猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年6月18日(日) 読書会&レクチャー13:30~16:50 懇親会17:15~
- 名古屋藝術部 能楽レクチャー付読書会 ゲスト:吉田篤史
能楽が気になっている人の心の謡が聞こえてきます…。
♪能楽や~
古典芸能 馴染みなく~
言葉遣いも 古臭く~
見どころ分からぬ 舞い謡い~
いざ鑑賞も 眠くなり~
これはイカンと 勉強を~
しようとすれど 五里霧中~
そんなあなたに猫町倶楽部!
今回の会場はこちら。名古屋城の東側にあるウィルあいち。
部屋に入って障子を開けると…、
ご覧ください。和室です!
読書会前から気分が盛り上がりますね。
この和室が参加者でびっしりに!
今回の参加者は42人。満員で締切となる大盛況でした。
さあ、司会の開会あいさつから今日のイベントの始まりです。
ゲストには、観世流能楽師シテ方の吉田篤史さんをお招きしました。後ほどレクチャーでお話と実演をしていただきます。
初めは読書会。課題本は白洲正子さんの『お能・老木の花』です。
各グループでは、
「入門書だと思って読み始めたら内容が深かった」
「白洲さんの能楽が好きな気持ちが伝わってきた」
「梅若実さんの話が面白い」
などの能楽に関することだけに留まらず、
「黙って千番は美術や音楽でも共通だと思う」
「無心で型通りにという姿勢は居合に通じるものがあると思う」
「大衆にウケる→現代のAKBとの共通点は」
のような他の分野の話を絡めるグループも。
本の中で、バレエ、香道、美術など多くの分野に触れていることに触発されて、グループごとに様々な話の広がりが生まれたようです。
畳に座布団というスタイルということもあって、テーブルを挟んでいる普段の読書会よりも、近い距離で話せました。
また、名古屋猫町倶楽部では、2016年に能楽に関するイベントを多く取り上げており、これらの感想も絡めて話す方もいらっしゃいました。
どんな会だったかは、以下のURLから各開催レポートをご覧ください。
・5/20 名古屋アウトプット勉強会、世阿弥『風姿花伝』
・8/13 名古屋月曜会 浴衣読書会、白洲正子『能の物語』
・9/4 名古屋藝術部 能楽鑑賞会@名古屋能楽堂
休憩を挟んで、吉田さんのレクチャーへ。
年間で能のレクチャーを100回も開催されているとのことで、非常に分かりやすい!
初めに「能楽は、海外の劇を観たり音楽を聴いたりする時のように、肌で感じることが大切です」などのお話をしていただきました。
続いて、舞の実演。
まずは面の説明。これは大癋見(おおべしみ)という面。
眼の周りだけ木ではなく金でできており、これが超人的な力を持つことを表しているとのこと。
今回舞う演目では天狗を表すそうで、演目名はズバリ「鞍馬天狗」
翼を広げています。
これは「仕舞」というダイジェスト版で、クライマックスなどの見せ場を、謡を交えて舞うものだそうです。
本来は2人以上で行う場面を1人で行っているとのこと。
面が無いと部屋に声が朗々と響いて大迫力でした。
また、けっこう動きが激しく、能楽の舞はずっとゆったりしているというイメージが変わりました。
「鞍馬天狗」以外にも2種類の演目を舞っていただき、舞の多様さも知ることができました。
続いて、参加者の中から立候補を募って装束の着付け体験。
このボリューム!コレが1人分です。
思わず目を瞠ってしまいますね。
どんどん着せていきます。
実際には3~4人掛かりで10分ほどかかるそう。
まだまだ着せます。
鮮やかな装束を下に隠すように衣を重ねて、チラッと見せるのが日本の美学とのこと。
ついに堂々たる姿の天狗が完成!この絢爛さにしばらくカメラのシャッター音が鳴り止みませんでした。
立っているだけでも、装束は重くて暑いし、面は息苦しい、らしいです。
能楽堂は冷房強めにしているのもご理解いただきたい、というのも納得ですね。
続いて、全員参加で謡の体験。百聞は一見にしかず。百見は一行にしかず。
とにかく声を出すこと、と心構えを説かれ、歌詞と音の高さが書かれた紙を見ながら吉田さんに続いて、「♪たーかーさーごーやー」
1つ1つの音を伸ばすので、大声をキープしようとすると息が続きませんでした。
また、音の高さが変わる箇所もあり、これを舞いながら謡うのは相当大変だと実感した体験でした。
最後に、吉田さんから一言。
「能楽は世界無形遺産に選ばれており、世界の国々からは日本は文化が多いと羨ましがられているが、現代の日本では着物を持っていないとか、着られないという人が多く、自国の文化を捨てているようなものだ。何でもいいから日本文化を次世代につなぐようご協力いただきたい」
猫町藝術部の活動で、少しでも貢献できればと思うばかりです。
懇親会の会場はウィルあいちのB1Fのレストラン
立食で思い思いに移動しながら、和気あいあいとした雰囲気に。
吉田さんも加わり、テーブルを移動する暇がないほど終始参加者からの質問攻めに遭っていました。
さて、次回の名古屋藝術部は7/9(日)、美術ライター佐藤晃子さんの日本美術基礎講座です。
課題本は山本陽子著「図像学入門 疑問符で読む日本美術」です。
1年かけて開催してきたこの講座も、第4回にしてついに最終回。
佐藤さんの軽快で楽しいレクチャーを、お聴き逃し無いように!
文:イノッチ、写真:あにき、しょうふう、イノッチ