扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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  • 名古屋藝術部【豊田市美術館コラボ】図録はこう読め!ジャコメッティ展【レクチャー付】

名古屋藝術部

  • 2017年11月12日(日) レクチャー&読書会14:30~18:00、懇親会18:30~
  • 名古屋藝術部【豊田市美術館コラボ】図録はこう読め!ジャコメッティ展【レクチャー付】

皆さんは、西洋の彫刻というとどのような作品を思い浮かべるでしょうか?

《ミロのヴィーナス》、ミケランジェロの《ダヴィデ像》、それともロダンの《考える人》でしょうか?

これらはどれも、人が写実的に表現された彫刻です。

しかし、ジャコメッティは人を題材としながらも、全く異なる見た目の作品を制作した彫刻家です。

いったいどんな作品なのか? その世界を覗いてみませんか?

 


今回は初めての豊田市美術館と猫町倶楽部のコラボ企画でした。


課題本はジャコメッティ展の図録。重厚感があります。

 

 


会場はもちろん豊田市美術館。

建物の前に広がる池が印象的で、青空と建物がキレイに映っていました。

設計した建築家は谷口吉生氏。葛西臨海水族園や東京国立博物館の法隆寺宝物館、最近の作品では京都国立博物館の平成知新館やGINZA SIXで有名な方です。

 


敷地内にある茶室「童子苑」では色鮮やかな紅葉が見事で秋の訪れを感じました。

 


受付を済ませ、読書会の前にまずは各自でジャコメッティ展の鑑賞タイム。

このポスターの《ヴェネツィアの女》がズラリと並んでいる様は壮観でした。また、当日はこの作品についてのボランティアの方々によるギャラリートークがあり、話を聴いていた参加者の方も多かったようです。

 


撮影可能な作品もあり、こちらは“猫”町倶楽部としては見逃せない《猫》。

ジャコメッティが「見えるものを見えるままに」製作するとこんなにスマートな姿に!

 


《歩く男》。人間よりもやや大きいだけに体型の独特さが際立っていました。

他にも、数cmの極小彫刻、アフリカやオセアニア的な作品、多くのデッサンも展示されており、ジャコメッティの幅広さを初めて知ったという感想を抱いた方が多かったようです。

 


展覧会観賞の後はいよいよ読書会&レクチャー。会場はこちらの髙橋節郎館。

 


外観とは裏腹にレクチャールームは木の温かみがある部屋でした。

 


各テーブルではサポーターの力作のテーブル札がお出迎え。

この《犬》は今回の課題本であるジャコメッティ展図録でも表紙になっています。

 


「ジャコメッティで何としてもイベントをやりたかった!」と意気込みを語る主宰のタツヤさん。

読書会は46名の方々にご参加いただきました。そして初参加者が12名も!

20世紀モダニズム彫刻というテーマでどのぐらいの人が集まるか未知数でしたが、予想を上回る盛況でした!

 


第1部はレクチャー。

ジャコメッティ展の担当学芸員である千葉真智子さんによる「図録はこう読め!ジャコメッティ展」。

千葉さんは図録内の解説文も執筆されています。

 


過去のジャコメッティの展覧会や、千葉さんが過去に関わった展覧会の図録を持ってきていただきました。

分冊にしたり、ジャコメッティの細長い像をイメージして縦長型にしたりと様々な工夫が。

 


話題は、解説の文章、章立てと作品解説、はたまた表紙の手触りなどなど多岐にわたりました。

デッサンだけしか展示できなかったけど、図録にどうしても写真を載せたかった作品がある、というお話も。

 


千葉さんが付箋だらけになっている図録をめくりながら、あちこちのページにどんどん話題が移りました。

参加者の皆さんも、レクチャーに聴き入って、あっという間の1時間でした。

 

 

休憩を挟んで、第2部は図録読書会。

テーブル毎に様々な話題で盛り上がりました。その一部を聞いてみましょう。

 


実物は立体なので展示では図録と違った視点から観られて面白かった。《犬》の真後ろからの姿が意外だった。

 


展示では別々のデッサンとされていたけど、図録で並べて観ると見開きの両ページに描かれていたと分かる作品があった。図録ならではの発見。

 


最初の解説文がとにかく読みづらくて挫折しそうになった…。

 


ジャコメッティは職人気質で頑固な人だった気がする。友達になれなさそう。

 


図録を読んでいなかったら、展示を観ても全然分からないまま終わっていたと思う。でも難しい。

 


デッサンでまなざしに対する情熱を感じた。

 

実は、藝術部の読書会で、既に全員が展覧会を観ているのはかなり珍しかったりします。(読書会&レクチャーの後に観に行く方も多い)

さらに、今回は図録で背景についてもガッツリ読み込んでいるので、普段の藝術部よりも深く話せたと感じました。

 

最後に、千葉さんのお言葉から。

「展覧会は一過性だが、図録は永遠に残る」

「図録でしかできないことはあるし、実際の展示でしかできないこともある。それぞれを感じてほしい」

 

図録を読み込んでから展覧会を観るという滅多にない体験をしたからこそ、新たに気付いたことも多かったのではないでしょうか。

 


会場を出たら外はもう真っ暗。普段あまり見られない夜の美術館の光景もまたキレイでした。

 


懇親会は豊田市駅前のプロントへ。

 


長丁場だっただけに様々な話題が生まれ、各テーブルで話に花が咲いていました。

 


 


 


 


 

 


さて、今後の名古屋藝術部の予定ですが、まず12/9(土)に全分科会合同で「クリスマス読書会&パーティー2017」が開催されます。

藝術部の課題本は左から3番目の本、クリスマスにちなんで中野京子さんの『名画と読むイエス・キリストの物語』です。東京で展覧会が開催されている『怖い絵』が有名ですね。

既に募集が始まっているので、詳細はこちらを。[http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/50441]

 

また、来年の1/14(日)には「佐藤晃子の日本美術基礎講座第Ⅱ期―第二回」が予定されています。

課題本やテーマはまだ決まっていなので、詳細が決まり次第、猫町HPもしくはmixiで告知させていただきます。

 

文:イノッチ

写真:まりそる、イノッチ

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