猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年5月9日(水)
- 月曜会名古屋会場 田中小実昌『ポロポロ』
2018年5月9日、名古屋文学サロン月曜会・名古屋会場の定例会が行われました。ゴールデンウィーク・ロスや五月病に打ち勝った猛者たちが続々と会場・KAKO柳橋店へ。(名古屋駅から徒歩10分、アクセス抜群!)
この日の参加者は32名(うち初参加の方が2名)。課題本は田中小実昌著『ポロポロ』。著者の過酷な戦争体験が、物語化を拒否する視線で描かれた連作短編です。
表紙のまるっこ~いゆる~いフォルムの人物と「えっこれ戦争体験のお話なの…!?」というギャップにびっくりされた方も多いのではないでしょうか。(私はしました)
テーブル札が作中の「ぼく」仕様でとってもかわいい!勿論、胸ポケットには箸代わりの小枝がさしてあります。これは過酷な状況下、配給されるご飯を食べ遅れることのないよう「ぼく」がやりだしたアイディアなのです。
19時になったところで読書会スタート。ここで司会の方から大切なお話が。
猫町倶楽部には唯一のルールがあります。それは「他人の意見を否定しない」ということ。ちなみに課題本の内容自体の否定はOKです。
そんなこんなでディスカッション開始!
「物語の起伏も少ないし、著者のとりとめのない考えが続いていくような文体のために読みづらかった…」
「戦争中に戦場で戦争してない人の話は珍しい。」
「大変な状況だけど、悲壮感を感じさせず、読みやすかった。」
「下痢の話ばかりが続いたのは、それが著者にとっての戦争体験だったからではないか。最前線で戦うのでもなく、戦火から逃れるために走り周るでもなく、下痢と向き合ったのが著者にとっての戦争。」
「そもそも『ポロポロ』って何のことだろう…祈祷会でつぶやかれていた祈りって書いてあるけど…」
「言語として聞き取れない念仏だろうか?」
「戦争をテーマにした文学なのに悲惨さが無い。また、著者の感情の動きもあまりはっきりしたものが書かれていない。これは、戦争を物語として語らないための、著者の作為的な表現なのではないか。」
「言葉って、どうやっても物語化すると思うんだが、どうしてこんなに物語化するのを嫌ったのだろう。」
「戦争が物語化されて美化されていくのがイヤだったのでは?」
読了直後はぼんやりしていた感想が、ディスカッションを通してドンドン膨らんでいく瞬間がとっても楽しいですよね!
戦争の物語ということもあり、参加者の方のご家族の戦争体験を伺いながら読書会ができたのが印象的でした。今回ならではの話題ですね。
さて、今回のドレスコードは「帽子」。作中、“みんなと同じ帽子をみんなと同じようにかぶっているのに、どこか違う者がいる”、というエピソードがありますが、各テーブルで選ばれたベストドレッサーの方々の帽子姿も他とは違う個性派ぞろいでした。
旅先での思い出とともに…
ヘルメットを用いたご家族の戦争体験エピソードを語って頂きました(現物がなかったため折り紙兜で代用とのこと!)
『堕落論』ブローチがイカしてます。
最後は皆さんで記念撮影。素敵なお帽子と、それにまつわるエピソードが聞けて、充実のベストドレッサー発表でした~!
課題本にちなんだ本日の一曲は『You’d Be So Nice to Come Home To』。戦場に送られた青年が、愛する女性を思う気持ちを歌い上げた、ジャズのスタンダードナンバーです。
読書会のあとは場所を移動して懇親会。
懇親会で何をしているのかといいますと…
違うテーブルだった人と読書会の続きをしたり
最近読んだ本・漫画・映画の話をしたり
読書会とは違った話題で盛り上がることができます。
本好き、エンタメ好きが集まっているため新しい刺激と出会えますし、
同じ本を読了してきた仲間なので話題にも事欠きません。
会を通して人の輪が広がっていくのが、猫町倶楽部の良い所。
皆さまのご参加を、サポーター一同お待ちしております!
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文責:おぜみさ
写真:Yu
名古屋月曜会第10期サポーター