスの弁明』
・猫町UG(アンダーグラウンド) – 鹿島茂『SとM』
・シネマテーブル水曜会 – 新海誠『君の名は。』
それぞれ個性の違う分科会、課題本(映画)を一瞥するだけでその特色が伝わってきます。
受付も普段と違う華やかな感じ。会場は全3階、1・2Fと3Fの二つ分かれて読書会のテーブルが設営されています。
当日は250名近い参加者ということで受付も慌ただしい雰囲気ですが、この日は全分科会のサポーターが集合していることもあって、混乱もなく誘導が進んでいます。
猫町俱楽部のサポーターは、読書会に参加していくなかで一緒に盛り上げていきたい!と思った人たちによるボランティアスタッフ。条件はこれまで猫町に4回以上参加したことがある人ということで、猫町に参加して1年経たなくてもサポーターに立候補する人も毎年生まれています。
この日は猫町俱楽部の読書会に初参加の人が40名以上来られているということもあり、普段以上にサポーターの気配りが行き届くよう丁寧な対応を心掛けています。何年も続けてきているということで常連さんもおりますが、まずは初参加の人たちが楽しめる場を作る事、それはサポーター全員の共通認識。
司会の挨拶が終わった後、それぞれのテーブルで読書会の開始。猫町倶楽部のルールはたった一つ、「参加者の意見を否定しないこと」。課題本に文句があっても全然OK。読書会経験者の中から当日決めるファシリテーターの進行に沿って、それぞれで話が盛り上がっていきます。
アウトプット勉強会のテーブルで話題になるのは、来るべき長寿100年時代へのライフプラン。仕事や家族、資産についての具体的なトピックについて話し合いながらも、普段と違うパーティー仕様な会場に浮かれることなく、未来と将来にむけての議論の場となっています。
文学サロン月曜会の課題本は、少年とクリスマスに関わる短編集。カポーティの少年時代に自分を重ね合わせる人、無垢さに危うさを感じる人、文学の感想は人それぞれ。ドレスコードや会場について慣れていることもあって、比較的リラックスしたムード。申込みも一番人気でした。
東京藝術部で取り上げたのは20世紀における最も有名な芸術家の一人、マルセル・デュシャンのインタビュー。先月開催された東京都写真美術館でのレクチャー企画のゲスト、杉本博司さんも大きな影響を受けたというその芸術観について、深く広く話が広がっています。
東京フィロソフィアの課題本は、先週の定例会で取り上げた『饗宴』に続いてプラトンの著作を。歴史上の哲学者の中でも最も有名な人物の、最後に残した言葉について掘り下げていきます。多くの翻訳が出版されている本作、なんでも最近になって関西弁訳というものも出たんだとか。
猫町UG(アンダーグラウンド)では、SMの歴史について文学史や宗教と絡めて語られた、文学者による文明論。個人の性癖から文学、そして歴史へと縦横無尽に語られるそのテーブルは参加者こそ決して多くはないものの、大人の世界を決して下品になることなく語り楽しむ内容は、間違いなく一番濃密な読書会となっていました。
シネマテーブル水曜会の課題映画は、社会現象にもなった大ヒット作。今年8月の公開ながら年末になっても多くの映画館で上映されており、今回の課題映画に選ばれたから観たという人もちらほら。初参加者の割合も全分科会で一番高く、新鮮な賑わいで満ちていました。
時間も過ぎてあっという間の100分間。読書会終了後はプレゼント本の交換タイム。この日のために参加者が持参してきたお勧め本、読んでほしい本、プレゼントしたい本。それぞれがプレゼント本のプレゼン(?)後、クリスマスなBGMに合わせそれぞれのテーブルで本を交換することに。BGMが止まった瞬間に手元にある本が贈り物、ラッピングされた本には紹介カードを添えて貴方へと届きます。普段は手に取らない本でも不意にこの手に届いてしまう、今日は本の交差点。
読書会の最後は集合写真。今宵の読書会に集った240名ともなると壮観ですね。
そしてここからはクリスマスパーティー!エスニックな内装を照らす、会場内に煌めくシャンデリア。料理とお酒を楽しみながら、課題本について話したりない人、会場を探索する人、久々の再会に会話も募る人。楽しみ方は人それぞれ。
シャンデリアの煌きが、華やかな雰囲気をコーディネート。読書会の盛り上がりも冷めぬまま、この日はこれからが本番の人も?
