猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2017年9月10日(日) 16:30~19:00読書会、19:00~21:00懇親会
- 東京月曜会第二会場-「駒井組」第4回 チャンドラー「ロング・グッドバイ」(村上春樹訳)
大人のための猫町「駒井組」。光文社古典新訳文庫 創刊編集長 駒井稔氏選書による読書会。
その第4回定例会が9月10日(日)、早くも秋が感じられる爽やかな銀座(モンスーンカフェG- Zone)で開催されました。
「駒井組」では、落ち着いた雰囲気を楽しみたい・・そんなご要望を受け、今回からしばらくの間、定員50名の小ぶりな会場を使って開催させて頂きます。更に、読書会のみでなく、 懇親会までを一連の流れとして楽しんで頂くことになりました。
駒井さんの編集者としてのプロの経験・視点を伺いながら、 改めて課題本をじっくりと読み、参加者同士の多様な読み方、 人となりを知る豊かな時間・空間となれば幸いです。
16時30分、前半の読書会がスタート。
猫町では「他人の意見を否定しない」が唯一・絶対のルールです。
社会・組織のしがらみの中、とかく意識過剰になりがちなわれわれ大人ですが、 今夜だけは、他者との垣根を乗り越え素直な気持ちで語り合いましょう。
今回の読書会では、チャンドラーの傑作「ロング・グッドバイ(長いお別れ)」を有名な清水俊二訳ではなく村上春樹訳で読むことに。
冒頭、駒井さんから、
・チャンドラー作品との出会いが作家-村上春樹に与えた影響
・海外の編集者とご自身が交流する中で感じた「世界文学」の胎動
・なぜ、アル中文学は米国にしかないのか
など、本日、村上訳によるこのチャンドラー作品を読む意義・ヒントをご紹介頂きました。
各テーブルでは、進行役(ファシリテーター)を選出、 その進行により読書会が進みます。
参加者からは、課題本そのものや、 他のチャンドラー作品の記述に即した丁寧な意見が交わされました 。
映画化された作品や他の訳者、ハードボイルド作家との比較についても情報交換がありました。
「マーロウの発言・行動の中に、社会の現実を直視する姿勢、 厳しい環境の中でも善良な人を救おうとする優しさを感じる」
「自意識を語らない独特の構成にも関わらず、 個々の登場人物の個性を十分に感じられる」
「(時代性からやむを得ないことだが)男性陣の共感が強い反面、 女性キャラクターの書きぶりに優しさを感じられない」
「マーロウよりも、キーパーソン:テリー・ レノックスに強く惹かれる」
「 ベトナム戦争に巻き込まれる前の自信にあふれたアメリカ社会の息づかいを感じる」
「イマとは大きくかけ離れた、いわゆる”マッチョ”な時代を想像するのは楽しい」
「独特の構成、美しい文章に読み惚れていると、 ストーリーの中にミステリーならではの伏線が隠されていて。緊張感をもって読み進めた」
主人公の自意識を徹底的に排除した中で切り取られる世界観、登場人物の行動や発言に関する濃密な記述を通じて全体のストーリーを読み解く、チャンドラー一流の「ハードボイルド小説」の世界をゆっくりと味わえたのではないかと思います。
その中で、アメリカ文化や世界文学とは何かを改めて考える貴重な時間となりました 。
読書会の締めはベストドレッサーの選出です。
「駒井組」では、 大人の街銀座にふさわしいドレスコードを設定しています。今回は個性的な課題本にも因み「 ハードボイルドまたはスマートカジュアル」。
暴力の世界を表現する特殊メイクや、 登場人物を感じられる衣装など、いつにも増して個性的な参加者が見られました。
受賞者のみな様には何と・・・駒井さんからブレヒト、 ハメットの作品がプレゼントされました!! おめでとうございます。
会の後半19時からは、懇親会です。
駒井さんを囲む「話し足りん」テーブルを中心に、アメリカ文学、お酒の思い出・失敗談など、課題本に因んだ話が盛りだくさん。
小ぶりな会場の特徴を活かし参加者の多くがテーブルを回って新しい友人が増えました。
猫町では、イベント告知や課外活動のお誘いなどメンバー同士の交流にmix iコミュニティーが活用されています。 今夜はたくさんのマイミクが誕生したようです。
懇親会のあとも有志が会場内に残って3次会。 終電近くまで話が尽きません。
最後に。
猫町は、参加者の皆さま方がご自身で盛り上げていく読書会です。
今回は、ファシリテーターの選出からはじまり、3次会も含め、皆さま方には大いに盛り上げて頂きました。
サポーター一同、感謝・感激しています。
次回は、11月12日。課題本は、安部公房「砂の女」です。
また一緒に盛り上がりましょう!お待ちしております。
(画像:真珠、やまちゃん レポート:マッチョロウ)