猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年4月1日
- 長編読書会プレイベント 「源氏物語の基礎の基礎」
花も盛り、はらりと散り始めたうららかな日。
いつもの『JAZZ茶房 靑猫』の扉を開けると雅楽と琴と笛の音が流れる、
なんとも雅やかな空気が……
・・・と思いきや、
この熱気!参加者はなんと80名!
猫町倶楽部として初めて触れる王朝文学の世界へのワクワクした期待感が溢れています。東海地方だけでなく、東京など遠方からの参戦もありました!
ゲストは愛知淑徳大学 久保朝孝先生。
研究者として学生に講義されたりカルチャーセンターで生涯学習の一環としてお話しされることは多くとも、このように文学として興味を抱いて集まるオーディエンスの前でお話しされる機会は少ないとのことですが、
私たちが源氏物語の世界に入り込んでいきやすい、基礎を盛り込んだ資料をご用意いただきました。
さて、レクチャーの始まりです!
満開の桜並木の中駆けつけた私たちに、まずは問いかけ。
「桜の下で行うことは何か。 …………蹴鞠でしょ!」
茶目っ気たっぷりに、平安時代に引き込んでいただきます。
現代の私たちにはなかなか想像できない、源氏と数多の男女が生きた世界を、
当時の貴族のあり方や背景などから、とても丁寧にユーモアを交えてレクチャーしていだだきました。
源氏物語は全54帖、登場人物約400人(!)和歌数795首という、数字で表すととてつもない膨大なボリュームなのに、全編通して物語の破綻がほぼ無い、日本史上、いえ、世界史上類を見ない完成度の高い文学作品とのこと。
複雑で個性的な登場人物の背景が細やかに描かれていますが、
基本的には一話(帖)完結で読みやすいようです。
系図を書きながら読み進めると、なお楽しそうですね。
(私は、一年かけて系図を書いてみようと思います!)
ポイントとしては、
・『比類なき栄華』と『比類なき憂愁』。なかなか味わえるものではありません。
・「紫」の持つ本当の意味とは?
・王朝文学の語る、男女の『語らい』
お話は、現代語訳についても。
訳者の持ち味、バックボーンによる特色を丁寧に解説いただきました。
(詳細は、HPまたはmixiの第一回読書会の告知案内でご覧ください)
今回の長編読書会では、「源氏物語」の訳本であればどれでも問いません。
久保先生からは、まずは何でもいいから文章で読むべし!とのアドバイス。
大盛況のまま、懇親会へ突入。
上品なおばんざいが味わえる『鉢屋』さんでさらに語り合います。
美味しい食事と雅やかな世界の話題でお酒も進みます。
ほとんどの方が源氏物語は「何となく知っているけど、ちゃんと読んだことない」とのこと。
今回のレクチャーを聞いて読了へのモチベーションが上がったのが、この盛り上がりっぷりからも分かります。
久保先生のお席は、もっとお話しを聞きたいという皆様で満員です。
まさに「光源氏」状態。
男女の恋物語だけかと思いきや、え?まさかのBL展開もアリ!!??なんて話題も。
女性陣多めだからこそ、この機会に男性陣は源氏の君になれる……はず!
世界史上に残る長篇小説に触れることで、男も女も磨かれる、そんな予感がしました。
レクチャー・懇親会を通し、久保先生が伝えてくださった
「私たちが今回この作品に向き合うべき理由」は
まさにこの一言に尽きるでしょう。
「我々人類がこの宇宙に誕生した意味は、『源氏物語』を読むためである」
ぜひ、ここから1年かけて猫町倶楽部の壮大な「源氏物語絵巻」を
皆さんで描いていきましょう。
第一回を楽しみにしています。
5月14日(月)19:15~ 靑猫
課題帖:桐壺、帚木、空蝉、夕顔
お申込はこちらから
http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/54683
文:あきタマ
写真:okko