猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2018年11月4日 15時~22時30分
- 【半年に一度の開催】猫町倶楽部の全てがわかる!ビギナー限定読書会2018秋
紅葉が色づく季節となり、5月に開催されたビギナー限定読書会からはや半年。11月4日(日)SAROS.the Quisson本山店にて「猫町倶楽部ビギナー限定読書会2018 秋」が開催されました。
このビギナー限定イベントは猫町初心者の方(過去参加回数0~2回までの方)を対象に猫町倶楽部の全分科会が一同に集結した読書会です。猫町倶楽部には6つの分科会があります。文学を主なテーマとする名古屋文学サロン月曜会・人文書やビジネス書を主なテーマとするアウトプット勉強会・芸術分野を主なテーマとする藝術部・哲学を主なテーマとするフィロソフィア・官能小説を主なテーマとするUG・映画を課題作品とするシネマテーブル水曜会があり、様々な分野の定例会が開催されています。まずは、3回続けて参加してみてください。きっと参加者の方との交流が深まると思います。なかには、このビギナー限定の読書会がきっかけでサポーター(運営ボランティア)になった方もいらっしゃいます。
今回もサポーターは、自分が最初に猫町倶楽部に参加したときを思い出しながら、準備を進めていきました。
さて、今回の課題作品をご紹介します。
内田百閒『ノラや』、ミヒャエル・エンデ『モモ』、デール・カーネギー『人を動かす』
東浩紀『弱いつながり』、草間弥生『クリストファー男娼窟』、山内マリコ原作『ここは退屈迎えに来て』の6作品でした。
古典あり、話題の映画ありでどれにしようか迷われた方もいらっしゃったかもしれません。
では、会の当日の模様を見ていきましょう。
開催時間になり、サポーターのあじさいさんとおぜみささんの司会でスタート。主催者のタツヤさんの挨拶のあと、読書会が始まりました。
グループ席のファシリテーター(司会進行役)によりまずは自己紹介。皆さん、参加の動機を緊張しながらそれぞれ語ります。
「周りに本を読む人がいなかったので、参加した」「職場以外の人間関係が欲しかった」などなど。お互いの自己紹介に少しほっとしたところで、課題作品の意見交換が交わされました。ここで各グループの意見をご紹介したいと思います。
まず『ノラや』のテーブル席から。(『ノラや』は内田百閒の飼い猫ノラの失踪とその後飼われた猫クルツに関する文章を集めた作品です。作者の内田百閒は夏目漱石門下の小説家です。)
「漱石の『吾輩は猫である』の表紙を真似るシーンが面白い。内田百閒はここからノラに愛着が湧いたのでは?」
「日記や随筆は、作家の小説作品の副読本として読むと、その小説の読み解きのヒントになって面白い。」
「何かに執着する、一つのことが気にかかって手がつかない感覚に共感した。」
『モモ』のテーブル席はいかがだったでしょうか。(『モモ』は「時間」という概念をテーマにした児童文学です。)
「昔に書かれたのに、現代のことを言っているみたい。現代人も、便利なものを生み出して、時間に追い立てられている。そして、自分たちの時間の足りないのを灰色男(作中の登場人物)のせいにしているかのよう。」
「児童文学だけれど、子どもの頃に読んで全然分からなかった。大人になってから読んで、やっと理解できることがたくさんあった。」
などなど、それぞれの作品を読了したあとのお互いの意見に皆さん刺激を受けていたようです。
では、次に『人を動かす』のテーブル席を見てみましょう。(『人を動かす』は、1937年に出版された本で、自己啓発書の元祖といわれています。)
「自分と相手で見えている世界が違う可能性がある、一歩引いた視点が必要。」
「一歩引いて相手のことを考えるためには余裕が必要だが、今の企業社会合理化でどんどん余裕がなくなっており、ますますこういった視点が必要。」
「書いてあることは当たり前のことだが、実践するのは難しいと感じた。」
など、書かれた当時とはすでに80年以上の時間が経っていますが、現代人の私たちにもとても共感できる課題作品だったようです。
お隣の『弱いつながり』はいかがだったでしょう。(『弱いつながり』は2014年初版発行でSNS時代の人生論がテーマとなっています。)
「一度しかない人生を、予め決められたことだけでなく偶然が加わることでオリジナルの人生を作っていく。偶然を増やすことの一つの方法が検索ワードを増やすことであり、そのために意識的に自分を置く環境を変えることは意義がある。」
