扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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東京アウトプット勉強会[ビジネス]

  • 2012年9月15日(土) 読書会15:00~17:30/講演会18:00~20:00
  • 岡田斗司夫の選ぶSF小説を200人が読む!読書会&講演会!【東京OP&月曜会合同】

東京での9月の猫町倶楽部は、東京アウトプット勉強会と東京文学サロン月曜会の合同企画「岡田斗司夫の選ぶSF小説を200人が読む!読書会&講演会」 でした。

合同開催、しかも岡田斗司夫さんも読書会から参加され、しかも講演もあるということで、この日は猫町倶楽部始まって以来の、200人近くの参加申し込みがありました。 

ということで、開催前からサポーターも 準備に張り切り、この日も開場時間ギリギリまで準備をしていました。

写真は、懇親会で企画したゲーム用の景品作りをしている様子です。

200人近くが参加するということで、読書会も22チームとなり、22人の大所帯のファシリテーターミーティングとなりました。

会場では岡田斗司夫さん率いるFREEex(フリックス)が発行する同人誌「岡田斗司夫のひとり夜話」も販売。

今回の読書会は月曜会との合同開催のため、月曜会の定番企画「ドレスコード」がありました。
「ドレスコード」というのは、参加者全員が当日の洋服や持ち物などに指定された色やアイテムを身につけてくるように指定することで、今回は岡田さんのご指定で「銀色」がテーマでした。銀色の宇宙船・銀色の宇宙服……、20世紀のSFには「銀色」がつきものだったのです。

みなさん頭をひねるドレスコードですが、今回はこんな奇抜な格好をした参加者もいました。

さて、いよいよ読書会のスタートです!
今回は 東京アウトプット勉強会と東京文学サロン月曜会の合同開催ということで、司会も両会から1人ずつ選出して進行しました。 

岡田さんからのご挨拶です。
会場の視線が一気に集まります!

岡田さんは講演会だけでなく、読書会中も各グループを回って一緒に議論に加わってくれます。ただし、限られた時間ですべてのチームを回ることは出来ませんので、まずはファシリテーターによるくじ引きを開催し、岡田さんが回るグループを決めます。
各チーム、くじの結果を見て一喜一憂。 

そしていよいよ読書会が始まりました!
今回は岡田斗司夫さんが事前に選んだ3冊のSF小説、
「月は無慈悲な夜の女王 」
「タイタンの妖女 」
「神の目の小さな塵 」
 の中から1冊を選ぶ形式を取りました。 

読書会中もドレスコードを身につけています。
こちらの女性は、かわいい銀色のリボンをつけていらっしゃいます。

参加者の他にも岡田さんの会社である「FREEex」の社員の方や、雑誌の取材の方もいらっしゃっていて、会場で記録を取ったり参加者にインタビューをしたりという姿も、ちらほら見受けられました。

各チーム、ファシリテーターを中心に議論を重ねます。

岡田さんもチームに加わって下さいました!

課題本によっても、チームによっても、それぞれ違った内容の話が交わされていきます。

チームの数だけ、色々なテーマが生まれて行き、色々な考え方がシェアされて行きます。みんな真剣に、仲間の話を聞いています。

過去最大規模の読書会ということで、今回は人が通るのも大変なくらいぎっしりと椅子が並べられました。圧巻です!

読書会の後は、月曜会恒例 「ベストドレッサー」 の発表です!

今回のドレスコードは 『銀色』 。 隣り合った2チームから1名づつ選出されます!

……なかなか個性的なメンバーですね!

ベストドレッサーみんなで岡田さんと記念撮影!

読書会のあとに行われた、岡田さんによるSF入門講座。

 岡田さんに「SFとは何か?」をテーマに約1時間半語っていただきました。

 まず最初はSFから観る歴史について。

岡田さん曰く「SF小説は未来を予見するために読む、スティーブジョブズやビルゲイツなどの名だたる経営者もSFを読んでいた。」とのこと。

最初はとっつきにくいと思われたSFの話も岡田さんの軽妙な語り口によって

参加者もどんどんと引き込まれていきます。

 

 SFの歴史の次にお話いただいたのは、岡田さんが今回の課題本以外に読んでもらいたいSF小説の推薦図書を紹介していただきました。

推薦図書は1950~70年代に出版されたものが多かったです。

(写真の本は2001年宇宙の旅)

 

参考までに、以下に列挙します。
 

① 『銀河市民』 (ロバート・A・ハインライン)
広大な銀河社会を舞台に、1人の人間の、様々に変わる境遇を描いた未来の市民物語。異常に作りこまれた世界が面白い!

