猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。
- 2019年10月27日(日) 読書会:16時30分~19時 懇親会:19時~21時
- 第118回 東京文学サロン月曜会 太宰治 「人間失格」
猫町倶楽部東京月曜会、10月の定例会はラグビーワールドカップが盛り上がりを見せる10月27日に開かれました。
課題本は太宰治『人間失格』、場所はいつもの代官山chano-maです。
「ちょっと早く着すぎちゃったかな。ええと、同じ班の人ですか?」
「いえ私は隣の班なんです。私は何回か来てるんですけど、ひょっとして初めての方ですか」
「そうなんですよ~。読書会が最近話題だと聞いて、ネットで検索したら最初に出てきたので申し込んじゃいました。でも太宰治って今まで『走れメロス』ぐらいしか読んでなくて。『人間失格』も申し込みしてからあわてて読んだんですけど大丈夫ですか? 素人意見を言っちゃって恥の多い人生になってしまうかも」
「詳しい人ばかりが集まっているわけではないから、課題本さえ読んでいれば大丈夫ですよ。とりあえずデザートでも食べながらお待ちください」
「わっすごい。これ全部食べてもいいんですか」
「ええと、これは1人1皿ですが、飲み物はフリードリンクですのでご自由にどうぞ。あとは司会の方から説明がありますよ」
そうこうしている間に参加者が集まり、開始時間となりました。司会より、今日の流れとルール説明です。ルールは「他人の意見を否定しないこと」。
続いて主催者のタツヤさんから挨拶とお知らせ。猫町倶楽部について書かれた『読書会入門』(幻冬舎新書)が発売中です。
進行役となるファシリテーターを決めて、さっそく読書会の開始。班ごとに、課題本について語り合います。
読書会の後はベストドレッサー賞の発表と、お楽しみの懇親会。同じ班の人だけでなく、他の班の人とも交流できます。
「あ、またお会いしましたね。懇親会になるとアルコールも出るんですか。やっぱりこういう場所ではお酒が出ないと世間が許さない」
「(世間というのは、君じゃないか) ええと、料理もありますよ」
「わっすごい。これ全部食べてもいいんですか」
「まあ、ほどほどに。読書会はどうでした?」
「盛り上がりましたよ。やっぱり太宰は力がありますね。私はすっかり主人公の葉蔵になった気分です」
「あ、危ないなあ。でも葉蔵、意外と人気ありましたね」
「なんてったって、神様みたいないい子ですから。逆に、全然共感できなかったという人も多かったですけど」
「読んだ年齢によっても違うみたいですからね」
「でも葉蔵は、環境が悪かったと思いますよ。この読書会みたいに同じ趣味を持った気のおけない仲間がたくさんいて、それで一緒に美味しい料理食べれば人生変わったかも」
「私は、葉蔵の悩みは乾布摩擦すれば解決すると思います」
「でた! 三島由紀夫的見解」
「まあ意見は人それぞれですよね~」
「ところで今、最高に面白い人間失格ジョークを思いついたんですけど、言ってもいいですか?」
「…………どうぞ」
「懇親会は飲み放題だからといってあまり飲みすぎると、葉蔵みたいに酔うぞう(笑)」
「そういえば今日のドレスコードは『ハロウィンまたはグランジファッション』でしたけど、どういうコンセプトで来ましたか?」
「ええと、あまり凝っていませんけど、ハロウィンにちなんで黒っぽい服装にしました。そんなことよりですね、葉蔵みたいに酔う」
「今日はハロウィンだけあって、ベストドレッサー賞に選ばれた人はみんな気合が入ってましたね~」
「そうですね。仮装したり、小道具をうまく使ったり(何の話をしていたんだっけ)。ところで向こうでも人が集まっていますけど」
「あれは猫町堂古書店といって、持ってきた本を交換できる場所ですよ。あとはテーマを決めて話すテーマトークテーブルというのも開かれていて、今日は太宰についてもっと話したいという人が集まっています」
21時になると懇親会も終わり、chano-maを出る時間です。
「初参加でしたけど、色々話ができて、来て良かった!」
「じゃあ、またここで会いましょう。次回は11月24日ですね。課題本は分かりますか?」
「もちろん! 『すっとび三太郎のすちゃらか冒険旅行』ですよね」
「全然違いますよ! ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』。私は初めて読むから楽しみ~」
こうして参加者は会場を後にし、引き続き三次会に行ったり、家に帰ったりと、それぞれの道を歩いてゆくのでした。
写真:iken、たかはし 文:たかはし