扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋藝術部

  • 2018年3月25日(日) 
  • 「ロシア音楽はこれを聴け」課題本「チャイコフスキーがなぜか好き」

2018年3月25日(日)猫町倶楽部 名古屋藝術部では、ゲストにロシア文学者で名古屋外国語大学学長である亀山郁夫先生をお招きして読書会&トークイベント
「ロシア音楽はこれを聴け」を開催しました。


課題本は亀山郁夫著「チャイコフスキーがなぜか好き 熱狂とノスタルジーのロシア音楽」
藤が丘のJAZZ茶房青猫での開催です。
たくさんの方に参加いただき、和気あいあいと楽しい読書会となりました。
読書会には39人の方が参加、初参加の方も6人いらっしゃいました。
参加下さった皆様、本当にありがとうございました。

猫町倶楽部では、これまでにも亀山先生をお招きして、ドストエフスキー
「地下室の記録」「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」などのロシア文学を
課題本とした読書会を開催してきました。
今回はロシア文学に代わりロシア音楽について読み語り、お話を伺いました。
「19世紀後半から20世紀にかけて、クラシック音楽の世界で絶対的な地位を
占めているロシアの作曲家たち。なぜかくも私たちの心を揺さぶるのか?
近年のドストエフスキー・ブームの火つけ役の著者が、
死ぬまで聴いていたい“聖なるロシアの旋律”」に迫る課題本です。

読書会に先立って、課題本で触れられた作品について亀山先生選曲プレイリスト
が公開され、前もって視聴体験をして参加できました。

https://open.spotify.com/user/ndtbpojvjwkyraef3aztqpeo4/playlist/1tmRisFGTQWtpXMTX5vPcr?si=xYyvw7YeTUKHCM2ZmWnsfw



6~7人ずつのテーブルに分かれて読書会が始まります。
テーブルごとに進行役のファシリテータが読書会を進めます。
猫町倶楽部の読書会のルールはたった一つ、「人の意見を否定しないこと」だけです。

ロシア音楽が好きな方、チャイコフスキーが好きな方から、クラシック音楽はよくわからない、
ロシア音楽はあまり聴いたことがないという方まで、さまざまな人が一緒に感想を
語り合えるのが読書会の良い所です。



・現代音楽って良さがわからないのだけれど、どうしたら楽しめるの?
・音楽や美術は、わからないといけないのだろうか?好きなだけではいけないのか?



・どうしてロシア音楽に惹かれるのかがわかった
・作曲者や作品の背景がわかることで、より作品が理解できる



・反対に背景等を知ることで純粋に作品を受け止められずバイアスがかかるのでは?知りすぎずにフラットに聴きたい
・音楽は別の要素、聴いた時の体験や記憶に非常に強く結びつく
など様々な意見が出ました。



読書会では亀山先生が全テーブルを回り参加者の質問に答えて下さいました。本を読んで浮かんだ疑問を直接著者の方に聞けるというのもありがたい体験です。



例えば「実際にロシアに行ったことが無い人間は、ロシアを実体験している先生と同じ深さで聴くことはできないのでは?」という質問には、「音楽との関わりは非常に個人的なもので、自分の経験が媒介になる。それは出会いだったり失恋だったり。聴く作品によっても聴く方が要求されるものは一つ一つ違う」と、じっくり丁寧にお答えくださいました。



読書会の後はトークタイム。亀山先生が持参されたCDも使って、ロシア音楽について語られます。当時の時代背景のもとでの作曲者と作品の位置づけなどが、実際の曲を聴きながら易しく解説され、一層理解が深まります。



音楽との付き合い方にも話が及びます。亀山先生は先日の名フィルの定期演奏会でチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を聴かれ感動されたそう。「これまでに何度も「悲愴」は聴いてきたので、もう十分と思って最近は聴きにいくことはなかったけれど今回の「悲愴」は素晴らしかった、いくつになっても新しい出会いはある」とおっしゃっていました。
そして、どのように聴いたら良いのかという会場からの質問に「音楽は人と同じく多様なもので、人に対して一人一人に対応の仕方が異なるのと同じ姿勢で臨まなくてはいけない。音楽は広く深い。第一印象が悪くても意欲的に勉強することで変わることもある。自分から出会いを求めて音楽を聴いてほしい」とアドバイスくださいました。



課題本、読書会とレクチャーを通じて、クラシック音楽が身近に感じられた方も多かったのではないでしょうか。



その後の懇親会でも、亀山先生への質問や、読書会で別のテーブルだった参加者同士での会話が盛り上がり、どのテーブルも笑顔が溢れていました。同じ課題本を読み、レクチャーを聴いたものどうしということで、初めて会う相手とも「読書会ではどんな話題が出ましたか?」「どんな質問がありましたか」から好きな本、音楽など会話がはずみます。



参加者の皆様、長時間にわたり本当にありがとうございました。

さてこれからも猫町倶楽部では、定例読書会や興味深いイベントが開催されます。開催スケジュールはこのホームページのほか、mixiのコミュニティサイトでもいち早くアナウンスされます。このレポートを読んで興味を持たれた方、ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

文:レパード,写真:未規(まき)

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