② 『エデン』 (スタニスワフ・レム)
人類の理解を超える異文明!未知なるものとの接触を描く、これもまたSFの醍醐味!

③ 『われはロボット』 (アイザック・アシモフ)
筆者が生み出し、現在にも生き続ける 「ロボット3原則」 を軸に展開するSF推理小説!

④ 『ファウンデーション (銀河帝国の興亡) 』 (アイザック・アシモフ)
心理歴史学(サイコヒストリー)という架空の学問が、銀河を支配する広大な帝国の崩壊を予測してしまう!SF史に名を輝かす長編!

⑤ 『地球幼年期の終わり』 (アーサー・C・クラーク)
地球外知的生命体と人類の接触!圧倒的な科学力と不気味な沈黙…果たして彼らの意図は??

⑥ 『刺青の男』 (レイ・ブラッドベリ)
“男”の刺青たちが語りだす、宇宙世界の神秘と美しさ!先年惜しまれつつも亡くなった著者の傑作短篇集!

【番外】 『ベスト&ブライテスト』 (デイヴィッド・ハルバースタム)
非SFにつき番外。ケネディ政権に集められた「最高のスタッフ」たちは、いかにしてベトナム戦争という泥沼にはまりこんでいったのか?アメリカの悲劇を追う傑作レポート!

⑦ 『月は無慈悲な夜の女王』 (ロバート・A・ハインライン)
今回の課題本。流刑地から地球の植民地として発展した月世界。主人公はある出会いを機に、月世界の独立運動に身を投じる!読書会参加者の感想は末尾に!

⑧ 『2001年 宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク)
映画であまりにも有名になった傑作SF。「小説版を読むと映画版でわからなかったところが楽しめる!」(岡田さん)

⑨ 『神の目の小さな塵』 (ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネル)
今回の課題本。遠い未来、ついに訪れた異文明との接触の瞬間を、複数の人物の視点から描く長編!読書会参加者の感想は末尾に!

⑩ 『宇宙のランデブー』 (アーサー・C・クラーク)
ある日、太陽系に飛来した直径7kmの巨大な円筒!これは一体何なのか?? 「女性が1人も出てこないむさ苦しい話……なのになんでこんなに面白いのか!」 (岡田さん)

⑪ 『宇宙への旅立ち』 (ジェームズ・A・ミッチェナー)
フォン・ブラウン博士の亡命から始まる、人類の宇宙への挑戦!アポロ計画からスペースシャトルの時代を描くノンフィクションノベル! 

⑫ 『リプレイ』 (ケン・グリムウッド)
 18歳から43歳の間で繰り返される人生?巨大な可能性と意外な展開!

⑬ 『マジック・キングダムで落ちぶれて』 (コリィ・ドクトロウ)
近未来、ついに不老不死を達成した人類!1世紀以上生きて、ついに夢の国の夢の職業についた主人公を待ち受ける不思議な事件!

以上13冊で、残念ながら時間切れ!

講演会後の質疑応答では、「日本のSFオススメは?」という質問に対し、
『石の血脈』(半村良)、『百億の夜と千億の昼』(三瀬龍、荻野望都)『マルドゥック・スクランブル』(冲方丁)を挙げて下さいました!

また、「マンガでは?」との質問には、 『デビルマン(漫画版)』(永井豪)、「初期の松本零士作品」を挙げ、漫画版『バビル2世』の魅力について語ってくださいました!

映画からは面白いところで1作品、 洋画 『地球爆破作戦』 の名が。(英題 『Colossus』) 岡田さん曰く 「邦題で損している」 とのこと。

最後に岡田さんを中心にして記念撮影。

 岡田さん、どうもありがとうございました!!

  

 2次会の様子です!今回は147人の参加!!HUBの店内はご覧のとおりです!

当然、立食パーティー状態!ドリンクにはビールを求める列が!

