扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年02月17日(土)~2月18日(日) 午前8時30分 池袋駅集合 2/18夕方解散
  • 東京文学サロン月曜会 一泊読書会旅行 夏目漱石「草枕」【伊香保温泉】

2018/2/18(土) 8:30 池袋駅近くの某所

今日は猫町倶楽部 東京文学サロン月曜会の旅行読書会の日。
旅行の目的地は群馬県、伊香保です。
2月の早朝ということもあってそれなりに寒いですが、天気は晴れでまずまずの旅行日より。
今回の参加者には、旅行読書会の参加は初めてという方から、初回から全て参加しているという常連さんまで幅広くいらっしゃいます。
かくゆう私(月曜会サポーター)も旅行読書会は初参加。はてさて一体どんな旅行になるのでしょうか?
まずは参加者が全員そろうのを待ちましょう。
出発は9時予定で、今は8時半、徐々に参加者が集まってきました。
そして参加者全員が集まったのは8:45分。
は、早い…!!
私たちは予定より15分早く最初の目的地である「水沢うどん」を目指して出発。
まさに順調な旅を予感させるに十分な幸先の良いスタートでした。

車内ではまず自己紹介のため、ひとりひとりにマイクを回し、名前と今年始めたこと or 今年始めようとしていることについて、聞いていきます。
ゴルフの上達や、読書会の参加率UP、フィンランド語の習得、サカナクションのライブ最高だったからまた行きたい!…などなど多種多様な自己紹介で盛り上がる車内。
順調…圧倒的順調…。
私たちの旅行に何の障害も無いことはもはや明白でした。
…が…駄目!!
高速道路で頻繁に踏みしだかれるブレーキ…! 理外の交通渋滞…!!
車内も、ざわ…ざわ…と不穏な空気が流れ……
ない!?
さすがは文学を愛する者たち。どんな時でも人生を楽しむ術に長けているのか、さほど気にすることもなく、皆、隣の人たちと談笑していていました。
かくゆう私も前の席の人たちを巻き込んで、”某有名 格闘マンガはどこで方向性を間違えたか?”について熱く語っておりました。
途中SAに寄りながら、一時間遅れでひとつ目の目的地、「水澤亭」に到着。
ここで昼食として水沢うどんをいただきます。
マンガのはなしをしすぎておなか空いた…早く食べたい。

水沢うどんは群馬県渋川市の名物料理で、ツルっとした食感とコシが特徴。
その美味しさから秋田県の稲庭うどん、香川県の讃岐うどんと並んで日本三大うどんの一つと称されるほどとのこと。

食べてみると、たしかにコシと食感がいい!!
ごまとニンニク唐辛子を入れたおつゆをつけて食べるコシのあるうどんは最高でした。


おなかを満たした私たちはバスに乗り込み、次の目的地、「おもちゃと人形 自動車博物館」に向かいます。

到着した私たちをまずはスパイダーマンがお出迎え。
ここ「おもちゃと人形 自動車博物館」は、私設ミュージアムとして年間入館者数国内No.1にもなった日本最大級のアミューズメントスポットとのこと。
はてさてどんな博物館なのか、さっそく入ってみましょう!

館内に入った私たちが最初に目にしたのは、大量のテディベアでした。
カワユス…。
どんどん歩いていくと、今度は、飲み屋街が……ん??なぜ突然飲み屋街が…?
…という疑問を抱きながらも、ノスタルジックな感じがたまりません。
不思議な気持ちで歩いていると、今度は駄菓子屋に。

おお、懐かしい!!
駄菓子屋を抜けると、昔の看板やポスターが…。
おいおい、どこまで我々をノスタルジックな気持ちにさせるんだ!
そこを抜けた次のフロアには昔の自動車がズラッと並べてありました。
カッコいい…
今度は東西の人形が所狭しと…

…そう言えば、ここは「おもちゃと人形 自動車の博物館」でしたね。
ついついそう思ってしまうくらいカオスでノスタルジックな博物館でした。
カオスな空間を満喫し、次の目的地「石段街・竹久夢二記念館」へ向かうためバスに乗り込みます。

石段街と竹下夢二記念館は、選択制であるため、それぞれ2つのグループに分かれます。

竹下夢二記念館は、「大正ロマン」を代表する画家である竹下夢二の記念館です。
先程の「おもちゃと人形 自動車の博物館」は昭和の世界に迷い込んだ感じでしたが、今度は大正時代へとタイムスリップ!

