猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2019年2月3日(日)
- 第13回フィロソフィア東京 スピノザ『エチカ』
2月3日(日)第13回フィロソフィア東京 スピノザ『エチカ』(上下巻)が開催されました。『エチカ』の読書会は二回目。
一回目は本年1月6日(日)に下巻(第四部及び第五部)で行われました。
「なぜ下巻から?」と思われた方もいるかもしれません。 これは1月に引き続きゲストとしてお迎えした、國分功一郎先生が提唱されている読み方なのです。 猫町倶楽部では國分先生ご自身の著書『中動態の世界 : 意志と責任の考古学』でも読書会を開催し、その際もゲストとしてお越しいただきました。 またフィロソフィア東京の”名付け親”でもあり、フィロソフィア東京発足当時から何かとご縁がある方です。
会場である渋谷、THE GUINGUETTE by MOJAには、この日約90人の参加者が集まりました。 昨年2018年12月にNHK『100分de名著』で『エチカ』が取り上げられ、國分先生が講師として出演されていました。それがきっかけとなり『エチカ』を読まれた方もいましたが、とはいえ17世紀オランダの哲学者の本を、21世紀の日本でこれだけの人が読んでいるというのは、それだけでも何だかすごくないですか。
会場が参加者でほぼ埋まったところで、ちょうどオープニングの時間です。 猫町倶楽部主宰の多津也さんからの挨拶があり、通常であればここで読書会の始まりなのですが、今回は國分先生の講義からスタートです。
事前に参加者全員に「スピノザにおける意識の問題」と題された、今回の講義用に國分先生が特別に作られたレジュメが配られ、それを元に講義が進んでいきます。皆さん、食い入るように聴講していました。 1時間ほどの講義のあと、最後に質疑応答の時間が設けられました。最初に質問された方は··· AV監督の二村ヒトシさん。
(講義内容は、当日来られた方だけのヒミツです♥)
さあ、いよいよ読書会のスタートです。
「哲学書だけど、結構常識的なことが書いてあって、哲学書じゃないみたい。」「各自が自らの徳を追求すると、社会が成り立たないのでは?」「スピノザの汎神論における神とキリスト教の人格神の違いは分かるが、具体的にピンとこない…」「仏教とか密教とか、東洋思想的なモノを感じる。」「理性って言葉が何回も出てくるけど、そもそも理性って何なんだろう…?」「←能動的ということでは…?」などなど、課題本発表から当日まで約2ヶ月の間、みなさんこの難解な哲学書を読まれてきて、思ったこと·感じたことなどがどんどん出てきます。
それらを、読書会中に各班を回ってくださった國分先生に、直接ぶつけてみました。 参加者の疑問·質問に丁寧に答えてくださる國分先生。
(しかし、イケメンです…)
さて、あっという間に読書会の時間が終わり、当初の予定では國分先生による総括の時間だったのですが、会場に来られて読書会にも参加された文筆家の吉川浩満さん(近著『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』は猫町倶楽部·アウトプット勉強会で課題本にさせていただきました)と國分先生との対談に急遽なりました。
···ここまでで、当日のプログラムはやっと中盤です。 このあとは、1月に続き今回も猫町ナイト!
國分先生はじめ、文化人の方々のDJで盛りあがります。
(以下、出演順)
鈴木淳史さん
二村ヒトシさん
吉川浩満さん
國分功一郎先生
柳樂光隆さん
なぞの新人 DJ MUSUKO
紫原明子さん
最後は再び國分先生のDJです。 “Don’t Stop Me Now”で大団円を迎えました。
(Tシャツはスピノザです)
7時間以上に渡る濃密で贅沢で楽しい時間を参加者の方々と、そして國分先生はじめお越しいただいた文化人の方々と共に過ごすことができました。
猫町倶楽部分科会フィロソフィア東京では、哲学や思想関連の本を毎回課題本にしています。
「哲学書は難しそう…」と参加に二の足を踏まれている方も、いらっしゃるかもしれません。大丈夫です。
参加されているほとんどの方が「最近になって興味を持ち始めた。」「何冊かは読んだことあるけれど、専門的に勉強したわけではない。」という方たちです。
猫町倶楽部のご参加にあたっては、大事なお約束はひとつだけ、「読了」です。
内容が難しくて分からなかったとしても、その分からない思いを持ちよって読書会でお話しませんか。 きっと日常では体験できない世界が広がると思いますよ。
次回の開催日は4月7日(日)、会場は深川東京モダン館。
課題本はヴィクトール・E・フランクル 『夜と霧』です。
猫町倶楽部で何回か課題本に取り上げている名著ですので是非ご参加ください。
みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
写真/文 こうとく