2次会からは、AV監督の二村ヒトシさんと歌人の枡野浩一さんが来てくださいました!ありがとうございます!

大盛況でした!

次回からは再び月曜会&アウトプット勉強会に分かれて活動いたします!

それでは、10月19日の東京アウトプット勉強会 『ワーク・シフト』 (リンダ・グラットン) および10月20日の東京月曜会 『小僧の神様・城の崎にて』 (志賀直哉) でお会いしましょう!!

 

 

追記 : 各グループで交わされた、今回の課題本の感想をまとめました。参考にどうぞ!

 

【各グループの感想 … 『タイタンの妖女』 (カート・ヴォネガット・ジュニア)】

①全体にまとまりがなく、話がわかりにくかった……という意見が多かった。

 男性は「面白かった」、女性は「面白くない」という班も??

 話全体ではなく、1章、1エピソードについて話す人が多かった様子。

 『水星での「ハーモニウム」のエピソードが印象的だった。
  ボアズとハーモニウムの関係は相手の存在を認め合う愛の形なのでは?
  ハーモニウムの「2種類だけのテレパシー」、「水星の歌を食べること」、「幻想的な色合い」
  に作品隋一の美しい響きを感じた。読んでいて癒された。』

 『この小説は各章ごとに全く異なる種類の話が書かれており、
 「読者の腑に落ちる(ツボにはまる)」箇所というのがどこかに出てくる』(岡田斗司夫さん)

②キーセンテンスは「利用」
 
 『ベアトリスは利用され尽くした人生を振り返り、
  例え利用されていたとしても、自分の意思で行動できる、
  また人を活かすことができるということを「利用してくれてありがとう」という一文に込めている。』
 
 『一方でラムファードは他人を利用しているつもりだったが、
  実は自分も別の存在に利用されていたことを知り、失意を見せる。』
 
 『「幸せは主観であり、心で感じるもの」という意志が行間に見える。
  地球の人々は幸せだったろうか?ボアズは?アンクたちは?
  たったそれだけのことのために、実は緻密に物語が積み上がっている様に見える。』

③その他、『映像にして見たい』『原文のほうがいいのでは?』『作者の捕虜体験が下敷き?』などなど、様々な意見が。

 

【各グループの感想 … 『月は無慈悲な夜の女王』 (ロバート・A・ハインライン)】

 読みやすいという人と、そうでない人とに分かれました。

読みいくいという人は翻訳の質を気にされていて、読みやすいという人は「タイタンの妖女」などに比べて起承転結がはっきりしており、原因と結果がわかりやすいとのことです。
一番盛り上がったのは「マイクはなぜしゃべらなくなったのか」で、

・単純に壊れてしまった
・月は勝って、もう自分は不要と思ったのであえてしゃべらなくなった

という意見が出ました。ハーンラインの真意が気になります。
また、この小説には複数の月星人と万能な機械「マイク」が登場しますが、最も人間らしいのが実はマイクだったのではないか、という意見もありました。
この手の人間と機械の物語の場合、最後は機械が反乱を起こしたり、人を裏切ったりするストーリーが多いような気がしますが、最後までマイクは人間の良い友であり、とにかくチーム内ではマイクが人気でした。

 

【各グループの感想 … 『神の目の小さな塵』 (ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネル) 】

 

・登場人物について
サリーにイラッとした。サリーだけではなく、親モート派にはイライラさせられた。
イライラはしたけど、それぞれの立場について理解はできた。
また、悪人が出てこない点が面白い。
商人のベリーが悪役になるのかと思ったら、意外に良いやつだった。自分が襲われてからのベリーは好感が持てた。

・表紙の絵は何
表紙に書かれているの何か?
神の目?モート人の宇宙船?マッカーサー号?

・人類の進化
1000年後の世界が舞台なのに、人間では身体的に進化していない。進化していてもいいのに。
1000年程度じゃ生物学的な進化はしないだろう。
そもそも進化とは環境に適応するために起こる事で、人間は環境に適応するために体を進化させずとも、社会、科学技術の進歩で環境適応をしているのだろう。

・年齢について
主人公は20前半で士官でなおかつ艦長なのはなぜだろう?
コネがあるにしても、士官候補生も10代だし、やけに若い。

 

以上でした!

 

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