猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年6月10日(日) 読書会 16:30~19:00 懇親会 19:30~21:00
- 東京藝術部 五十嵐太郎『現代建築に関する16章』 磯崎新『建築における「日本的なもの」』
時の記念日である6月10日、久々の開催となる東京藝術部の読書会が開かれました。
今回のテーマは六本木の森美術館で開催中である「建築の日本展」に合わせ、建築にまつわる読書会で開催。
決してわかりやすいテーマではないですが、東京藝術部の開催はなんとこちらの企画以来7か月ぶりというのもあり、開催数日前には30名の定員も満席となりました。
今回の課題本は五十嵐太郎『現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉』、もしくは本書に加えて磯崎新『建築における「日本的なもの」』の2冊を読了の選択制。二冊合わせると分量はかなりのものですが、実に参加者の4割以上が2冊読了を選択。ハードルを挙げても参加者がそれに応えてくれるのは、サポーターとして嬉しい限り。
会場は東京文学サロン月曜会第二会場、通称駒井組で利用されているモンスーンカフェ銀座。普段は読書会のために向かう会場も、建築の本を読んでから向かうと景色が違って見えてきます。
司会による読書会の説明の後、今回は主催者のタツヤさんからも一言挨拶を。本業にも関係していることもあり、前々から建築での読書会はぜひやってみたかったとのこと。時に絵画、時に音楽、そして時には建築も。ジャンルを超えた守備範囲の広さも特徴の一つです。
『現代建築に関する16章』では住宅や身体、メディアや斜線といった具合に建築に関連する概念とテーマについて語り下ろされた、ちょっと変わった建築本。時代や場所を横断しながら、場所や空間に対するイメージを広げていく。中でも、エアコンによって外部との断絶が始まり、ショッピングモールのような画一的な景色が生まれたという指摘には目から鱗との声も多かったです。
『建築における「日本的なもの」』も読了してきたテーブルでは、より踏み込んだ内容に。桂離宮、東大寺南大門、そして伊勢神宮について触れた本書で話題になるのは、「日本的なものとはどのように語られてきたのか?」という問い。
もちろん、建築をテーマにしたからといって皆が建築に詳しい訳ではありません。参加者の多くは今回で初めて建築の本に触れています。角度を変えれば建物も違う表情を見せるように、書物も読んだ人の視点によって新しい発見に満ちています。藝術を楽しむのに必要なのは知識よりも、まずは好奇心。知らない世界の扉を開くのは、こんなにも面白い。
読書会を終えてそのまま同じ会場で懇親会へ。話し足りない!とばかりに読書会のでの話題に花が咲くテーブル、最近のお勧め本について話すテーブル、中には大きく盛り上がっているテーブルも。どんな話をしているのでしょうか…?
そんな訳で久々の東京藝術部の読書会も無事終了。次回の開催は7月21日(土)、年に一度の恒例となっているクラシック音楽評論家の鈴木淳史さんのレクチャー付き鑑賞会。
今回は鈴木さん一押しのオペラ、東京二期会『魔弾の射手』を事前レクチャー付きでの鑑賞。残念ながらこちらも既に定員のため参加締め切りとなっています。
また東京藝術部では現在サポーターを募集中。9月中に検討しているこちらの企画の実現に向けて、新規サポーターを応募しています。
参加すればするほど、面白さの引き出しを広げられる藝術部、サポーターとなって一番近くで楽しんでみるのはいかがでしょうか。
文:次郎 写真:次郎、麻子