この時間からは猫町倶楽部に縁のあるゲストにも多数参加して頂きました。以下、敬称略、順不同で紹介させて頂きますと、吉川浩満(文筆家)、紫原明子(エッセイスト)、五百田達成(作家・心理カウンセラー、読書会から参加)、一鬼のこ(ロープアーティスト)、安田理央(フリーライター)、駒井稔(光文社古典新訳編集長)、小沢カオル(漫画家)、二村ヒトシ(AV監督)、芳麗(ライター)、小野美由紀(文筆家)。参加して頂いた皆様には改めて感謝を。
懇親会の時間には会場のあちこちで各分科会のブースも開かれていました。参加したことがない分科会の内容が気になる人、これまでの課題本が気になる人、入れ替わり人が話し行き交っていました。また、過去課題本の人気投票を行っているブースも。来年参加してみたい分科会は見つかりましたか?
また、3階では猫町ナイトが開催!このイベントの為に店内にDJブースを設置し、サポーターが入れ替わりDJを。「ダンスフロアから失われたチークタイムを復活させる!」「音楽好きのメンバー・文化人がいきなりクラブデビュー!」がコンセプトのこの企画、サポーターもこの日DJ初体験なんてのもよくあること。クラブで踊るというと尻込みする人も多いかもしれませんが、やっていることは読書会と同じこと。DJがファシリテーターで、場を面白くするのは参加者の皆様次第。もちろんルールだって同じ、踊って楽しむ姿は誰にも否定されません。
そしてパーティー途中では、2階エントランスでベストドレッサー企画のファッションショーが行われました。本日のドレスコードに合わせたお召し物の中で、格別素晴らしかった方たちにペアになってもらってのランウェイ。ドレスコードにちなんだフォーマルな装いからサンタクロースまで、和装ではクリスマスツリーをモチーフにした帯留めなど、猫町クリスマスパーティーに相応しい、華やかさと大人の遊び心に溢れたショーとなりました。
フィロソフィアサポーター、ヘイデンさんのシスター衣裳からブラック・キャットスーツへの早着替えは圧巻!司会進行のチアキさんからは「ドレスコードはこれくらいやらなくちゃね!?やるよね!」と楽しみ方を堪能しているコメントを。
終わり間際には「チアキさんのファッションも紹介して〜」とのギャラリーの声に、衣裳を披露するチアキさん。白無垢をおもわせる和洋折衷の白いドレスはお手製だとか!金髪に映えます。
ファッションショーのブレイクを挟んで再び猫町ナイト。後半戦を飾るのはゲスト、吉川浩満!猫町ナイトでは既に何度もDJを経験しているだけあって慣れたもの。途中にノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの曲を流すなど読書会ならではの選曲も。
そこからスペシャルパフォーマンスやチークタイム、ゲスト・紫原明子さんの飛び入りDJなど盛りだくさん。そして最後は今期のヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のエンディング曲、通称「恋ダンス」をみんなで踊ってクロージング。
あっという間の約6時間、2016年の東京猫町俱楽部最後のイベントは大成功のうちに終了しました。来年も新年8日の東京藝術部のイベントを皮切りに、それぞれの分科会で読書会/シネマテーブルが開催されています。今回参加して頂いた人、初参加で来て頂いた人、読書会が気になってるけど参加を迷っている人、よろしければまずは一番興味のある分科会に足を運んでみて下さい。サポーターが歓迎してくれますし、まずは続けて3回参加してみると、その面白さがきっと理解してもらえると思います。2017年も猫町倶楽部をよろしくお願いします。
文責:次郎
写真:きむ、ぎょく、すぎゆり、たく、sui