館内では、夢二の美人画や詩、俳句、夢二が表紙を描いた「婦人グラフ」という大正時代に刊行されていた雑誌等が閲覧でき、大正時代の人たちの感性の一端に触れることができます。
また、100年以上前に作られたオルゴールの演奏や、館内に飾られている古き良き時代の調度品を堪能できました。
最後にお土産も購入し、大正時代を存分に満喫しました。

ところ変わって、こちらは石段街組。
石段街は伊香保温泉にある、長さ約300m、365段の石段の両側に温泉旅館、土産物屋、射的場、飲食店などが軒を連ねる日本有数の観光名所。
その歴史は古く、温泉街が形成されたのはおよそ400年前の戦国時代といわれています。
ではでは、歴史ある温泉街を散策です。

石段街にある店で団子買って食べたり、手裏剣なげたり。


最後に神社でお祈り。
さて今回の猫町倶楽部の旅行の運勢は……

小吉!!!

…みなさん石段街を満喫したところで、夢二組とも合流し、宿に向かいました。

さて、宿に着いてすぐ、旅行のメインイベントの1つである読書会へ。
読書会は旅館のコンベンションホールを借り切って行われました。
Enjoy Extraordinary(非日常を楽しもう)
旅行も非日常ですが、旅行中にみんなで一冊の本について語り合うのはさらに輪を掛けて非日常ですね。
今回の課題本は夏目漱石の「草枕」
「草枕」は、主人公である青年画家が山中の温泉宿に宿泊し、やがて宿の女性、那美と出会う物語。以下の冒頭部分が有名で、夏目漱石の初期の名作と評価されています。
「智が働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」
猫町倶楽部の読書会では1つだけルールがあり、それは他の人の意見を否定しないこと。それ以外は何を話してもOK。
では読書会スタートです!
「話の筋がわかりにくくて読むのに苦労した」
「自分も前半は退屈だったけど、ラストは凄く良かった」
「とにかく那美さんはすごくいい女」
という軽い感想から始まり…

「この小説の中で、非人情や憐れという言葉はどういう意味で使われている?」
「ラストをどう考えるか?」
「西洋と東洋の芸術について造詣が深い漱石が考える美とは?」
という作品に関する深い考察まで、班ごとにいろいろな観点から語っていきます。

読書は通常一人で行うものなので、本を読んだ直後は自分の感想しかありません。読書会では、1つの作品に対し、多様な感じ方、読み方があることを直に感じることができ、一人で読んだ時とは、また別の感想を本に抱くことができます。
今回の旅行読書会でもそれは同じ。しかも今回は自分たちも、小説の主人公と同じく温泉旅行中。温泉旅行で旅小説を語り合う。なかなかできない体験です。

読書会の後は、宴会!!!


「まぁ、まぁ、一杯」
「あ、どうも、どうも」

ウェーイ!

宴会の催し物は「人名ビンゴ!」

各人が渡されたビンゴの空欄に、今回の旅行参加者の名前を適当に書きます。
その後、司会者が袋の中から参加者の名前が書かれた紙を引き、紙に書かれた名前がビンゴの代わりになるというルールです。
さらに、名前を引かれた参加者に1つ質問をします。
「今まで読んだ本で、好きな登場人物は?」
「三国志の孫策!!」
しぶい!
「他人の萌える仕草は?」
「自分を見下す視線!!」
ざわ…ざわ…
…などなど、皆さん読書家集団らしい(?) 個性的な回答が多数飛び出しました。
人名のビンゴがそろった方には、豪華景品を贈呈!
ビンゴの方、おめでとうございます!!

