猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年1月15日(日) 14:00~15:55 読書会 16:15~18:00 レクチャー 18:15~20:15 懇親会
- 佐藤晃子の日本美術基礎講座 第二回
名古屋藝術部の2017年最初の読書会&レクチャー会が1月15日に藤が丘のJAZZ茶房靑猫にて開催されました。
課題本は矢島 新 (著), 山下 裕二 (著), 辻 惟雄 (著)「日本美術の発見者たち」、副読本は佐藤晃子(著)「画題で読み解く日本の絵画」でした。
佐藤晃子さんの日本美術基礎講座は今回2回目です。
前日からの寒波の中、34名が参加されました。
*2枚目の写真ウェルカムボードは猫町メンバーのおりがみさんの作品です。
最初に主宰のタツヤさんからご挨拶。第1部はテーブル毎にわかれて読書会
#猫町倶楽部 名古屋藝術部『佐藤晃子の日本美術基礎講座』第二回『日本美術の発見者たち』佐藤さんも読書会に参加。 https://t.co/eBE3f1I3Ss
— 山本多津也@猫町倶楽部 (@tatsuya1965) 2017年1月15日
「日本美術の発見者たち」は縄文土器から現代の岡本太郎まで、伊藤若冲のような高い技術の画家から、素朴な民芸まで様々な時代、ジャンルのあまり注目されていなかった作品を、誰がどのように評価していったかを書いた本です。
山下裕二と辻惟雄の師弟関係ならでは、忌憚のないやりとりも載っています。
個人的には山下さんの実は仏教美術が苦手という告白が面白かったです。日本美術と一言にいっても色々で、楽しみ方も色々です。
読書会の中では以下のような話が出ました。
「今は有名になっている画家も評価されるようになったのが最近だったとは知らなかった。」
「曽我蕭白は絵を描く時に、自分できれいと思いながら書いたのだろうか」
「柳宗悦の発見する感性だけでなく、収集をしに全国を廻る熱意もすごい。」
「実際に使ってみないと分からない魅力もある。織部焼の緑の魅力は中に抹茶を入れてこそ分かる。」
「トマソンは今でいう「タグ付け」の先駆者。それが広まった要因では。」
自分で読んでた時は思わなかったことを聞けることも読書会の魅力の一つです。
第2部は佐藤さんのレクチャー。
今回は曽我蕭白をメインに「日本美術の発見者たち」で出てきた画家についてのレクチャーでした。
#猫町倶楽部 名古屋藝術部『佐藤晃子の日本美術基礎講座』第二回『日本美術の発見者たち』読書会終わってレクチャー。 https://t.co/vae1Q7ah0N
— 山本多津也@猫町倶楽部 (@tatsuya1965) 2017年1月15日
曽我蕭白は高い技術がありながらも独特な画風のため、いまひとつ人気がない画家です。
曽我蕭白が書いた作品とそれを模倣した作品をならべて、どちらが曽我蕭白作か見極めるコーナーがありました。
下の作品はどちらが曽我蕭白が書いた作品でしょう?
本物の方は服の描き方に着物感あるけど、模倣した作品は線を書いているだけになっているように見えます。
曽我蕭白は本人作のものでも、技術的にいまいちな作品もあるそうです。
下の写真は右の曽我蕭白の絵を元に、左の上村松園が書いたのではないかということでした。
同じ画題を時代を経て別の人が描いたり、人によって表現の違いをみることで、美術についてまた興味をもてると思います。
副読本の「画題で読み解く日本の絵画」の表紙は曽我蕭白とのことでした。課題本の表紙も曽我蕭白でした。
だんだん曽我蕭白のことが気になってきた方は、三重県立美術館に作品がありますので、そちらへもどうぞ。
下の写真は本に出てきた長沢芦雪の虎の絵で、2017年秋に愛知県美術館で開催される長沢芦雪展で展示されます。
佐藤晃子さんもこの展覧会に関わっているとのことでした。
こちらも楽しみです。
高い技術に基づく画家の作品ばかりではなく、柳宗悦が収集した素朴な絵についても紹介がありました。
下の写真は日本民藝館の「築島物語絵巻」です。
絵の他には赤瀬川原平による超芸術トマソンの紹介もありました。
*トマソンとは元巨人の打てない4番打者の名前で、役に立たないのに大事にされているという意味で使われています。使い道がないが残ったままになっているドア等をトマソンという呼び方がされています。
上の写真の使う用途がなくなったドアみたいなものをトマソンと呼んでいます。
最後に熱田神宮宝物館で展示されている平家納経について紹介がありました。
読書会の最後に記念写真を撮りました。
レクチャーのあとは懇親会です。今回の会場は串あげがおいしい「花あかり」でした。
今回の懇親会では最初は読書会でのテーブルで着席し、その後座席移動を行いました。
参加者の中には今回の読書会が初対面という方も多くいらっしゃいます。共通の本を読んでいるので、打ちとけやすい懇親会です。
懇親会では課題本のことや佐藤さんへ質問をしたりと楽しく過ごしました。
佐藤さんの今年の注目の展覧会は京都国立博物館で行われる開館120周年の国宝展とのことでした。
また佐藤さんは国宝関連で本を執筆予定とのことです。
次の第3回の講座は2017年4月9日(日)の開催、課題本は未定です。
第3回目からの参加でもわかる内容になっています。ぜひご参加ください。
名古屋藝術部は絵画、音楽が好きな方、藝術には縁がなくてという方も奮っての参加をお待ちしております。
同じ興味をもつ人と知り合うことができたり、新しく興味をもつことが増えたり、今まで知っていたこと への理解が、より深まる機会があると思います。
2017年も猫町倶楽部、名古屋藝術部をよろしくお願いいたします。
文:めの、写真:あにき