「本が書かれているときよりも、時代が進み、ネットワークのつがなり方にもまた変化があり、検索ワードが探されやすい仕組みができている気がする。(例えば音楽におけるAppleMusicやSoptify)」
参加者の方の中に、かけあいのタイミングがものすごくこなれている方がいらっしゃり、その流れで他の参加者の方も活発に意見を話される流れになったテーブル席もあったようでした。参加者の方からの積極的な意見のかけあいが出るとそのテーブル席は自然に盛り上がるので、サポーターにとってもいい刺激になったようです。
『クリストファー男娼窟』のテーブル席を見てみましょう。(『クリストファー男娼窟』は草間弥生が書いた本で、「クリストファー男娼窟」、「離人カーテン」、「死臭のアカシア」の3つの章から構成されています。)
「普通の作家ならストーリーとか構成を考えて書くところを、草間さんは出てきたイメージを羅列している感じがした。三島の金閣寺に近い印象がある。」
「簡単な言葉で書かれているのでとても読みやすかった。」
参加者が1名でしたが、その分気さくに意見交換ができたようでした。
そして最後に『ここは退屈迎えにきて』のテーブル席はどのような意見交換がなされたのでしょうか?(『ここは退屈迎えにきて』は山内マリコ原作で20代の姿を「椎名君」という一人の男性を交差させて描いた映画作品です。)
「原作が好きな方はどうしても採点が辛くなりがち。」
「身につまされる、自分の物語。」
『ここは退屈迎えに来て』は原作は連作の短編集で、そのうち「アメリカ人とリセエンヌ」という話は、「文芸あねもね」という短編集にも収録されています。この短編集には吉川トリコさんの「少女病 近親者 ユキ」も収録されています。猫町倶楽部では吉川トリコさんの書いた本を課題本とした読書会も開催しています。(吉川トリ子さんの本を課題本にした開催レポートはこちら 10月5日開催 「マリーアントワネットの日記」)
読書会の終了時間が近づいたころ、「猫町倶楽部に聞いてみよう!」という質問用紙に参加者の方からの質問を書いてもらいました。その後は、各分科会のリーダーが会場の前に。主催者のタツヤさんとともにいろいろな質問に答えていきます。
「課題本はどうやって決めていますか?」
「海外進出の予定はありますか?」
「一番盛り上がった会・盛り上がらなかった会はどんな会でしたか?」
参加者の方からの質問にちょっとどきどきしながら笑顔でタツヤさんと各リーダーが答えていきました。
その後は懇親会へ。主催者のタツヤさんの合図で乾杯!
各分科会を紹介するテーブル席、漫画や旅行がテーマのテーブル席が設けられました。皆さん、お料理を片手に興味のあるテーブル席へ。サポーターや他の参加者との歓談を楽しまれました。
「定例会はいつ開催されていますか?」
「この漫画、懐かしいですね。」
などなど、お互いの共通点が見つかるとさらに会話が弾みます。
その後は、猫町ナイトへ。ここからは猫町倶楽部のベテラン勢も合流します。ちなみに今回のDJのラインナップはこちらです。
ゴーマー・パイル(ヒップホップとジャズ)、リュウセイ(HIP ROCK SOUL MIX)、タツヤ(Soul/Funk)、タツヤ(Cheek Time)、ろく(おせんちリリカルmix)yasswee(ディスコティック)、あじさい(地獄のミスチルMIX)、ワカマツ(真冬の46億年MIX)。
今回も様々な分野の曲が選ばれました。
ここでフロアの様子を紹介させていただきます。
皆さん、笑顔がとても生き生きしています。
下の写真は、DJのリュウセイさんとあじさいさん。自分が選んだ曲で、皆さんが盛り上がっているのはとても気持ちがいいですよね。
そして、猫町ナイトお決まりのチークタイム。皆さんの今回のお相手はどんな感じの方だったでしょうか。
皆さん呼吸がぴったりです。
今回も猫町ナイトは100名以上集まり、大いに盛り上がりました。
おおよそ6時間以上にも及ぶビギナー限定読書会。読書会あり、懇親会あり、ダンスパーティあり、時間が経つのもあっという間だったと思います。猫町倶楽部で今まで以上に人生を充実させてみませんか?また、お会いできるのを楽しみにしております!
文:HIROKO/アウトプット勉強会
写真:HIROKO/アウトプット勉強会、わとう/アウトプット勉強会