宴会が終わった後は、完全フリーな夜が始まります。
部屋でゆっくり休む、温泉に行く、企画部屋でゲームや酒盛りの三次会で盛り上がるなど、各人がそれぞれ自由に伊香保の夜を楽しみます。
ここでは企画部屋の三次会の様子を覗いてみましょう。
こちらでは何やらカードゲームをやっています。

こっちはミニスーパーファミコンの元祖マリオカートで対戦プレイ。
「スーファミは青春だよねー」
「うん、うん」
「え、オレ、最初に買ってもらったのニンテンドウ64ですよ」
「悪いが、帰ってくれ!」
オセロとジェンガに興じる者たちも。

先にお風呂行ってた人たちも、ぞくぞくと三次会に参加。
宴会での人名ビンゴの質問を引っ張り出してきて、再度遊ぶ者たち。

他にも、テキーラのコーラ割り片手にポテトチップスをむさぼり食いながら、哲学を熱く語り合ったり、文学論を展開したり、ミスチルの歌詞について語りあったりと…みんなそれぞれ旅行の夜を楽しんでいる模様。
私は途中で寝てしまいましたが、カオスな三次会は深夜遅くまで続いたとか続いてないとか…

…気がつくと朝。
朝は、みんなで朝食。
出発までの時間、朝風呂に行ったり、ロビーでくつろいだりと、2日目の朝もそれぞれ自由に過ごします。

9:20に宿を出発。
二日目は大人の社会見学ということで、まずは世界文化遺産の「富岡製糸場」を目指します。
富岡製糸場は、明治5年に明治政府が日本の近代化のために設立した模範器械製糸場。
前日は、昭和と大正へタイムスリップしましたが、今日は明治へ。
教科書でしか見たことがなかった歴史的建造物の中へいざ入場です!


施設内はガイドさんの解説を聞きながら見学していきます。

こちらは製紙工場の内部。
うーん、みごとなトラス構造。


日本の近代化の始まりを直に感じることができた貴重な時間でした。

世界遺産を見てまわった後は、富岡製糸場から徒歩三分の食事処「かわら屋」へ

黄金鮎に天ぷら、富岡市郷土料理のこしね汁など、贅沢な昼食を堪能。



昼食を済ませると、バスに乗り込み最後の目的地へ…

旅行最後の目的地は「こんにゃくパーク」。
ここでは無料で工場見学&こんにゃくバイキングが楽しめるようです。
今回の旅行では昭和、大正、明治と過去へのタイムスリップを多くしてきましたが、最後は、現代の施設へGo!

まずは、こんにゃくバイキングへ。
え、さっき昼食食べたばっかりって?
大丈夫です!こんにゃくは別腹です!!

…そんなことなかった。
昼食食べたばっかりでのバイキングはそこまでテンション上がらないのか、みんな、取る量は控えめ…。

しかし…
あれ?これ美味しくない!?
急遽、おかわりに行く人が多数でたメニューがあった!
それがこれ、こんにゃくデザート!!
デザートは別腹の格言は本当だったようです。
実際これは本当においしかった。
後、フォローじゃないけど(フォローか)他のも良かったです(満腹じゃなければ…)。
ちなみに、このこんにゃくパークの商品は、スーパーやマツキヨ、ドンキとかの食材コーナーに結構置いてます。
ダイエット食品として優秀なこんにゃく。店頭で見かけたら買ってみてはどうでしょう。
私は後日、マツキヨでこんにゃくデザート買いました…。
バイキングの後は、工場見学。
実際に稼働している機械と、働いている人たちを見学することができました。
うーん、これはサボれない職場だ…。

工場見学の後は、おみやげ買ったり、2月の寒空の下、ソフトクリーム買ったりして、みんなのんびり過ごしました。

そうこうしていると、もう帰る時間に…。
皆でバスに乗って、池袋駅へ。
非日常の旅ももうすぐ終わり…
さみしい…

でも!
この旅行で新しく知り合ったり、前からの仲間とより仲良くなったりという、非日常の旅で得られた関係性や思い出はこれからも残ります。
帰り際に、今度あの定例会参加するからまたよろしく!と言い合って分かれたのが嬉しかった。
天候にも恵まれ、さまざまな時代の施設も満喫でき、そして、多くの素敵な参加者と語り合うことのできた充実の一泊旅行となりました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
次の定例会は3月25日、課題本は「フォークナー短編集」です。

See you next Nekomachi…

記:Hase 写真:山ちゃん、さと

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